残業をしたのに賃金が支払われない「サービス残業」(不払い残業)問題で、厚生労働省は27日、「監督指導による賃金不払い残業の是正結果」を発表しました。2015年度に企業が労働者に支払ったサービス残業代の是正額は99億9423万円(前年度比42億5153万円減)で、15年間で3番目の低さでした。厚労省が調査を始めた01年以降の15年間で、是正総額は2402億9597万円に達します。
15年度に不払い残業代が是正された対象労働者は、9万2712人(同11万795人減)。企業数は1348企業(同19企業増)でした。1企業での最高支払額は、金融業での1億3739万円(前年度14億1328万円)でした。
15年間の累計で、是正された労働者総数は206万7351人、企業総数は1万9411社。このなかには、トヨタをはじめとする製造業、都市銀行、電力会社などの大企業が多数含まれています。
具体的な事例では
▽終業時刻と退門時刻にかい離。「本人都合による業務外の出社」などとされた
が、eメールの送受信記録から虚偽の理由が申告されていた(製造業)
▽労基署が夜間に立ち入り検査を行った結果、複数の店舗で、自己申告した終業
時刻後に労働者が就労していた(金融業)
―などの手法がありました。
日本共産党は1976年以来、300回を超える国会質問でサービス残業を追及。01年4月に厚労省が出した「サービス残業根絶通達」に結実し、サービス残業の摘発・是正が前進。この通達後、厚労省が毎年、サービス残業是正結果を発表するようになりました。