日本共産党の井上哲士議員は28日の参院本会議で、2014年度補正予算案に対する代表質問に立ちました。井上氏は、社会保障費を削る一方で軍事費を拡大させる安倍政権の財政政策を批判。日本では格差拡大で経済成長が低下しているというOECD(経済協力開発機構)の報告書などを示し、国民の暮らし応援の経済政策への転換を求めました。
井上氏は、補正予算案で軍事費が2110億円計上されたことについて、「国民には社会保障の切り捨てなどを押し付けながら、『経済対策』と称して軍事費を拡大することは許されない」と追及。安倍政権が無人偵察機グローバルホークなど新しい兵器調達を進め、自衛隊を海外派兵型に作り替えようとしていることを「『平和国家としての歩み』とは全く逆行するものだ」と指摘しました。
安倍晋三首相は「防衛力を整備するためのものだ」と開き直りました。
井上氏は、アベノミクスで「好循環が生まれ始めている」とする政府の認識を「国民の実感とかけ離れている」と主張。OECDが昨年12月に発表した報告書では、「所得格差が拡大すると経済成長は低下する」として、日本は格差拡大によってこの20年間でGDP(国内総生産)が5・6%押し下げられたと分析していると紹介し、「格差の拡大が経済成長を阻害することを認めるか」と迫りました。
安倍首相は、格差拡大を否定し、「経済成長の成果が広く国民にいきわたるような取り組みを行う」と答弁。井上氏は、「格差を拡大し、経済効果もない大企業減税はやめ、社会保障充実など国民の暮らし応援に転換すべきだ」と強調しました。
井上氏は、1997年の消費税5%への増税が消費不況の引き金となり、昨年4月の8%への引き上げもGDPの2期連続減という増税不況を招いた事実を示し、「消費税を10%にする無謀な増税は中止すべきだ」と迫りました。安倍首相は「経済運営に万全を期す」としか答えませんでした。