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感覚統合を活用 重度重複の子の指導

2018年11月21日 | 教育
感覚統合法で初期感覚を育てる「重度重複の指導」

重度の肢体不自由のあるはなさん(仮名)の教育を担当した(中学生)。
体調が安定せず,学校にも通学できない子の指導である。
家庭に訪問して2時間の学習の間,はなさんは眠ってしまうことが多く,
また,発作が始まると10回以上,数え切れないほど出てしまう。
呼びかけに答えることもできない。その指導と変化である。

寝ている状態で絵の具を指先につけたが,意識も視線も向けることは
難しいお子さんだった。呼びかけにも答えることが難しかった。

およそ自分の意思では動けない。通常,人は五感を使って物事を認識する。
学習もそうである。教室で行われる学習は五感のうち,
聴覚・視覚(聞く,読む,話す,書く)が中心である。しかし,
重度重複の子は聴覚,視覚に頼る学習はおよそ困難である。

ではどうすれば学習ができるのか。方法はあるのか。

ある。それは初期感覚である。五感を働かせる前に体を維持している,
固有覚・触覚・前庭覚である。この感覚に働きかける指導のプログラムを
14回重ね,はなさんは五感がはっきりと働いた。

14回目の訪問で,はじめて私の呼びかけに首を向けた。
「はなちゃん,はなちゃん。」と右に行って呼び,首を向ける,
左で呼ぶと首を向ける,ということを5度繰り返したのだ。
私の声を認識し,私の方を見る。聴覚と視覚が働いた瞬間である。

ここから,様々な指導が可能となる。その時に手掛かりとした指導の方策は,
感覚統合の理論である。指導に直結した取り組みにつながる良さがある。
しかし,その理論も,実際のアプローチの仕方へと現場でつなげなければ意味がない。
必要な技術を導きだし,指導の根拠としてつなげ,誰もができる指導技術とする。

それが定石化である。

その指導の手立てを導きだし,誰もが使える指導技術としていきたい。
それが,重度重複の子に誰もが指導をできることにつながる。
さらに,この初期感覚の指導は発達障害の子ども達にも実は重要な指導
であることが分かってきた。
どの子もできるようになる,できるようにさせられるのである。

コメント
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