前半分を切り取った建物の構造図
開かれた階層になって
それぞれの階のあちらこちらに
いくつもの診療科が棲みついている
今年のからだ
これは物理だ
形骸化したからだとは何か
X線にアピールされて戸惑っている
わたしとは
歳を取らないこころだと思っていたのに
アイデンティティは植物の根のように
さまざまな栄養を抱き込んでモザイクみたいになっている
からだの不調さえ符牒のように
わたしを印づけるように思われてくる
こころの流れた跡と同じくらいに
診断された原因や病名
名付けられた異物が
新しい栄養素として
さっそくわたしの根に取り込まれていく
今朝、まだ明るくなったばかりの
青空に沁みながら
わたしは地上を歩いていた
はだかになった木々の挑戦的な成長の先
まだ白い光を宿している月
跡を残しながら
きっと変わらぬこの光景
そう思う間に何十年を駆け抜けて
わたしの符牒も馴染み
飛沫のように
地球になっている