リーダー性を鍛える自分への“3つの質問”
08:21
プレジデントオンライン
リーダー性を鍛える自分への“3つの質問”
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT Online スペシャル 掲載
■優秀なリーダーが予測する、「曲がり角の先」
もし、自分で自分を優秀なリーダーに育て上げるとしたら、
何をしたらいいだろうか。
かつての海軍大将・山本五十六の言葉に、こんなものがある。
「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
これは人を育てるために理想的な姿ながら、
人格をもかなり必要としそうだ。
こうしたかつてのリーダーに学ぶこともひとつだろう。
けれども、私たちの生活は以前に比べてグローバルかつデジタル化され、
個人情報も透明化されてきた。
さらに情報の流れや技術革新のスピードも速く、
何をするにも多様性に富んだ対応が必要になっている。
昔ながらの精神論も大切ながら、
今はさらに具体的で明確なヴィジョンが必要になりそうだ。
ロザリンデ・トーレスは、
優秀なリーダーになるための“3つの問い”を提示している。
ひとつ目は「どこを見てビジネスモデルや
人生にきたる変化を予想しているか」
を考えること。自らのビジネスモデルや
生活の変化を見るためには
「スケジュール表にそのヒントがある」としている。
たとえば、一緒に時間を過ごす相手、話の内容、旅の行き先、
読んでいる本……など、
自分の行動の傾向や変化を考えてみる。
そして、その情報を周りとシェアすることだ。
身近なことから世の中の変化の兆しを察知して、
今すぐに行動を起こすための準備が必要になる。
現状に対応するばかりでなく、
自ら将来を形づくっていくために
「優秀なリーダーは下ばかりを見ず、
常に曲がり角の先を予測する」というわけだ。
以前、この連載でも紹介したハフィントンポストの共同設立者で
編集長のアリーナ・ハフィントンが、
「有能なリーダーというのは、
タイタニック号が沈没するときに指揮をできる人物ではなく、
ぶつかる前に氷山を見つける力を持つ人物だ」と言っていた。
情報収集と併せ、直観的に周りの変化をすばやくとらえて、
曲がり角の先にある氷山をあらかじめ見通す力をつけていきたい。
さて、ふたつ目の問いは
「どうやって自分のプライベートや仕事上の人脈を多様化させているか」だ。
■“自分と違う”人間から得る解決策
優秀なリーダーに必要なのは
「自分とは“かなり”違う人たちと関係を築く能力」だ。
自分とは生活も仕事も違う人たちを味方につけることで、
いろんな考えにふれ、さまざまなパターンを認識し、
解決策を見出すことに繋げられるだろう。
誰もがご存じのとっつきやすい方法として、
学閥というものがある。
学校関係の同窓会に行けば、
同じ学校という共通点を持った違う職業の人たちに会うことができるだろう。
学校が同じだというだけでも、
意外と人脈になりやすいものだ。
あとは同郷、同じ趣味……といったことも、
異業種交流会で接点のない人と会う以上に、
人脈の幅を広げる手段になるかもしれない。
最近ではSNSでの交流も、普段出会うこともない人と接触しやすい場所のひとつだ。
アポを取ろうとすると難しいのに、
SNSでは気軽に受け入れてもらえることもある。
くだらないように見えて、
自分が接触したい人が同郷の焼酎愛好会にいるかもしれないのだ。
理系、文系、政治、経済、グルメ、美容……分野を問わずに、
あらゆる“自分とは違う人たち”
と関係を築く力を付ければ、より広い見聞が得られるだろう。
そこで刺激を受けることで、新たな発想が生まれるかもしれない。
さて、3つめの問いは
「過去に成功した方法をいかに捨てられるか」だ。
■過去の成功プロセスを捨てる勇気
トーレスによれば「過去に成功した方法は波風を立てません。
しかし、波風を立てないようにすれば、楽なことを繰り返すだけなのです。
そこで優秀なリーダーは、
あえて新しい方法で物事にチャレンジしていくもの」だと言う。
前例にならえば、失敗の可能性も小さくなり、
楽に物事がまわってくれるはず。
ところが、楽なことを繰り返すだけでは、
発展はなくやがて衰退してしまう。
ドラッカーも「イノベーションの戦略の第一歩は、
古いもの、死につつあるもの、
陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである〜昨日を捨ててこそ、
資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる」と言っている。
新しい動きにはサポーターが必要となるが、
仲間になろうとするのは、
いつもの顔馴染みばかりではない。
違う考えを持った人が加わることで躍進がみられることもある。
最後に、大きな影響を与えることを 成し遂げられるのは
「感情面でのスタミナを鍛え、自分の新しいアイデアが弱いとか、
無謀だとか、単におかしいと他人に言われることに耐えられるようになったとき」だそうだ。
そして、優秀なリーダーになるための条件とは、
過去の成功体験に甘んじることなく、
これからのあらゆる可能性に準備すること。
それから、少しくらいの周りからの批判はものともしない、
心のスタミナも必要となりそうだ。
[脚注・参考資料]
Roselinde Torres, What it takes to be a great leader, TED 2014 Feb.
