思う・学ぶ・発達支援 心のケア サイト

特別支援教育の実践情報など。また,日々の喜びを見つけ、よくする手立てはないか考える、成長・教育のサイトです。

発達障害の子の変化(幼児期)

2019年03月04日 | 教育
<初期の様子>
・自分の気にいらないことがあると保育士,友だち関係なく罵倒する。
・イライラして,唾を吐きかける。泣き叫ぶ。
・通常の活動へ参加しない。
・好きな車の絵を描き続けている。

<考えるイス>※魔法のイス
・ピアノの隠れた場所にいすを一つ置き,
「あれは魔法のイスです。いけないことをしたときに,よい子になるために
あの椅子に座って考えなければなりません。」
と言って,何度か実際に座って考えた後,行動の抑制がかなり効き始めた。

<3回のアドバイス後の変化>

・友だちに蹴られたと勘違いし怒ったが,そのあと我慢して活動した。
・そのご活動に参加し続けた。
・急に怒りだす,泣き叫ぶパニックはなくなった。
・車だけでなく,友だちの絵も描くようになった。
・以前と別人のようになってきた。

<社会性の困難が見え始めた>
・人と交流を拒絶することがなくなった半面,友達との関わりが増えた結果,
 発達障害の特性から来る社会性の困難さが浮き彫りになってきた。
①被害妄想(友達が意地悪をすると思い込む)
②模範生になって他者を注意,非難する。
③集団遊びのルールが理解できずトラブルにつながっていく。
④先生に告げ口をする。

<確認したこと>

 今までは,周りを気にせず独断的な行動に終始し,社会的交渉場面やルールの
ステージに上がらなかったが,自分から友達の輪の中に入り込むようになった成
長を,成果として評価した。
 同時に,対象児動だけでなく,「クラス全体の幼児の社会性向上のチャンスで
もあり,よりよい指導を広げていくことができますね。」激励した。
 ほぼ,他の幼児たちと同じルールや指導で対応できるようになったので,専属
で付いていた保育士も徐々にかかわりを希薄化し,別の子の担当へと移行する方
向で話し合った。

<今後の対応>
・考えるイスはA君だけが座るものではなく,仲間を傷つけたり,仲間に迷惑を
 かけた場合は誰でも座って考えをまとめなければならない物と位置づけること。
・考えるイスは,座ると誰でも落ち着き,すっきりしてしまう,実は魔法のイ
 スであると演出を加えて位置づけさせること。
(社会的ルールの存在の意識化+クールダウン機能)
・問題行動がなくなっても,医療や相談機関との連携が必要なお子さんであるこ
 との再確認。
・被害妄想と教師への要求のすり替え作業を,会話中,意識して取り違えないよ
 うにすること。

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こども園での発達障害の子の理解と対応

2019年03月03日 | 教育
ある小さな規模のこども園。
・0歳から6歳が在籍。
・年長クラスは18名に保育士2名。その中に発達障害傾向の子が数名いる。

<1日の流れ>
・8時半から9時:登園。
・9時から9時半:室内自由遊び。
・9時半から10時:出欠確認・歌。
・10時から11時半:外遊び。
・11時半から13時:給食
・13時から13時半:歯磨き
・13時半から15時:お昼寝

<対象の子の様子>
・機嫌がよいと元気でよくしゃべる。
・質問に対しての解答も適切。
・情緒の不安定があり,すぐに怒り始めるところがある。
・外遊びでは,気に入らないことがあって友達の顔をたたいた。
・友だちの大事にしていた折り紙を奪って,走って,踏みつけた。
・昼寝で好きな子のそばで寝たいと泣き叫び,その子にバカ野郎,と暴言。
・お絵かきではほとんど車の絵を描いている。

<今後の関わりとして>

・先生方は非常に熱心であったが,それゆえに子どもの主体性を大切にする,
自由保育が,「子どもの要求はすべて受容し,共感的に対応する」ということ
に終始しているようだった。
・その結果,本来「しつけ」なくてはならない指導場面で葛藤,躊躇した曖昧な
様子が見られた。そこで,

