詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

からだの展開

2023年03月02日 | 
前半分を切り取った建物の構造図
開かれた階層になって
それぞれの階のあちらこちらに
いくつもの診療科が棲みついている
今年のからだ
これは物理だ
形骸化したからだとは何か
X線にアピールされて戸惑っている
わたしとは
歳を取らないこころだと思っていたのに

アイデンティティは植物の根のように
さまざまな栄養を抱き込んでモザイクみたいになっている
からだの不調さえ符牒のように
わたしを印づけるように思われてくる
こころの流れた跡と同じくらいに

診断された原因や病名
名付けられた異物が
新しい栄養素として
さっそくわたしの根に取り込まれていく

今朝、まだ明るくなったばかりの
青空に沁みながら
わたしは地上を歩いていた
はだかになった木々の挑戦的な成長の先
まだ白い光を宿している月
跡を残しながら
きっと変わらぬこの光景
そう思う間に何十年を駆け抜けて
わたしの符牒も馴染み
飛沫のように
地球になっている
コメント (2)
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