気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

Stay With Me 2

2018-12-10 14:05:45 | ストーリー
Stay With Me 2





そのデートからスイーツ以外のメールが届くようになり

私もメールが来るのを楽しみに待つようになっていた



『 今週土曜、飲みに行かない?
今度は正式な “デートの申し込み” なんだけど。』




正式なデートの申し込み…

その言葉にドキドキしてきた…






『わかりました。楽しみです。』




“楽しみです” なんて言葉を送ってしまった…


『嬉しいな!僕も楽しみだよ!』


その文面から嬉しそうな寺崎さんの笑顔が浮かんだ





ーー 土曜日


この日はお店の近くで待ち合わせをしていた


寺崎さんだ …











スラッとした長身で

いつものように背筋が伸びた綺麗な姿勢

手足が長くて顔も小さくて本当にスタイルが良い



私は寺崎さんの背中に軽く触れると

気づいて振り返った寺崎さんは私を見下ろした



「こんばんは…」
はにかんだ表情の寺崎さん


「こんばんは…」
その表情に私もつられてはにかんだ


「じゃあ、、行こうか」


一瞬 …

寺崎さんの手が私の背中に触れた

寺崎さんが私に触れたのはこれが初めてだった



その一瞬で

いつの間にか寺崎さんが私の中で気になる人になっていることに気がついた


気がついちゃったから…
凄く意識しちゃう



一人の男性として…




「…理奈ちゃん?」

「え?あ、ごめんなさい、、 」


つい、見つめ過ぎて話を聞き逃していた


「そんなに見つめられたら恥ずかしいな(笑)」

「ごめんなさい…」 
私の方が恥ずかしい!



「今日も眼鏡じゃないんだなと思って…」


ごまかしてみた

心まで見透かされてるような微笑みに胸がドキドキする

こういう表情が大人と感じる



「眼鏡かけてる方が良かった?」

「眼鏡をかけた寺崎さんも好きですよ。」

つい“ 好きです ” なんて言葉を使ってしまった



「理奈ちゃんは眼鏡の男、好きなの?」



眼鏡かけてる男性が好きってことでは…

うーん… 
どう言えばいいのかな



複雑な表情になった私を見て





「眼鏡の男が好きというより…

僕が… 好き… とか…」




え!?


ほんとに見透かされたようで驚いた



「いや、そんな訳ないか(笑)もう40になる僕なんかにね(笑)自惚れ過ぎだね(苦笑)ごめん。」


そんなことないのに…


「年齢差って気になります?私は全く気にならないです。

私は寺崎さんのこと一人の男性として見てま…けど… 」



少し驚いた表情から優しい笑顔に変わった



「ありがとう…

今さらだけど、君は若いから気になるようになってしまって… 」


少し残念そうに微笑んだ


「僕と一緒にいてつまらなくないかなとか

君ならもっと年相応の若い男とも出会えるはずなのにとか

僕の身勝手な思いに付き合わせてるんじゃないかと思うこともある。

だけどやっぱり僕は君と一緒にいたいし、また君に会いたいと思ってしまう。」




ーー これは告白 … ?





