東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の2、3号機海側に延びる地下トレンチ(トンネル)内に滞留した高濃度放射能汚染水を取り除くための凍結作業が難航しています。東電は23日、これまでの方法ではうまくいかないために、作業が先行する2号機のトレンチに氷やドライアイスを投入し、タービン建屋との連絡部分を凍結する計画を明らかにしました。同日開かれた原子力規制委員会の専門家会合で報告されました。
トレンチ内には、隣接するタービン建屋から高濃度汚染水が流れ込み、約1万1000トンがたまっています。海へ漏えいする危険が指摘され、「最も大きな潜在的な危険」(規制委)とされ、対策が急がれています。
東電は、冷媒を流した凍結管をトレンチ内に挿入し、トレンチとタービン建屋地下との連絡部分の汚染水を凍結させ壁を造ってから、汚染水をくみ出す計画でした。しかし、4月末から凍結作業を実施していますが、3カ月近くたった現在も、一部が凍結できずに閉塞(へいそく)できていません。
このため東電は、汚染水に氷やドライアイスを投入することで、水温を下げて凍結を促進する方針。24日から3日間、試験的にこぶし大の氷約2トンと、ドライアイス約1トンを連日投入。水温の低下状況を見た上で、温度低下傾向を維持するため、7月末ごろから、1日約5・4トンの氷を投入し続けるといいます。
また、温度測定用の管を凍結管に変更するなどの対策をとります。このほか、トレンチ外側に凍結管を設置して周りの温度を下げる対策を実施する予定です。8月中旬には氷などの投入効果を検証するとしています。
この日の会合では、出席した外部専門家などから「福島第1の案件に関し、非常に広い知識が必要だとずっと言われているが、いまだに、うまく結集できていない」「凍結能力を上げる対策が見えない。配管などがあり、きちんと凍るか非常に心配」などの意見が出されました。
トレンチの凍結計画は、国と東電が汚染水対策の抜本策と位置づける「凍土壁」建設の前提。凍結が進まなければ、建屋周囲1・5キロの地下地盤を凍らせる凍土壁が完成しません。