ちょっとだけ長い「ひとこと感想」その4。
観た直後のメモには、「とてもプライヴェートな作品を観た気がした。フィクションの作品として成功しているのかどうか私にはわからない。でも、同じテーマでそれまでドキュメンタリーを撮ってきた人がわざわざフィクションにしたからには、それなりの理由があるのだと思う。ワンショット(往々にして無言)が非常に長いことがままあり、“思いの強さ”がそういう演出になっているというか、この監督さんの人生の一部それ自体として、身体に食い込んでいる?作品という気がした。(ただ・・・出演者のひとりであるヤン・イクチュンを見ながら、私はこの人が作った『息も出来ない』の方が、フィクションとしてはずっと好きなんだと思う。比較するような2本じゃあないんだけれど)」などと。
その後間もなく、TVでヤン・ヨンヒ監督のドキュメンタリー作品を観る機会があった。個人的にはそれらの作品の方が、ずっと胸にコタエルものがあった・・・というか、この人の言いたいこと、その一筋縄ではいかない複雑な思い、もどかしさ、どうにもならなさ?が伝わって来て、『かぞくのくに』という映画の土台にある「現実」は、『かぞくのくに』から透けて見えるよりもずっとずっと重たく、日本人の自分の想像など超えているんだと改めて感じさせられた。
日本はさまざまな意味で、この「現実」を作り出した側であることを思うと、本当に何も言えなくなる・・・。
2013年高知のオフシアター・ベストテン選考会でベスト1に選ばれた作品。
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