2カ月間に318件の違反
「基地の外ではヘリモードで飛ばない」「学校や病院を含む人口密集地の上空は避ける」―。日米両政府は昨年9月、事故が相次ぐ米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備にあたり、このような合意を交わしました。
しかし、オスプレイは配備初日(昨年10月1日)から、人口密集地上空を平然とヘリモードで飛行したのです。そのようすは、記者も多くの県民や報道陣とともに目撃しました。それだけに、「米軍は合意に基づき飛行運用を行っている」と明記した防衛省の検証報告(30日公表)には、強い怒りを禁じえません。
経路逸脱も常態
沖縄県は昨年10~11月の2カ月間に318件の違反を確認したとして、昨年末、国に検証を要求しました。このうち、大半の315件を占めるのが県内各地で確認された「学校や病院を含む人口密集地上空での飛行」です。
防衛省は、このうち普天間基地周辺の189件のみを職員の目視などで自らが確認したとしています。しかし、県から指摘された学校上空の飛行事例などについては一切検証しないまま、「違反飛行が確認できなかった」と結論づけています。
「学校や病院を含む人口密集地上空での飛行」が繰り返されていることは、防衛省が記録した航跡(昨年10月分)からも明らかです(図)。日米合意では通報点(キロ・ポイント、タンゴ・ポイント)を通過する経路が、市街地を避ける最短経路としていますが、当初から“はみ出し飛行”も常態化しています。
そもそも那覇市、浦添市など県内最大の人口密集地をはじめ、県内各地で日常的に市街地上空での危険なヘリモード・転換モードの飛行が目撃されており、県民の証言が何よりの証拠です。
ルール機能せず
一方、規制対象になっている22時~翌6時の夜間飛行については、「22時以降の飛行」を3件、「確認した」と認めました。それでも、防衛省が「合意通りに運用している」と強弁しているのはなぜか。それは、合意自体に“抜け穴”があるからです。
普天間基地自体が市街地のど真ん中に位置し、学校も病院も避けて飛ぶことは不可能です。また、あらゆる合意事項に「できる限り」や「運用上必要と考えられるものに制限」などの断り書きがついています。
作り話としかいいようがない検証結果をもって、8月上旬にも狙われる12機の追加配備を強行することは、許されません!!
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