何か言葉を
返事をしなきゃ、、




「 一緒にいてとても楽しいです。

私も寺崎さんは気になる存在です… 」





「 ほんとに? 無理してない? 」

戸惑っている





「 ほんと、です … 」


凄く

恥ずかしい

寺崎さんの顔が見られない



ーー 二人とも沈黙した





この沈黙が私の緊張感を増した




「 あの … 理奈ちゃん」

彼は言いにくそうに話しかけてきて
目を合わせた




そして不安混じりの眼差しで真っ直ぐ私を見つめた


「 好き… なんだ。 君のこと。」





ーー その表情に真剣な気持ちが現れていた



心臓の鼓動が早くなって額が汗ばんできた




「 僕と付き合って欲しい … 君が、良ければだけど。

あ、返事は今じゃなくても良いから!」



大人の寺崎さんが
一生懸命 恥ずかしそうに告白をする姿に

胸がキュンとした




「 … 今 返事をします。」



その言葉に寺崎さんは急に緊張の表情になりますます背筋を伸ばして息を飲んだ



「 よろしくお願いします… 」

お辞儀をし視線はそのままテーブルから上げられなかった

今 多分私の顔は真っ赤になってるはず





「 ほんと?… ほんとに?」


視線を上げると

私の顔を覗き込むように
信じられないというような表情で私の顔を見てる


「 ほんと、です。」



パァッと表情が明るくなった


「 ありがとう ほんとに嬉しい!断られるのを覚悟してたから(笑) 」


寺崎さんは本当に嬉しそうに
沢山のシワを作って私に笑顔を向けた




その笑顔に
今頃になって胸がドキドキしてきた



ーーー




お店を出ると気温が下がっていた


火照った顔にはちょうど良かった





「 少し寒くなったね。もう一件行く?
それとももう帰ろうか。」




「 じゃあ、もう一件だけ … 」




「 わかった、そうしよう。」

彼の手が私の背中にふと触れた



その手は私の肩を抱くこともなく
手を繋ぐこともなく並んで歩いた



でも二人の距離は彼の肘が触るくらい近くなった








彼の行きつけのバーの扉を開けた




バーのマスターは年配の渋い男性で落ち着いたお店だった






「 女の子連れて来るの初めてだよねぇ? 彼女?」



「 あぁ、うん。そうだね(笑) 」

照れくさそうに私の顔を見た









もう今夜から私の彼氏なんだ …



彼の横顔を見つめる

やっぱり格好良い人だったんだな …






綺麗な横顔 …

私と違って(笑)







カウンターの下で彼がそっと私の手を握った



初めて手を握られてまたドキドキする






温かくて大きな手だな

海人くんより長い指なんじゃ …





また海人くんを思い出してしまった




でも以前みたいな胸の痛みがない

海人くんへの想いは消えてたんだな







ううん

消してくれたのは寺崎さんだ





寺崎さんを見つめる





「 可愛いでしょ? 僕の彼女(笑) 」

嬉しそうにマスターにそう言いながら私の顔を見た




「 うん(笑) 彼女にはおっさん過ぎじゃ?(笑) 」




彼は穏やかに微笑んだ



「 やっぱりそうかなぁ(笑) 」
はにかんで頭をかいた




私はあまり喋ることなくずっと飲んでいたから
立ち上がって自分が酔っていたことに気がついた




お店を出てタクシーで帰ることにした






「 ごめんね、僕が気がついてあげられなくて … 」


すまなさそうに微笑んで部屋の前まで送ってくれた






「 すみません、私が飲み過ぎちゃっただけです 」


鍵を探す私を背の高い彼は包みこむように優しく抱き締めた




わっ …




「 好きだよ。ほんとに … 」




彼は私に優しく唇を重ねた




彼から少しバーボンの香りがした

… 大人の香りだ







「 おやすみ … 」



優しく微笑んで

私が部屋に入るまで見守ってくれた




恥ずかしくて彼を直視できずゆっくりドアを閉めた






彼の足音が次第に遠ざかっていく








あぁ …

凄くドキドキする




“ 好きだよ。ほんとに … ”

いつもより少し低めの
落ち着いた声だった



私が思っていた以上に彼の身長が高いことも実感した

そしてコートからフレグランスに混じる男性らしい良い香りがした




今日この部屋を出る時は

まさか寺崎さんとキスするなんて


ーー 想像もしてなかった







酔ってるせいもあり頭が

ぼんやりする …



まるで夢みたいに現実感がない














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Stay With Me 1

2018-12-10 02:33:00 | ストーリー
Stay With Me 1




彼氏だった海人くんと別れて1週間

当たり前だけど
海人くんからはメールも電話も来なくなった

私がフラれた形で二人の関係は終わったんだもん

当然だよ...



24歳 吉野 理奈

私は華やかさもない 
ごく平凡なOL

お付き合いをした男性は海人くんで二人目

本気で凄く好きになって
ちゃんとお付き合いしたのは海人くんだけ

海人くんとは大学の同級生だった


人気者の彼と社会人になってまた再会し

私は大学の頃から片想いをしていた彼に勇気を出して告白

付き合うことになったけれど半年程で別れてしまった



今までに来た海人くんからのメールを読み返すだけで

悲しさがこみ上げ涙が溢れてくる


私にはまだ海人くんへの未練が残ってる




海人くんのメールを見ていたら

同じ大学で海人くんとも友達の修司くんからメールが来た



修司くんには私達が別れた事を告げた

修司くんは昔から優しいから気を使ったのか私を食事に誘ってくれた


海人くんとの別れを話すとやっぱり私は涙が溢れて

優しい修司くんも黙って私の話を聞きながら涙ぐんでいた



ーーー



今の部屋には海人くんとの思い出が残っているからこの部屋から離れようと決め

引っ越しには修司くんが手伝いをしに来てくれた


引っ越した次の部屋は会社から少しだけ遠くなっちゃったけど

海人くんとは歩いたことのない町にした




引っ越しの荷物の運び入れを修司くんはてきぱきと手伝ってくれたお陰で

その日の夜にはある程度まで片付けることができた

「理奈ちゃん、大丈夫そう?困ったこととかあったら遠慮なく言えよ?」

「本当にありがとう。そうさせてもらう(笑)」


修司くんは帰り
新しい部屋で一人きりになった



よし、明日からは気持ちを切り替えよう!