http://www.ted.com/talks/roselinde_torres_what_it_takes_to_be_a_great_leader
Arianna Huffington, How to succeed? Get more sleep, TED Women 2010, Filmed Dec 2010
http://www.ted.com/talks/arianna_huffington_how_to_succeed_get_more_sleep?language=ja
ピーター・F・ドラッカー著、上田 惇生訳、『マネジメント』、ダイヤモンド社 2001年
(上野陽子=文)
http://news.goo.ne.jp/article/president/bizskills/president_16163.html
08:21
プレジデントオンライン
リーダー性を鍛える自分への“3つの質問”
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT Online スペシャル 掲載
■優秀なリーダーが予測する、「曲がり角の先」
もし、自分で自分を優秀なリーダーに育て上げるとしたら、
何をしたらいいだろうか。
かつての海軍大将・山本五十六の言葉に、こんなものがある。
「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
これは人を育てるために理想的な姿ながら、
人格をもかなり必要としそうだ。
こうしたかつてのリーダーに学ぶこともひとつだろう。
けれども、私たちの生活は以前に比べてグローバルかつデジタル化され、
個人情報も透明化されてきた。
さらに情報の流れや技術革新のスピードも速く、
何をするにも多様性に富んだ対応が必要になっている。
昔ながらの精神論も大切ながら、
今はさらに具体的で明確なヴィジョンが必要になりそうだ。
ロザリンデ・トーレスは、
優秀なリーダーになるための“3つの問い”を提示している。
ひとつ目は「どこを見てビジネスモデルや
人生にきたる変化を予想しているか」
を考えること。自らのビジネスモデルや
生活の変化を見るためには
「スケジュール表にそのヒントがある」としている。
たとえば、一緒に時間を過ごす相手、話の内容、旅の行き先、
読んでいる本……など、
自分の行動の傾向や変化を考えてみる。
そして、その情報を周りとシェアすることだ。
身近なことから世の中の変化の兆しを察知して、
今すぐに行動を起こすための準備が必要になる。
現状に対応するばかりでなく、
自ら将来を形づくっていくために
「優秀なリーダーは下ばかりを見ず、
常に曲がり角の先を予測する」というわけだ。
以前、この連載でも紹介したハフィントンポストの共同設立者で
編集長のアリーナ・ハフィントンが、
「有能なリーダーというのは、
タイタニック号が沈没するときに指揮をできる人物ではなく、
ぶつかる前に氷山を見つける力を持つ人物だ」と言っていた。
情報収集と併せ、直観的に周りの変化をすばやくとらえて、
曲がり角の先にある氷山をあらかじめ見通す力をつけていきたい。
さて、ふたつ目の問いは
「どうやって自分のプライベートや仕事上の人脈を多様化させているか」だ。
■“自分と違う”人間から得る解決策
優秀なリーダーに必要なのは
「自分とは“かなり”違う人たちと関係を築く能力」だ。
自分とは生活も仕事も違う人たちを味方につけることで、
いろんな考えにふれ、さまざまなパターンを認識し、
解決策を見出すことに繋げられるだろう。
誰もがご存じのとっつきやすい方法として、
学閥というものがある。
学校関係の同窓会に行けば、
同じ学校という共通点を持った違う職業の人たちに会うことができるだろう。
学校が同じだというだけでも、
意外と人脈になりやすいものだ。
あとは同郷、同じ趣味……といったことも、
異業種交流会で接点のない人と会う以上に、
人脈の幅を広げる手段になるかもしれない。
最近ではSNSでの交流も、普段出会うこともない人と接触しやすい場所のひとつだ。
アポを取ろうとすると難しいのに、
SNSでは気軽に受け入れてもらえることもある。
くだらないように見えて、
自分が接触したい人が同郷の焼酎愛好会にいるかもしれないのだ。
理系、文系、政治、経済、グルメ、美容……分野を問わずに、
あらゆる“自分とは違う人たち”
と関係を築く力を付ければ、より広い見聞が得られるだろう。
そこで刺激を受けることで、新たな発想が生まれるかもしれない。
さて、3つめの問いは
「過去に成功した方法をいかに捨てられるか」だ。
■過去の成功プロセスを捨てる勇気
トーレスによれば「過去に成功した方法は波風を立てません。
しかし、波風を立てないようにすれば、楽なことを繰り返すだけなのです。
そこで優秀なリーダーは、
あえて新しい方法で物事にチャレンジしていくもの」だと言う。
前例にならえば、失敗の可能性も小さくなり、
楽に物事がまわってくれるはず。
ところが、楽なことを繰り返すだけでは、
発展はなくやがて衰退してしまう。
ドラッカーも「イノベーションの戦略の第一歩は、
古いもの、死につつあるもの、
陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである〜昨日を捨ててこそ、
資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる」と言っている。
新しい動きにはサポーターが必要となるが、
仲間になろうとするのは、
いつもの顔馴染みばかりではない。
違う考えを持った人が加わることで躍進がみられることもある。
最後に、大きな影響を与えることを 成し遂げられるのは
「感情面でのスタミナを鍛え、自分の新しいアイデアが弱いとか、
無謀だとか、単におかしいと他人に言われることに耐えられるようになったとき」だそうだ。
そして、優秀なリーダーになるための条件とは、
過去の成功体験に甘んじることなく、
これからのあらゆる可能性に準備すること。
それから、少しくらいの周りからの批判はものともしない、
心のスタミナも必要となりそうだ。
[脚注・参考資料]
Roselinde Torres, What it takes to be a great leader, TED 2014 Feb.
http://www.ted.com/talks/roselinde_torres_what_it_takes_to_be_a_great_leader
Arianna Huffington, How to succeed? Get more sleep, TED Women 2010, Filmed Dec 2010
http://www.ted.com/talks/arianna_huffington_how_to_succeed_get_more_sleep?language=ja
ピーター・F・ドラッカー著、上田 惇生訳、『マネジメント』、ダイヤモンド社 2001年
(上野陽子=文)
http://news.goo.ne.jp/article/president/bizskills/president_16163.html