気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

Stay With Me ( Forever & Always 1 )

2019-04-22 13:03:22 | ストーリー
Stay With Me


ー Forever & Always (1) ー












俺は昔から友人から
普通に “ 斎藤 ” と呼ばれている







子供の頃の誕生祝いでカメラをもらったことがきっかけで


大層なカメラ好きだった親父は

カメラに興味を持った俺に嬉しそうにカメラの使い方を教え

俺をとても可愛がってくれた






たまに海外出張もある親父は



出張から帰ってくると直ぐに


撮ってきた写真を自宅の一室に作った現像室で直ぐに写真を現像し

俺や妹に嬉しそうに見せては
海外での出来事を嬉しそうに聞かせてくれた






数年に一度


家族で海外旅行に行っていたが

現地に着くと親父は事前にリサーチをしていた場所に
写真を撮りに行きたがっていた




母さんはいつも呆れながらも
それに付き合っていた感じだったな



父方の爺ちゃんがイタリア人のハーフで親父は幼少の頃 海外暮らしをしていたからか

親父は世界観も人間的にも大きな男だった







親父と同様に写真を撮る事が趣味になった俺は

将来は写真家になろうと思った





それはごく自然の流れだった








高校の夏休みに初めての一人旅で行ったニューヨーク


そこで俺は光と影を見た






表向きの華やかなニューヨーク


綺麗なスーツを着たビジネスマンや
モデルのような洒落た女性





ひとつ路地を曲がるとダウンタウン



まともに教育も受けてこなかったような人々や
その子供達



俺は愛情も経済的にも恵まれて育ったことを実感した




人種や貧富 教育の格差で

人生は大きく違ってくることを目の当たりにした


それでも

子供達は生き生きとしていた





人間の表と裏があり

裕福でも貧困でも

人の幸福はそれだけで決まらない




幸福かどうかは自分の心がどう感じているか、だろう


心がその人を形づけていると言ってもいいかもしれない




言葉にはできない心の言葉や内面も

写し出せるような



見えるものだけに囚われない

そんな写真家になりたいと




その時 深く思った


それから数年


俺はカメラマンの道に進んだ







もちろん始めは荷物持ちから




徐々に実力が認められるようになり





有名なファッション雑誌で撮らせてもらえるようになった



それは自分が思っていたより早く叶った







何が被写体になっていても

表に見える形や姿だけではなく

内に秘めた美しさや本質的なものを具現化し写す






それが俺のスタイルになっていた









ーーーーー









カメラマンはそれなりにモテる






カメラマンとモデルは

シャッターを切っている間は



恋人だけを見て一心に愛撫しているような

そんな感覚に近いのかもしれない






だからか

恋愛感情を抱かれることもある






モデルの女の子に食事やデートに誘われることも
少なくない



でも俺は全て断ってきた



仕事は仕事

プライベートとは区別して考えていた






だからか


俺はガードが硬いとか

実はゲイではないか、人妻と不倫しているんじゃ、など

影ではいろんな憶測があるようだが



俺はそんな声は全く気にならなかった









俺は

惚れた女を口説きたい 、ただそれだけ




付き合った女はそれなりにはいた




美しい女が好きだ

容姿が美しくいのももちろん悪くはないが
心が惹かれる女


常に頭の片隅にいるような …




そう

“ あの女性(ひと) ” のような ーー














仕事柄 モデルやヘアメイク、スタイリストなど
女性との接点が多いからか

付き合っている彼女が誤解をすることもあった




そんなんで関係が拗れてくると
信頼関係が崩れ


気持ちが冷めてしまう




もちろん上手く付き合っていきたいと思って
きちんと向き合って話もしてきたが


それでもお互いにすれ違い始めると
心の距離は離れるばかりで














元に戻ることはなかった







俺は結婚願望がないし

いつも四六時中ずっと傍にいたいと思うこともない



お互いに自分の時間を大切にするような関係を望むし
そんな精神的に自立をした女が理想だった



そんな関係でも
心が繋がっていれば大丈夫



そう信じていた



もしかしたら
それは自分勝手な考えなのかもしれないが











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Stay With Me 14

2019-04-22 12:09:00 | ストーリー
Stay With Me 14







男の靴が玄関にある




部屋から男の声が聞こえる


誰か来てる ーー



リビングに入ると理奈ちゃんが男と談笑していた

「あ、おかえりなさい!」


男が振り返った

「どうも。」


理奈ちゃんのお兄さんの雅人くんだった


「あぁ、こんばんは 、 、」


… なんで来てるんだ