それから一日一日
日が経つにつれて

少しずつ海人くんのことを思い出す回数が減ってきた


そんなある日ーー



退社して駅に向かって歩いていると

見たことのある男性がチョコレート専門店の前で立ち止まっていた

えーっと… あの人誰だったかな…
あ、そうだ!同じマンションの人だ

たまにエレベーターですれ違う度に
軽く会釈をしてくれる男性だった

見た感じ年齢は30代後半ぐらいの人


「あのぉ… こんにちは」

私が声をかけるとその男性は驚いた表情をして照れくさそうに私に微笑んだ


「あ、こっ、こんにちは、、」
私に会釈をした


「お店に入らないんですか?」

私がそう尋ねると
男性は頭をかきながら


「(お客さんが) 今女の人ばかりで入りづらくて(笑)」

確かに店内は若い女の子でいっぱいになっていた


「じゃあ私、一緒に入りましょうか?」

そう言うと男性は明るい表情に変わった


「えっ?助かります!ありがとうございます!」

へぇ、こんな明るい表情をする人なんだ(笑)

いつも軽く会釈して足早に駅に向かって行く人だから表情までちゃんと見てなかった


私も入ったことのないお店ーー


女の子のお客さんが少し少なくなった隙に

男性と店内のガラス扉を開けた


店内は甘いチョコレートの香り
色とりどりのチョコレートがガラスケースに並んでいる


わぁ、可愛い…
自然と顔がほころぶ

チョコレートの甘い香りって心までとろけそうな気分になるなぁ

ガラスケースを覗きこむ男性をチラッと横目で見たら

女の子のようにキラキラした表情でチョコを眺めていた


この人 本当にチョコが好きなんだなぁ(笑)



「どれにするんですか?」
そう男性に声をかけてみた

「悩むなぁ… んー じゃあ 、、 」


10粒ほど男性は選んだ
私は5粒


「君の分は僕にプレゼントさせてください。お礼です(笑) 」


男性にチョコをプレゼントしてもらえた

「もうこのまま帰りますか?」

「はい。帰ります。」


同じマンションだからそのまま一緒に電車に乗った


お互い名前も知らないし
ただ同じマンションで顔見知りというだけの間柄


この時 初めてこの男性の名前を知った

「僕は寺崎と言います。」
寺崎さんは39歳の独身だとわかった


私より随分と年上の大人の男性

PCのショップで修繕や作動状況を調べたり

初期セッティングや不具合を調べて調整をするお仕事をしているらしい


ショップは会社の近くだし、前に何度か立ち寄ったことがあった


眼鏡の感じのせいもあって
本当に見たままの真面目な男性だな …

マンションに着いた


「今日は本当に助かりました。あの… もし迷惑でなければ、また今日みたいにスイーツを買いに行く時に付き合ってもらえませんか?

あっ、もちろん僕、おごりますから!」


スイーツは大好きなんだけど女の子が多いと気後れしちゃうってことかな?


