天井板崩落で9人が死亡した中央自動車道・笹子トンネルのずさんな点検を指摘されている中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(東京都新宿区)が事故からわずか6カ月後の昨年6月、約6000万円の株主配当を分配し、事故の当事者で親会社の中日本高速道路と分け合っていたことが9日、赤旗紙の調べで判明しました。
エンジ社の2013年度の事業報告書などによると、エンジ社の発行済み株式6万株は、中日本高速が3万2000株(53・3%)、エンジ社が2万100株(33・5%)のほか、グループ会社1社の計3社で全株保有しています。
昨年6月のエンジ社の株主総会で、同社は剰余金の配当を決議。総額6020万9000円の配当を決め、中日本高速は少なくとも3209万円、エンジ社は少なくとも2017万円の配当を得ています。
赤旗紙の取材にエンジ社は「(配当を)決めた経緯をわかる者がいないので、お答えできない」としています。
配当を決めた昨年6月は、中日本高速道路が「安全性向上3カ年計画」を発表する1カ月前です。中日本高速と、そのグループ会社が、再発防止策を決めていない時期に、事故の当事者で利益を分け合ったことは、批判を免れません。
笹子トンネル事故をめぐっては、死亡した青年5人の遺族らが昨年5月、「天井板崩落の危険が予見できたのに、必要な対応を怠った」としてエンジ社と中日本高速を相手取り損害賠償を求める裁判を起こしています。
両社は「事故は予見不可能であり、過失はなかった」と主張し、争っています。