日本では今後の40年間で約3200万人もの生産年齢(15歳から64歳)人口が減ると見込まれています。これは、現在の英国全体の就業者数とほぼ同じ規模となります。
現在、終戦後のベビーブーマーであった「団塊の世代」の全てが75歳を迎える「2025年問題」というものが注目されていますが、実はこれは単なる始まりに過ぎません。
その後、さらにこうした傾向は(ほぼ確実に)続き、これからの日本の発展の足を引っ張り続けることが懸念されています。
そうした中で、現在最も不安視されているのが、(言うまでもなく)生産年齢人口が減少することで労働市場がひっ迫し、人手不足が経済の足を引っ張ることだと言えるでしょう。
もちろん、政府や自治体は、これ(=生産年齢人口の減少)を補うべく、定年の延長などによる高齢者の就労期間の延長や、女性の活躍促進、外国人人材の労働市場への導入などに(血眼になって)取り組んでいます。
しかし、労働力の「量」が減少するから、高齢者・女性・外国人の就労を増やすことで「量」を確保していこうという政策には(おのずから)限界が見えているのも事実です。
そもそも「量」を競う20世紀型の経済は、既に時代遅れのものとなりつつあると言われています。日本経済は、付加価値の創造が新しい価値を生む新しい形の成熟した姿に移行しつつあるということです。
機を同じくして労働力人口が減少する日本の社会において、経済の規模を確保していくためには、イノベーションによる生産性の向上が何よりも求められるのは自明です。
人数で稼いできた時代は過去のものになりつつあり、これからはひとりひとりの個人が自らの発想を生かして活躍し、新たな価値を生み出す時代へとパラダイムシフトを進めていく必要があるということでしょう。
企業にとっては、まずはAIやIOT、ロボットなどの新しい技術を活用し労働力を補っていくとともに、イノベーションを実現し製品やサービスの付加価値を上げていくことが求められています。
さらに、同質性の高い労働力を次々とつぎ込むような働き方の無駄を改め、AIなどの支援の下、多様性を備えた人々がチームを組み、自由な労働形態から成果を上げ生産性を上げていくことが必要となるでしょう。
しかし、敢えて言えば、少子高齢化は決して悪いことばかりが生じる暗い社会を日本にもたらすわけではありません。
少なくとも現在の日本の高齢者の多くは、知識や経験、そして資金や時間などの豊富なストック持っています。
社会が急激に高齢化していく中で、こうしたパワーが企業のイノベーションや社会の課題解決に向かうようになれば、「日本の未来は明るい」と言っても過言ではないかもしれません。
例えば、高齢者が気軽に地域の課題解決のために活躍できる社会参画の仕掛けを用意したり、高齢者が蓄えてきた資力を社会のために役立ててもらえるような(ファンド等による)資金の流れを作るなど、経済面で高齢者の資力を活用する方法は十分検討されているとは言えません。
さらに、高齢者が自ら創造的に輝くことで地域を活性化したりできるような場を整えたりと、高齢者の知恵や活力を地域社会に役立てるアイディアは(行政サイドにも)まだまだあると考えられます。
「クリエイティブ・エイジング」という言葉があるようですが、高齢者が自らの知恵や経験を活かし、いかに創造的に社会にかかわっていただけるかが、今後訪れる生産年齢人口減少社会のカギを握っていると考えられます。
さらに言えば、これから高齢期を迎える人たち自身にも、人生の後半戦をあくまで現役として創造的に生きていくために知識や経験や資力などのストックを蓄え、それらを次の世代のために生かしていく準備や努力が必要とされているということでしょう。
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