「いいですよ(笑)予定が無い日なら(笑)」

寺崎さんは嬉しそうな表情をした

「それは嬉しい!実は他にも行きたかったところがあったんだけど
そこも今日の店みたいに若い女の子がいっぱいで。

じゃあ お言葉に甘えて… よろしくお願いします。

あ… じゃあ… えっと… 僕のID送ります… 」


照れくさそうにポケットからスマホを取り出した

寺崎さんとIDの交換をして二人でエレベーターに乗り込んだ


「じゃあまた連絡させていただきますね(笑)」


そう言うと3階で寺崎さんは降りた








部屋に入り
いただいたチョコの箱を開けてみる



「…ほんと良い香り」

今頃、寺崎さんもチョコを眺めてるのかな

チョコを眺めがらほころんでいた寺崎さんの横顔を思い出して私も顔がほころんだ


仕事以外で男性と話をするのは修司くん以外いないから新鮮な気持ちだった


珈琲を入れて
一粒チョコを少しかじってみた


わっ、美味しい…
オレンジフレーバーのチョコレート

オレンジの甘酸っぱさとチョコのほろ苦さが同時に口の中に広がる


甘いものって幸せな気分になるな…
その夜は心がほっこりした


それからしばらくして

寺崎さんが前に話していたスイーツのお店に行く約束をした

 
この人に彼女がいたらデートはスイーツ巡りなんだろうな

そして約束したパンケーキの美味しいカフェに入った

「本当に付き合わせちゃってごめん(笑)」

スイーツのこととなると途端に子供みたいな表情になる寺崎さんも

仕事の話やITの話になると途端に大人の男性の表情に変わる


この人のこのギャップ、魅力的だと思った

「寺崎さんは彼女、作らないんですか?
そうすれば彼女と一緒にスイーツ巡りできるのに 」

「うーん。そうだね(笑) 僕の仕事ってオタク系じゃない?

接客でもないし裏方の仕事だから女性との出会いもない(笑)」


微笑みながらコーヒーを飲んだ


「今更だけど‥吉野さんの貴重な休日に僕なんかに時間使ってもらっていいのかなって気になって。

彼氏とかいたら悪いななんて後から気がついて…」




「そういう人、今はいないので大丈夫ですよ(笑)それにスイーツ私も好きなので。」

「そっか。じゃあまた付き合ってもらえたりするかな。」

「ええ、是非(笑)」

ほっとした表情で私に優しく微笑みかけた




ほんのちょっとだけ
その微笑みにドキッとした


でも寺崎さんからはスイーツのお店の情報交換以外のメールが来くることはなかった



そんなある日 ーー




『吉野さん。スイーツじゃないんだけど、食事行かない?』



え?
スイーツじゃない?

初めてだな…


私はそのお誘いを快諾した



約束の日

マンションのエントランスに降りると男性から声をかけられた



「こんにちは。」


一瞬 誰だかわからなかった



「寺崎さん?」

「はい… 」
照れくさそうに頭をかいた



この仕草
寺崎さんだ(笑)


「誰だかわかりませんでした(笑)とても素敵です。」



スーツ姿 初めて見た
今日は眼鏡もかけてない


いつもと雰囲気が違って別人のよう

なんだか…
格好良い










「ありがとう、あっ、行こうか… 」


めちゃくちゃ照れてる

凄く年上の男性なのにシャイに照れる所が可愛い(笑)




車のドアを開けてくれて乗り込んだ


ほんと…
いつもとイメージが違うなぁ

運転をする寺崎さんの横顔をついチラチラと見てしまう


真面目な雰囲気は全然変わらないのに
渋くて格好良い大人の男性になってる

大人って… (笑)

15も年上なんだから当然でしょ!(笑)



「今日は僕、デートみたいな気分だけど、、、いいかな(笑)」


デート?
あぁ、だから今日はオシャレな感じなんだ


「あ!ごめん… 先にデートなんて言ったら君が来てくれなくなりそうで… 」


苦笑いする横顔


「だから今日はいつもと雰囲気が違うんですね(笑)」

「中年のおやじなりに頑張ってみた(笑) 」

そう言いながら照れ笑いする寺崎さんがほんとに可愛い


「デートなら私もそれなりの格好してくれば良かったな 」

「君はいつもそのままで十分可愛いから(笑)」


可愛いなんて言われたことないよ

私は平凡で華もない地味な女だし…


「ははっ!中年のおやじが何言ってんだか、だよね(笑) 」

そう言いながらもずっと前を向いたまま私の顔を見ない


おやじだなんて、スイーツ巡りをしてた時はそんなこと言わなかったのに…

年齢差を気にするようになったのかな
私は全く気にしてなかったけど…



オシャレなお店に到着した

へぇ~! 素敵なお店!


そこで寺崎さんと話をしながら食事をした

ほんとにデート感…
ドキドキする


こんなに年上の大人の男性とデートなんて初めて 

しかも今日の寺崎さんは素敵だし

少し緊張しているように見える寺崎さんの表情が可愛い


「あの、、吉野さんのこと、、理奈ちゃんって呼んでもいいかな」


え?


「あ、ごめん、馴れ馴れしいか、、

驚いた私の表情に寺崎さんは苦笑いした


「あ、いえ… 構いませんよ(笑) 」
私のその一言にホッとした表情に変わった

ちゃん付けだと余計に年の差を感じない?(笑)


寺崎さんは私のこと
どう思ってデートに誘ってくれたんだろう

デートだから恋愛対象...とか?


まさかね(笑)


でも
もしそうだったら…?


私は?

寺崎さんのこと
恋愛対象なのかな…






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