「どうしたんですか?」


「こっちに用があって。理奈の住んでるとこも見たことなかったし。」


「そうでしたね(笑)」


義兄と言っても
僕より10歳以上年下


「行くんは元気だった??」


“くん” 付け
なんとかならないかって前々から引っ掛かる



「まぁ 変わらず。雅人くんは?」

上着を脱いで鞄を置いてソファに座った




「俺も変わらずだな(笑) でさ、今夜ここに泊めてもらうことになったから、よろしく。」

理奈ちゃんの顔を見たら困った笑顔を返してきた


「あぁ、そうなんだ、、」


LINEででも先に教えてくれてたら
心の準備したのに





僕は10歳以上も年下のこの雅人くんがどうも苦手だ ーー

時々 トゲのある言い方をすることもあるからな






僕にも妹はいるが
僕ら兄妹との関係とは全く距離感が違う




この人は理奈ちゃんと異常に近い

絶対にこの人 シスコンだ




「私がソファで寝るよ。」


なんで? 僕らは一緒に…


「男同士が一緒の布団では寝られないだろ?(笑)」



そりゃそうだが…



「ああ!それもいいか(笑) 話したいことあるし(笑)」

話したいことなんか僕にはない


「話したいことって何ですか」



「まぁ、、それはー」

理奈ちゃんの顔をチラッと見て僕にニッコリ微笑んだ


「男にしかわからないこととかあるだろ?(笑)」


はぁ?


「じゃあ俺、風呂借りるわ(笑)」


「あ、タオル出すよ!」



二人が風呂の方に向かった



僕は上着と鞄を持って自室のクローゼットのハンガーに上着をかけた




話ってなんだ

取り敢えず明日には帰るだろうからそれまでの辛抱か…


雅人くんが風呂に入ったのを確認して
理奈ちゃんに話しかけた


「雅人くんが来てるって連絡が無かったから驚いたよ。どうしたの? 急に訪ねてきたの?」



「そう。私も驚いた 」苦笑いをした


「ほんとに君がソファで寝るの?」


「うん(笑) 今夜だけだし別に良いよ。」


「僕が雅人くんと寝るの?」


「嫌? じゃあお兄ちゃんにソファで寝てって言おうか。」


「それは、」

まるで僕が言わせたみたいだよな




結局 …

僕がソファに
雅人くんと理奈ちゃんが同じ布団で寝ることになった


風呂から上がった雅人くんが冷蔵庫からビールを取り出し缶を開けて飲みながら


「行くん、俺が理奈とベッド使っていいの?」


いいの? ってどういう …


「 …はぁ」


「やっぱり私がソファで… 」


「いいじゃん。行くんがソファで良いって言ってくれてるんだし? 悪いな(笑) 話はまた今度ってことで(笑)」


だから話ってなんだよ!


雅人くんと理奈ちゃんは本当の兄妹じゃない
雅人くんはお義父さんの親友の子

その親友が事故で亡くなって引き取った子供だと聞いた


幼い頃から兄妹として育った二人だから
男女の恋愛感情なんてものはないだろう

… とは思うけど





僕は気にし過ぎだと思ってるけど
やっぱり あのシスコンっぷりを見ると …

嫌な想像をしてしまって不安になる





髪を乾かしてリビングに入ると雅人くんの姿はなかった





「斎藤さんとどんな話したの? 斎藤さんって、とても素敵な人だったもんね。 凄く格好良いし、優しいし… 誠実そうだし… ねっ(笑)」



“ねっ” !?



「ん… あいつは確かに良い奴だよ。昔から。」


「今夜 急に斎藤さんと会うことになったでしょ?何かあったの?」


「いや、別に何もないよ(笑)」


「そうなの??」


「理奈ちゃん … あいつ (斎藤) のこと 、好きに 」


「ならないからっ(笑) まだ気にしてるの?(笑) ふふふっ」


「別に、、気にしてない。」




ほんとは気にしてる ーー





理奈ちゃんが僕の首に腕を回してバグをした

「そんなこと気にしてる行さん、可愛いなぁ(笑)」




あぁ 今夜は理奈ちゃんと … なんて思って帰ってきたのに

雅人くんが来てなきゃ




服の中に手を入れた


「ダメダメ! お兄ちゃんがいるんだし(笑)」


「もう寝たんだろう? ちょっとだけ…」


「(まだ起きてるかもしれないから )」

小声でそう言って軽く手を振り “僕らの寝室” に入っていった




キスぐらい良いじゃないかと
僕はふてくされながら水を飲んだ



「はぁ~」


大きなため息をついてスマホを手に取り充電コードを差し込んでリビングの電気を消した









間接照明だけの薄暗い部屋で毛布を広げソファに横になった




時計の秒針の音が大きく聞こえる


静かだ…

寝室が気になる



気になって 寝られない!

やっぱり僕が雅人くんと寝れば良かった

いつもなら 直ぐに寝られるのに …



僕は やっぱり理奈ちゃんが大好きで
いつも一緒にいたくて

斎藤と違ってやきもち妬きの小さい男だ



理奈ちゃんに頼りにされなくて当然かもな …









「 はぁ~ 」


また大きな溜め息が出た






静かに寝室のドアが開いて驚き身体を起こした

雅人くんだった





「 ( デカイため息ついてんな ) 」


「 理奈ちゃん寝たんですか? 」


「 もう寝てる。」




嘘だろ!? 最近また寝つき悪いって言ってたのに …




「 眠れない? 」


「 理奈が寝るまでは起きてようと思ってた。」




え?




