Mouton lab

Thai Paris Cairns Chendeu Siem reap

No offence, but...

2015-03-11 23:15:39 | 北海道

「えー、雨足が強くなってきました。――、雨というよりはみぞれに近いような形に―」

バスに備え付けられたトランシーバーが慌ただしく鳴っている。

 

窓を見ると、確かにシャーベット状のものが、どんどんとぶつかってきて、下に押し流されていた。

運転手は無言。

視界はあまりよくないが、路面はまだ大丈夫そうだ。

とりあえずアスファルトは見えている。

 

飛行機に入るころにはみぞれが雪に変わっており、頭に雪を積もらせながらの搭乗。

乗客でぎゅうぎゅうの機内に着席。うーん、やっぱり狭い。

 

外を見ながら、「この天候でよく飛ぶなー、やっぱテクノロジーってすげーな」と呑気なことを考えてボーっとしていたのだが、待てども待てどもなかなか飛ばない。

そして、機内アナウンス。

「出発時間を遠に過ぎておりますが、ただいま機体が凍りつかないように、薬剤を散布しているところです。離陸はこの作業が終わってからとなりますので、もう少々お待ちください」

塩化カルシウム?ではないか。

「遠に」とか「少々」ってなんか上品だよな。

英語のアナウンスは?うーん、よく分からん。

 

しばらくサングラスをかけてウトウトしていると、再びアナウンス。

「ただいまこのような天候ですので、機体および滑走路の除雪作業を行っております。離陸は天候が回復し、除雪が完了してからとなりますので、時刻をはっきりと申し上げることができません。お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけしております」

ん?

いよいよやばいか、これは。

外の雪はどう見てもやむ気配はない。

まるでこの数日の晴れ間が嘘だったかのように、景気よく降っている。

アスファルトが「本当にあったのですか」と疑いたくなるぐらいだ。

室蘭や登別で雪が全く積もっていないのを見て、後輩と「もはや南国」などと騒いでいたことをちょっぴり後悔する。

 

まだあんまり今後のことを考えたい気分ではなかったのだが、機体に降り積もる雪を見ながら、少しづつ頭のギアを上げていく。

その後、一旦ターミナルに戻って、集合時間まで待機せよと言われた。指示はまたその時にとのこと。

これを聞いてからが、ものすごく慌ただしかった。

ここからの一時間は、もう、はしょろう。

 

端的にまとめると、発見が二つ。

一時間あると本当に色んなことができるということと、いつからか(大学に入ってからだと思う)焦って頭が真っ白になることがなくなったということ。

 

そして結論が一つ。

ニューヨークには行けない。日本にとどまる。

 

なんだろう、このなんともいえない感情は。

残念ではあるが、悲しくはない、失ったというよりは、解放された感じ。

一度味わったことがある感情。

そうだ、同じだ、就活の時と。

 

無理だろうなあと薄々思っていたことが少しずつ強まってきて、「ああ、、」とあきらめつつも、ほんのちょっと未確定な未来に期待する。

少しタイムラグがあってから、やはりダメなことが分かる。

そして、意外なことに少しほっとする。

驚くほどに似ている。だから割とあっさり割り切れた。

 

実は春休みに入ってから、日本にもう少しいたかったな、と思うことが時々あって、ゆっくりできる時間の重要度が日に日に増していた。

だから、これはこれでむしろ良かったのかしれない。

Hey, Upper East Siders. Gossip Girl here! というあいさつを言えなくなったのは残念だけど。

まあ、それぐらいだ。

 

 

結論を出した後のひと仕事終えた感がすごくて、便の変更と払い戻しの長蛇の列に並ぶ気が全くおきなかった。

ラウンジも混むだろうなと思ってすぐさま駆け込み、たっぷりとGossip girlを見てからカウンターに行くと、見事なまでにガラガラ。

それ見たことかと思い、明日(11日)でも仕方ないかと思って便の変更を申し出ると、最短で13日昼出発の便に空きがあるとのこと。

ウゥ、ワット?

洋画の見過ぎで思わず、カモン?と言いそうになった。

 

一瞬とどまるか悩んだが、もうこれでもか、というぐらい北海道は満喫したので、とっとと帰ることにした。

またひと仕事して、結論はフェリー。船旅も悪くない。

 

(札幌で一泊) 

 

午前中は北大の図書館に遊びに行き、最後の夕食は苫小牧で。

まさか2回も来ることになるとは思いもしなかった。

夜はミスド以外真っ暗だ。

 

もそもそとドーナツを食べていると、店内からなにやら異国っぽい会話が聞こえてきた。

よくよく聞くと、店の中で放映されているミスドのCMらしい。

 

映像を見ていると、嵐の相葉くんが、どこかのカウンターで外人のお姉さんと談笑している。

どうやら海外旅行をしている設定のようだ。

CMの途中で、テンションのあがった相葉くんが、異国に来た喜びを表現していた。

 

「きましたー、ブルックリン!」

 

Uhm, so…come on?

 

 

Q.E.D.