終わりました。
「ああ~、いい舞台だった」
今回のオーバード版は本作の二大曲のうち、「You'll Never Walk Alone」の方に
テーマを見出すという解釈を試みた。東宝版やおそらくは過去の公演でもなかった試みだろう。
そのためオリジナルの台詞から少し変更されたところもあるが、新たな試みだから問題ない。
私はこれまでに回転木馬は海外版を含めて何十回も見てきた。
映画やCDにいたってはおそらく何千回も聴いているであろう。
こんな私がフィナーレ(卒業式シーン)のコーラスで涙を我慢できなかった。
ミュージカルの真髄はアンサンブルコーラスにあるというのが私の持論である。
コーラスアレンジに手抜きをされるとがっかりするというか腹が立つ。
オリジナルの回転木馬にはアンサンブルが参加する曲が多数用意されているが、
これを徹底的に削ったのが前回の銀河劇場版だ。これとは逆に、オリジナル通り
というか、むしろ強化したと思われるのが今回のオーバード版だと思っている。
これは多数のアンサンブルが出演する市民参加型のミュージカルだからこそ実現した
のかもしれないが、結果的にはそれが良い結果につながったと思っている。
テーマと位置づけたフィナーレの合唱曲「You'll Never Walk Alone」は極めて単純な曲だ。
単純なものを正確に丁寧に歌うことのなかに、観客は美しさを見出し、心を動かされるものなんだよ。
このコーラスは最初の3人から5人、10人、20人と次々と重なって最後には大合唱となっていく。
普通は1回歌うだけなんだが、今回は3回リプリーズさせた。特に3回目は客席に控えていた
合唱団が加わり1000人のコーラスという感動的なフィナーレとなった。
「回転木馬」、ポーチシーンのハイライトと卒業式シーンのコーラス。
歌は「If I Loved You 」と「You'll Never Walk Alone」
参考までに、オーバード版で使用した訳詞
「誰かが側に~You'll Never Walk Alone」
嵐の時も顔を上げて
歩き続けよう
嵐の向こう 金色(こんじき)の空
雲雀の声響き
雨風にひるまず歩こう
夢が遠くても
進もう希望胸に
And you'll never walk alone
誰かが側に
I'm as restless as a willow in a windstorm,
I'm as jumpy as a puppet on a string.
I'd say that I had spring fever, but I know it isn't spring.
I'm starry eyed and vaguely discontented,
Like a nightingale without a song to sing.
Oh, why should I have spring fever when it isn't even spring?
I keep wishing I were somewhere else, walking down a strange new street,
Hearing words that I have never heard from a man I've yet to meet.
I'm as busy as a spider spinning day dreams,
I'm a gaddy as a baby on a swing.
I haven't seen a crocus or rose bud, or a robin on the wing,
But I feel so gay in a melancholy way that it might as well be spring.
It might as well be spring.
(Rodgers and Hammerstein's State Fair 1945)