「 話あるって言ったろ? 」



あぁ、ほんとに話があったのか

わざわざ理奈ちゃんが寝てから話って …





僕の向かいの椅子に座った




「 話って何かな。」


前のめりになって下から睨むように僕を直視した




「 俺見かけたんだよね。お前が女と良い感じだったとこ。」



「 … え? 」



「 見間違いかと思ったけどやっぱりあんただった。」




あんた … ?




薄暗い部屋の中
鋭い目だけが獣のように光って見え

息を飲んだ ーー




この男

普段 理奈ちゃんの前ではひょうひょうとしているのに

こんな鋭く凄みのある一面


見たことない






「 あの子は知り合いで偶然会っただけで。それだけだ。」


ちゃんと目を合わせて本当の気持ちを伝えた




「 俺さぁ …

理奈が好きだからあんたみたいないい加減な奴と結婚なんて許せないんだよね。」





好きって ーー




「 好きってどういう … 」


「 女と抱き合ってたろ。」


血の気が引くとはこういう感じなのだろう
急に寒気がしてきた




「 あれってあいつへの裏切り行為だろ 」


「 はぁ!? 」


「 ( シーッ!あいつが起きるだろ?) 」



雅人くんが寝室の方に目をやった


「 男の浮気って世間では男の性(さが)みたいに言われてるけど俺はあんたとは違う。

一度やった奴は またやる。」




「 (そんなんじゃない!) 」

イラッとした




「 浮気以外なんなんだ。他の女と遊んどいてあいつと結婚ってあんた何考えてんだ。いい加減にしろよ!

今すぐ理奈と別れろ。」




“ 別れろ ” の
その言葉に怒りが汲み上げた




「 別れない。 絶対に。」



睨み合いになった



きっと何を言ってもこの男は信じないだろう






「 じゃあ あの女のこと、あいつに話せんのか?
話せないなら後ろめたさがあるってことだ。

あいつじゃなくても良いだろ?

そんだけの顔持ってたら女には困らないだろ? 」





「 僕には彼女が必要だ。彼女も同じだ。」

握りしめた手が怒りで震えながらも冷静に応えた




















「 あんた見てたらほんっとムカつくんだよ!
なんでこんな最低なおっさんを理奈が、、 」




寝室のドアが開いた




「 なぁにぃ? どうしたの? 」

眠そうに理奈ちゃんが起きてきた




怒り心頭の僕は立ち上がって

「 いや、何でもないよ、やっぱり雅人くんがソファで寝るって。 じゃ、雅人くん、おやすみ。」



「 待てよ! 」

雅人くんの言葉を無視して
理奈ちゃんの肩を抱いて一緒に寝室に入った



「 え? なになに? 喧嘩してたの!? 」



「 もう寝よ。」





布団に入って理奈ちゃんを抱き締める





腹が立つ





義兄って言ってもあれじゃ完全に理奈ちゃんを狙ってる “ ひとりの男 ” じゃないか





「 く、、苦し … 」


強く抱き締め過ぎた



「 ごめん … 」



「 何でそんなに怒ってるの? お兄ちゃんと何を話したの? 喧嘩? なんで? 」




「 何でもないよ。さっき君がキスしてくれなかったから寂しいだけだっ。」



理奈ちゃんがキスをしてきた

「 ごめん (笑) 」

子供をあやすように僕の頬を撫でた




「 僕は今夜イチャイチャしたくて帰ってきたのに。」



僕は理奈ちゃんの唇に頬にキスをしながら
胸元のボタンを外し始めたらやっぱり阻止された




「 どうしてもイヤなのか?

あっ、それと。なんで雅人くんと一緒だとそんな直ぐに眠れるんだ。いつもはなかなか眠れないのに。」



「 ごめん … 眠剤 飲んでた … 」




なんでこんな時に飲むんだよっ



「 行さん … そんな恐い顔して怒らないで (笑) 」

さっきの事でイライラがおさまらない




困ったなぁ、というように微笑んで

「 ( じゃあ、ちょっとだけなら ) 」


「 ほんとに … ? 」


「 ( あ、しないからね!) 」


「 それは … 約束できない 」








ーーーーー








いつの間にか雅人くんは部屋を出て行っていた



「 どうしよう … 」


理奈ちゃんは雅人くんが帰ってしまっていることに困惑していた





「 きっと気付いたよね … 恥ずかしい 」

両手で顔を覆った


「 恥ずかしくなんかないっ。だって結婚するんだから。」



僕達がお互いに愛し合ってることを知らしめたかったから

僕は気分が良い





「 ちょっとだけって言ったのに! 」

僕の腕を叩いた



「 ひどいっ! 」



君が必死で声を殺していたから
抑えきれないよう攻めたことを怒ってる




「 怒らないで?(笑) 理奈ちゃん。」


抱き締めたらまた背中を叩かれた


「 行さんキライ! 」



キライという言葉に胸がチクッとした





「 嫌いなんて言わないで欲しい。

僕は君を愛してるよ。

だから誰にも奪われたくない。それだけだ。」




理奈ちゃんは なんのことだかわかってない

知らなくてもいい …

雅人くんの気持ちなんか … 一生













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