思う・学ぶ・発達支援 心のケア サイト

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子どもは変わる2

2018年11月27日 | 教育
背景を読み取り支援につなげる

 授業中教室から飛び出す。誰が声をかけても戻らない。
声をかけた校長先生に,「校長先生は大嫌いだ。
あっちへ行け」と叫ぶ。支援員が付いており,担任は
その子を支援員に任せ,クラスの他の子は普通に授業
を受けている。40人のクラスがまとまっており,
授業の技術は高い。しかし,授業中クラスから飛び出
す子が改善できない。

 その子の行動が,5カ月余りで改善された。その子
の抱える背景を十分に聞き取り,関係者が共通の認識
を持って対応したことと同時に,保護者の意識に変化
が起きたことが大きな決め手となった。「必要ない」
と言っていた保護者が専門の医療機関にかかったので
ある。適切な薬を処方され,学級の中ですっかり落ち
着きを取り戻した。

 その子の見える行動だけでなく,その背景を探る。
そこに解決の糸口が見つけられる場合がある。相談業
務を各方面から受けているプロの臨床家に伺った内容
について紹介する。

アセスメント・フェイスシート

 その子の表面的なことだけでなく,抱えている背景
を読み取る。その情報は,他の専門機関の方々の協力
を得る場合は絶対に欠かせない。臨床家のプロはその
情報の一つ一つから原因や対応を瞬時に読み取る。

――――――――――――――――――

Ⅰ フェイスシートの作成

1 氏名・年齢・性別・在籍期間
 呼称やニックネーム,国籍,在籍期間の概要等。

2 相談経緯及び相談者
 相談者の立場・役職・リファー等

3 主訴 誰が・いつから・どこで・どんなことで・
 どれくらい困っているのか
(1)相談者の困っていること。
(2)本人の困っていること,本人は困っているのか。
(3)保護者の困っていること,保護者は困っているのか。
(4)その他の人や場が困っていること。

4 発症契機
(1)いつごろ始まったか。いつごろ気づいたか。
(2)はじめて起きたのか。繰り返しているのか。
(3)どのくらい続いているのか。
(4)本人だけなのか。誰か巻き込んでいるのか。
 (集団で起きているのか。一対一の人間関係で起きているのか。)
(5)どこで起こっているのか。限局的なのか。どの場面でもか。
 (家庭・学校・地域等)時間的な限定はあるのか。
 (朝・日中・夕刻・夜・夜中等)

(6)今までとった対応・対策はなにか。
 (いつ頃・どこに・期間と頻度・機関と相談経過・方針等)
(7)その結果はどうなったのか。
(8)本人の受け止め方はどうか。
 (本人は困っているのか。なんとかしたいと思って
  いる様子があるのか。全く問題意識がないのか。)
(9)今後活用できる資源はなにか。
 (相談機関・医療機関・支援,協力者等。)

5 今回の相談での要望・希望
(1)具体的にどうしたいのか。
  (最終的な目標,当面の目標は何か。)
(2)こちらへの具体的な希望要望はなにか。
 
以上,上記の情報を突破口とし,必要に応じて,

Ⅱ 情報の収集:6既往歴 7性格等
 8在籍機関(幼稚園・保育所・各学校)からの情報 
 9関係機関からの情報 10家族歴 

Ⅲ 生育歴の作成 11生活史の聴取

といった内容を細かく掘り下げる。

判断は素早く的確に行うことが問題解決の条件である。
しかし,薄い情報では的確な判断ができず,誤る。
素早くできるだけ正しい情報入手し,その上で的確な
判断をする。それがベストな解決の方向に向かう。

コメント
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