認可保育所(園)への子どもの入所可否を知らせる自治体からの通知が保護者に届く中、今年も「不承諾」となった親が続出し、「どうすればいいのか」との悲鳴や怒りが相次いでいます。昨年、「保育園落ちた」とつづったブログなどを契機に待機児童問題が大議論になり安倍晋三政権も一定の「対策」を打ち出さざるをえませんでした。そして1年―。いまだに入所できない子どもが後を絶たないことは、安倍政権のやり方では深刻な現状を打開できないことを示しています。「子どもを保育園に預けて働きたい」。当たり前の声が実現する政治への転換は急務です。
「詰め込み」で打開は困難
「全落ち。泣ける」「4月からの職失うのか」「いつまでこんな事が」。1次選考で、認可園への子どもの入所を認められなかった親たちの悲痛な声が各地で上がっています。4月からの職場復帰のため、少しでも入所点数を上げようと必死の「保活」に神経をすり減らしてきた父母たちにとって、「不承諾」通知は過酷すぎる現実です。
父母たちは悲しみと怒りをツイッターなどで発信するとともに「保育園入れて」「増やして」と自治体に対する不服審査請求や、政府や国会に保育所増設などを求める行動を計画しています。やむにやまれぬ切迫した取り組みです。
昨年2月、「保育園落ちたの私だ」などとアピールした父母や保育関係者の声と行動がうねりとなって政治を動かし、安倍政権があわてて「緊急対策」を講じなければならない状況をつくりました。
しかし、その「対策」は、親たちが切実に願う認可園の大増設に踏み出すのでなく、もっぱら既存の施設への“詰め込み”が中心でした。子ども1人あたりの面積や保育士配置の基準緩和などを自治体に求めたことには、保育の安全を揺るがすものだと、父母や保育士から批判が上がっています。
こんな“場当たり的”なやり方で打開できないことは、今年の入所選考で、多くの子どもが入所できない事態からも明らかです。安倍首相も「17年度中の待機児ゼロ」は実現困難になったと認め、この目標を事実上放棄しました。「規制緩和」を中心にした「詰め込み」による待機児対策は、行き詰まっています。1次選考で「不承諾」になった子どもたちへの緊急対策に知恵と力を尽くすとともに、認可園を大増設する政策に転じることが焦眉の課題になっています。
昨年4月に認可園に入れなかった子どもは約2万4千人で2年連続の増加です。認可園入所を希望しながら入れずに認可外に入れたり、親が育児休業を延長して家で面倒をみたりした「隠れ待機児」は6万7千人以上にのぼります。子どもを預け働きたいと願う親は、さらに広範に存在しています。
国や自治体は、保育ニーズの広がりを見越して正確に把握し、その規模に見合った増設計画を立て具体化することが必要です。
保育士の処遇改善を急ぎ
認可園増設にとって不可欠な保育士を確保する上で、安倍政権による保育士の処遇改善策は不十分です。野党4党が求める保育士給与月5万円引き上げを実現することが求められます。
「保活」に苦しめられる社会はあまりに異常です。国・自治体に保育を保障する責任を果たさせていくことが、重要となっています。