①「子どもの主体性とは何か」「幼児教育で教えるべきことは何か」
 関係の保育士みんなで協議し,確認した。
②大切なことは,「(幼児教育で教えるべきことを)教えてほめる」こと。
 現状は,「具体的に教えない,叱らない」になっていることを確認した。
③友達を傷つけたり,友だちに迷惑をかけたりしたときの具体的対応を話し合った。
④医療との連携も探っていくことをお話した。

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自分を信じること

2019年03月03日 | 励み言葉/癒し言葉
アンリ・ルソー。
その生き方より学ぶこと。

人は,自分の才能を信じ切れば,
才能を超えていくことができる。
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発達障害の疑いのある「幼児」の指導2

2019年03月02日 | 教育
主訴 自分の思い通りに行動し,注意をしても話を聞こうとしない。どのように
対応したらよいか。


1 話を聞いて感じた可能性

・別居している父親が円のお祭りに来ると,普段とは別人のようにお利口になったとのこと。

→怖い存在であるのかもしれないが,使い分けができるようなので,感情のコン
 トロールが本児にできるかもしれない。

2 アセスメントアプローチ

①おもちゃの鉄砲
・おもちゃの鉄砲で友達を追いかけた。
・友だちが嫌がって声をかげたとき,腕をつかんで「鉄砲で友達を追いかけるこ
 とは悪いことです」と目を見て静かな声で伝えた。
・その後,「向うの的でやるといいよ」と言うと,おとなしくやり始めた。
・「えらいね。よくそこでできたね」とほめた。
・もう一度友達を追いかけそうなときに,「鉄砲は的でやります」というと止まった。

②靴投げ
・何かイライラして靴を持って投げつけようとした。
・「靴を投げるのは悪いことです」と言って押さえ
 「靴は履くものです」と言うと,やめて泣き始めた。
・その後,他の先生に暴言を吐いたが靴は投げなかった。

③集合
・集合の際,廊下へ勝手に走っていったが,みんなの方をちらちら見ながら追い
 かけてこないところを見ると戻ってきた。

④給食の片づけ
・「給食の片づけをやらない」と怒り出し,片づけを先生から促されると箸を投
 げつけた。
・その際,私の方をちらっと見たので,黙ってじっと見ていると,暴言を吐きな
 がらもきちんと片づけた。

→以上の,観察,行動の様子から,感情のコントロールができることが予想された。

3 今後の対応

・人をたたいたり,蹴ったりなど,感情が高まり,行動がエスカレートしてしま
 うと,前回私のことも蹴ってきたので,問題行動が起きる初期の段階で言っ
 て聞かせる指導を試みてはと提案した。
・問題行動ができまでを10段階として,1・2段階の初期のうちに,「して
 はいけない行動」「正しい行動の仕方」を伝えるようにする。
・その際,大声ではなく,静かな声で,目を合わせて具体的に端的に伝えるよう
 にする。
・本児は3人兄弟の一番上で,かかわりは3分の1以下と母親も言っており,寂
 しさがあることも予想される。
・叱るかかわりではなく,何か起きそうなときに,未然に行って聞かせることで
 よいかかわり方を身に付けることができる。
・また,周りの子にも,いけない行動には大人として正しく注意しているという
 姿勢が伝わる。

4 面談より

・家でも言うことを聞かない行動が多い。
・家では3度注意して聞かないと拳骨をする場合がある。
・本児に注意していて,「どうして?」ということを聞くと答えられないことが
 多い。
・お風呂の後は着替えを順番に並べて声をかけないと,ずっと裸でいる。
<よい行動>
・よくやっていることはないか聞くと,朝他の兄弟の分の鞄を持ってくれるとの
 ことだった。
・いつも元気に園に向かい,園は好きなのだと思う。
・ペアレントトレーニングの話をし,やっていることを毎日確実にほめるとよい
 ことを話した。
※シンプルなペアレントトレーニングの接し方
・毎日やっている行動・少しやめてほしい行動・どうしてもやめてほしい行動に
 箇条書きで分ける。
・毎日やっている行動を確実にほめる。
・毎日やっている行動を褒めないと,消えてしまう。
・きちんとやっていることを認め,褒めていくと自己肯定感が上がる。
・やめてほしい行動にも手が届くようになる。
・最初からやめてほしい行動ばかりどうにかしようとすると,お互いに破たんする。





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