詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

綿(わた)

2017年05月02日 | 
とても静かなので
にぎやかだった

換気扇の疼き
車の潮騒
時計の点滴

この部屋全体
わたしの耳になって
空気の厚い楽譜を奏でていた

白い壁は何にも似ていず
それは記憶がないからかもしれなかった
それなのにイメージは
陽光の反射のように押し寄せて
キラキラと断片を散らした

どんなものでも
訪れてきてしまいそうだ
鳴き方を忘れたカエルも
不安が太らせたミサイルも
顔のない隣人も

聞こえない
夜の道をいまも
きっと誰かが歩いている
奇妙に明るい街灯の下
持て余しがちな感情を
ちぐはぐな表情に映して

コメント
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