ミュージカルは最高のショーである。そんなことを体感できる作品。それが「ハロー・ドーリー!」である。
(上の動画のナンバーは、「The Waiters' Gallop」「Put On Your Sunday Clothes」
「Before the Parade Passes By」「Hello, Dolly!」の順)
第2幕は、オリジナルとは場面の順番を変えましたね。これは、本来の2幕の冒頭場面をカットしたせいか、または第2幕でエミールが歌う「This Nearly Was Mine」の歌詞の内容を変えたからだと思います。全体の流れには影響がないので、こういうのは自由にやっていいと思いますよ。2幕は、少し短縮したところもありましたが、いかにも宝塚という場面が2箇所ありました。冒頭のThanksgiving Folliesのシーンは派手にレビュー的に見せてました。本当はこの前にショーの練習シーンがあるんですけどね。宝塚的ではないのでカットでしょうか。また、「This Nearly Was Mine」のエミールとジョーのデュエットは新しい趣向です。これも宝塚的な見せ所なんでしょうな。残念だったのは、ジョーとネリーのナンバー「My Girl Back Home」をカットしたところ。翻訳しにくかったからかなあ。
(3/26追記)
大事なところを忘れてました。フィナーレの二人が手を握るシーンがありますね、ここ非常に重要なんですよ。ちょっとタイミングが早かったね。ちゃんと音楽に合わせないとダメですよ。エミールが手を出を差し出すのが早かったのかな。これは失敗ですよ。フィナーレの感動をもう一度ということで動画を見てみましょう。
LCT版です。3:40あたりから見てください。ハニー・バンのリプリーズは宝塚版でも同じようにやってたでしょ。
最高のフィナーレのシーンです。ただ、抱き合ってキスで終わらせないところがハマースタインのすごいところですね。これからの二人の行く末を、暗転する数秒のあいだにすべての観客に悟らせる。「王様と私」のフィナーレもそうでしたが、ハマースタインはこういうのがうまいです。
↑次回はこれだ!今更ながら気が付きました。宝塚って私が好きなお姉さんだらけじゃないの。
チケットも買っちゃいました。宝塚の「Me and My Girl」は初めてです。
はいだしょうこさんが大好きな作品でもあります。しょうこファンとしては見とかないとな。
このページは「南太平洋」で検索して来てる方も多いと思います。
日本ではあまりなじみがない作品でもありますので、マニアとして少しだけ気付いたところを補足説明をします。
GIたちをひとくくりに海兵と呼んでいましたが、実は彼らはSeabee(海の働き蜂)と呼ばれる海軍設営部隊に所属しています。軍艦に乗艦するような水兵や上陸作戦に従事するような海兵隊とはちょっと違います(ジョー・ケーブルは海兵隊)。海軍の基地や兵舎や飛行場などを建設する裏方的な仕事をするのが仕事。これを知ってると、舞台転換のときにセットの配置を彼らがやってたもなるほどとわかるはず。客席にキャストを登場させたりして転換時を見せないような工夫もしてましたが、舞台を暗転させずにもっとセットの入れ替えをショー的に見せたりもしますね。
次に、ブラッディ・メアリー。なんで、「血まみれのメアリー」なんでしょうか。答えは、GIたちが歌う「ブラッディ・メアリー」の歌詞の中にあるのですが、今回の訳詞には入ってませんでしたね。元の歌詞には「She is Always chewing betel nuts」とあります。このbetel nutsというのが何かというと、ビンロウという果実のことで噛みタバコのようなもの(台湾でよく売ってる)。そのビンロウですが、噛むと種子から赤い色素が出て口が真っ赤に染まるから。アメリカにはそんな習慣はないから、ゾッとする。だから、ブラッディ・メアリーなんですねえ。歌詞はこのままでいいから、プログラムに書いてあればよかったですな。そして、メアリーはプログラムにはポリネシア人と書いてありましたが、ポリネシア人ではないですね。もとの脚本では、トンキニーズと言っています。物語の場所は特定されていませんが、フランス人がいることから、フランスの統治領であることがわかります。トンキニーズはフランス領インドシナ人のことですから、メアリー親子はもともとは島のプランテーションに出稼ぎで働きに来ていて、そのまま住み着いて土産物屋を開いたと想像できます。ほかにもありますが、今日はこのへんで。