問題山積 暴言大臣居座り
環太平洋連携協定(TPP)承認を許さないと国民が抗議の声を上げる中、自民、公明、維新は10日の衆院本会議で、TPP承認案・関連法案の採決を強行しました。米大統領選ではTPP反対を掲げたトランプ氏が当選。米共和党のマコネル上院院内総務がTPPの年内批准についての可能性を「それはない」と否定したばかりでした。(反対討論)
農水相不信任案 与党が否決
日本共産党、民進党、自由党、社民党の4野党は同日午前の国対委員長会談で、TPP採決のための本会議の開会に一致して反対することを確認。野党の反対を押し切って開かれた本会議で共産、民進両党が反対討論を行いました。
討論で日本共産党の畠山和也議員は、TPP離脱を掲げたトランプ氏が米大統領に当選したことにもふれ、「米国のみならず、日本でも各国でも反対や批判の声が広がるなかで強行に採決へ突き進むのはまさに愚の骨頂だ」と批判しました。
さらに委員会質疑を通じて、TPPの重大な問題点が明らかになったとして、農産物重要5項目を「除外又は再協議」するとした国会決議への違反は明白だと指摘。また、輸入食品の残留農薬基準違反の問題や、国民皆保険制度が崩される危険をあげ、「食の安全」をはじめ国民の暮らしと命、健康を脅かすものだと批判しました。
さらに、各国の経済主権を侵害する投資家対国家紛争解決(ISDS)条項の危険性を指摘。「多国籍企業の利益のために、日本の経済主権・食料主権を脅かすTPP協定は断じて認められない」と述べ、「引き続き、TPPの全容と問題点を明らかにするとともに、国民の世論と運動と固く結んで批准を阻止する」と表明しました。
また4野党はこれに先立ち、「強行採決」をめぐる暴言を繰り返した山本有二農水相に対する不信任決議案を共同提出しましたが、与党の反対多数で否決されました。
賛成討論に立った日本共産党の斉藤和子議員は、山本氏の「強行採決」発言は「政府が国会に露骨に介入するもので国会を愚ろうするものだ」と厳しく批判。また、山本氏が利益誘導発言をする一方で、輸入米価格偽装問題でまともな調査もしなかった姿勢を批判し、「安い米価のもとで歯を食いしばりコメ作りを続けている農家の怒りの声が聞こえないのか」と現場の思いを突きつけました。「山本大臣を任命し、かばい続けようとしている安倍首相と与党の責任は重大」だと強調しました。