「自衛隊が現実に攻撃され、『殺し、殺される』危険が決定的に高まることは明らかだ」―。日本共産党の志位和夫委員長は27日の衆院安保法制特別委員会の総括質疑で、自衛隊が戦争法案にもとづいて「戦闘地域」で米軍への「後方支援」を行えば、結果として戦闘を行うことになると迫りました。安倍晋三首相は質問に正面から答えず、憲法9条が禁じた「武力の行使」に発展していく危険性が鮮明になりました。 (関連記事)
戦争法案は、自衛隊の活動地域を「戦闘地域」にまで広げ、これまでできなかった弾薬の提供や武器の輸送も可能にします。
首相は、自衛隊活動の実施区域について「戦闘行為がないと見込まれる場所」を指定すると弁明しましたが、志位氏は「そんなことは法案には一言も書いていない」と批判。法案では「(自衛隊が活動している場所で)戦闘行為が行われるに至った場合」を想定して対応方針を明記しているとして、「自衛隊が攻撃される可能性を想定しているということだ」とただしました。
首相は「(攻撃される)可能性が100%ないと申し上げたことはない」と述べ、攻撃される可能性を認めました。さらに、首相は「(攻撃を受けた場合は)自己保存型の武器の使用になる」と、武器使用の可能性にも言及しました。
また、防衛省は、志位氏の追及に、陸上自衛隊がイラク・サマワに持っていった武器には拳銃、小銃、機関銃にとどまらず、12・7ミリ重機関銃、110ミリ個人携帯対戦車弾、84ミリ無反動砲といった重火器まで含まれていたことを初めて明らかにしました。志位氏は「『戦闘地域』での『後方支援』となれば、さらに強力な武器を持っていき、必要な場合は反撃する。これが戦闘でなくて何なのか」と迫りました。
首相は「武器の使用は、自己保存型だ」と繰り返すだけ。志位氏はさらに、外務省が提出した文書で「国際法上、自己保存のための自然権的権利というべき武器の使用という特別な概念や定義はない」と認めていることをあげ、「『自己保存のための武器使用だから戦闘ではない、武力の行使ではない』などという理屈は、国際社会では通用しない」と批判しました。
志位氏は「戦場でまっさきに犠牲にされるのは未来ある若者だ。若者を戦場に送ることは絶対に認められない」と強調しました。
海外派兵自衛官 自殺者54人
アフガニスタン、イラクの両戦争への派兵任務を経験し、帰国後に自殺した自衛官が2015年3月末時点で54人にのぼることが分かりました。防衛省が27日の衆院安保法制特別委員会で、日本共産党の志位和夫委員長への答弁で最新の数字を明らかにしました。
内訳は、アフガニスタン戦争時のインド洋派兵経験者が25人(海上自衛隊)、イラク派兵経験者が29人(陸上自衛隊21人、航空自衛隊8人)。本紙が14年7月にこの問題を報じた際、同省はインド洋派兵自衛官の一部について「文書が残っておらず不明」としていましたが、この日も「統計の関係で04年度以降(の数字)だ」と断り、自殺者数がさらに増える可能性も残しました。
国民平均と比べ約9~18倍(14年内閣府統計)、自衛官全体(13年度)でも約5~11倍の高い割合で、自殺者が出ている異常な実態が鮮明になりました。