言葉を失くしているときこそどこにも潜っていけない詩的な氷面を滑っているのかもしれない。でも詩というのは言葉でできた古城のようなものだから、いまは月明かりに光る
ここまで書いて名前が呼ばれたので立ちあがった。役所らしい飾りのないフロアで(窓の向こうの公園の木立ちがやわらかい)、表現が古いというか月並みなんだよな。詩のことなんかこれっぽっちもわかってないし。など、考えながらも尾がすぼまって、宇宙というか雑事に埋もれていき数時間。
再びページを開いて読んだ。辞書の言葉が平面をまたいで少し遠くまで歩き、風景になっている気がした。書こうとしていたときの感覚をもう一度やり直してみる。城の周りをウロウロ。フクロウの声が聞こえる気がする。電車の中の蛍光灯に照らされた幾つもの顔と、闇の中に泳ぐように浮かんでいる家々の窓と、離れていて重なるゆるやかな狭間に、黒い森が開いて固く光る湖面も見える気がする。
このあと城に入っていくんじゃなかったかな。なんで「いまは月明かりに光る」が続くのかな。暗がりへ目を落とす。落としてきたパンくず。氷面が冷たく光を返す。
ここまで書いて名前が呼ばれたので立ちあがった。役所らしい飾りのないフロアで(窓の向こうの公園の木立ちがやわらかい)、表現が古いというか月並みなんだよな。詩のことなんかこれっぽっちもわかってないし。など、考えながらも尾がすぼまって、宇宙というか雑事に埋もれていき数時間。
再びページを開いて読んだ。辞書の言葉が平面をまたいで少し遠くまで歩き、風景になっている気がした。書こうとしていたときの感覚をもう一度やり直してみる。城の周りをウロウロ。フクロウの声が聞こえる気がする。電車の中の蛍光灯に照らされた幾つもの顔と、闇の中に泳ぐように浮かんでいる家々の窓と、離れていて重なるゆるやかな狭間に、黒い森が開いて固く光る湖面も見える気がする。
このあと城に入っていくんじゃなかったかな。なんで「いまは月明かりに光る」が続くのかな。暗がりへ目を落とす。落としてきたパンくず。氷面が冷たく光を返す。