眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

目の粗いザルの効用(笑) ・・・・・ 『オーシャンズ』

2011-03-07 18:02:09 | 映画・本

長すぎる「ひとこと感想」その14。

海洋生物たちの珍しい生態を撮した映像が大部分を占めるドキュメンタリー(だったと思う)。メモは短く、「CGとしか思えない?珍しく美しい生きものたち。ホオジロザメと一緒に泳いでるのは学者さん?」。とだけ。3D映像が話題になっていた頃で、こういう映画こそ3Dに向いてるんじゃないかなあ・・・などと思った記憶もある。


ただ、それ以外をあまりに覚えてないので、今回ちょっと検索してみた。すると「忘れていた映像」が次々アタマに蘇ってきたのはいいのだけれど、それらはどちらかというと、妙な傲慢さや差別意識のようなものに裏打ちされていたのも同時に思い出して、なんだか気が滅入ってきた。なぜ自分が「きれいさっぱり忘れてしまった」のかが、今頃になってよくわかった(笑)。

例えば「しっぽを切り落とされて(泳げなくなって)沈んでいくサメ」とか、「大規模な網に引っ掛かって動けない、さまざまな種類の魚たち」などは、観たときにはショックだったのに、映画の最後に「撮影のために生きものを殺してはいません」みたいな言葉があって、「どうやって撮ったんだろう・・・?」と思ったこと。(今回、それらが「ドキュメンタリー」映像ではなく「作り物を使って」撮影したものだと知った。)

或いは、アジア人と覚しき?漁師さんたちや、日本や中国の食習慣・食文化だけが妙に「地球環境の敵」みたいで、「こんなに残酷なんですよ~」とでも言われているような気分になったこと。(私は普段、あまりこういうコトは感じない。良くも悪くも、なるべく作り手の意図を好意的に受け取りたいという気持ちが働いてしまうからだけれど、この映画では自分の感じたことが被害妄想とは思えなかったのだと思う。)

ホオジロザメだけを鮮明に覚えていた理由は簡単だ。あんなにノンビリのほほん、人間で言ったらほろ酔い気分?みたいに泳ぐホオジロなんて、初めて見たからだと思う。人間も傍を泳いでくれたので、その巨大さ!もよく解った。眼を見て「サメは魚なんだなあ。」なんて、シミジミ思ったりした。同じほ乳類という感じが全くしなくて、他の魚たち同様、まさに「海の中の生きもの」な感じがした。

それは、これほど大きなスクリーンじゃないと感じられない種類のもので、私のアタマは「映画館でしか出来ない体験をしている・・・」と受け取ったのかもしれない。その映像もある種の「ねつ造」(例えばサメはホントに酔っぱらっていたとか、そもそもロボットだったとか(笑))だったとしても、何か一方的なキャンペーンの一部というわけじゃないからだろうか、私の記憶に傷はつかないような気がする。

それとは逆に、「ねつ造」云々とか「地球環境の保護のためには"残酷"で"野蛮"な漁はやめるべきだ!」とかいった作り手の主張(と私は感じた)は、私にとっては小さなコトだったのだろう。「ドキュメンタリーとは何か」などと考えるには、あまりに容量が小さく、目の粗いザルのような私のアタマは、正直にも「小さなコト」はきれいさっぱり流してしまって、「やれやれ片付いた~」(笑)。「記憶」は本当に不思議なものだと、こういうときにも私は思う。(ただ単に自分の物覚えが悪いだけ・・・というのはナイショ。)

 

 

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2 コメント

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同感です (イエローフロッグフィシュ)
2011-03-29 17:51:20
よくぞムーマさん書いてくださった。私もこの映画をとても気になってすぐ見に行きました。
すごく変な気分になり、この製作者のことを考えました。どうもグリンピース関係も絡んでいるようで随分お金が出たところに偏ったメッセジーに思えました。
 同感同感
海は大震災でもわかるように大きいです。
いい意味で想像以上のものですね。
返信する
この映画は確か・・・ (ムーマ)
2011-03-29 21:00:44
>イエローフロッグフィシュさ~ん、ようこそ~。

今思い出したんですが、この映画はイエローフロッグフィシュさんに薦められて観たような気がします。(ご覧になる前だったかも。)

でも、あの(外から見た)大海原も、潜って中から見た映像も、ほんとに「海って大きいなあ」と思いました。
私にとっては「偏ったメッセージ」を吹き飛ばすくらいの迫力があったんだと思います。

「いい意味で想像以上のもの」って素敵な表現ですね。
いかにも人魚!のイエローフロッグフィシュさんの言葉だと思いました。
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