長すぎる「ひとこと感想」その23。(結末に多少触れています。)
これまでに観た3D映像のアニメーションでは、私はこの作品が一番好きかもしれない。あくまで私の好みだけれど、今までのところ3Dはあまりに大きすぎるモノよりも、生身の人間がドラゴンの背に乗って空を飛ぶくらい?が、一番その良さが生きる感じがする。
でも本当はそんなことより、私が選んだ2010年のベスト・キャラ、あの「ネコ科のドラゴン」トゥース!の存在が大きいのかも(笑)。
トゥースはナイト・フューリーという、その姿を見て生きて帰った者はおらず、ヒックたちバイキングのドラゴンマニュアルでは唯一「戦うな」「もし出くわしたら、姿を隠してひたすら祈るのみ」などと書かれている、ドラゴン最強の種族だ。ところがある夜、トゥースはヒックが発明したばかりのカタパルト?で撃ち落とされて尾翼の一部を失い、飛べなくなってしまう。傷ついたトゥースを偶然発見したヒックは、バイキングでありながらドラゴンにトドメを刺すことが出来ない自分にショックを受ける一方、間近でみたナイト・フューリーはマニュアルや言い伝えで言われていたような凶暴なだけの「稲妻と死神の間に生まれた子ども」ではないのを知る・・・。
この間の、ヒックとトゥースが少しずつ打ち解けていく?過程が楽しい。真っ黒で滑らかな身体に金色の眼。じっとこちらを見つめ、瞬きしたりする時はまさに「高貴なネコ科のドラゴン」(という言葉が瞬時に浮かんだ!)というトゥースも、大きい身体で飛べないままバタバタと逃げ回り、出し入れ自由な鋭い歯をむき出しにしてこちらを威嚇すると、野生の生きものの獰猛さそのものを感じさせる。ドラゴンとしては小柄でも人間に比べれば遙かに大きいナイト・フューリーの、知性、誇り高さ、獰猛さ、そして可愛らしさ~♪ 私はもう眼が離せなくなった。(余計なコトだけれど、私は元々ペットにもネコにも特に興味はない方だ。生きものについて「キャ~可愛い~」と、あまり思わないのかもしれない。「好きなペットは?」と聞かれて考えあぐね、「放ったらかしで存在を忘れていられる」という理由で「鉢植えのサボテン」と答えたこともある。なのに・・・「ネコ科のドラゴン」にどうしてここまでヨワイんだろう。)
トゥースのことを書き出すとキリがない(「あのツンデレぶりが最高」と言われた方も(笑))ので、物語の方をもう少し。
この映画には「立派な父」と「不肖の息子」、強くてタフな者とそうでない者、或いは強奪するものされるもの、搾取する側とされる側、異種異文化な生きもの同士の平和的共存・・・などなど、ずいぶん沢山のテーマが見られる。きちんと辻褄が合っていると感じたものも、疑問が残ったものもあるけれど、私が一番驚いたのは、ラストでドラゴンたちがヒックの島の上空を飛び回っている風景とそこに流れるナレーションだった。ほんとにこれで解決になるのかどうか・・・ほとんど呆気に取られるような終り方だったけれど、それでも例えばヒックとトゥースの両方が、傷ついた身体を手作りの道具!で補って今後も一緒に生きる・・・というのは、これはこれでひとつの決着なのかもしれないな・・・などとも思った。
いかにも子ども向きのバイキングとドラゴンの物語のように見えて、あれこれ考え始めると、それはそれで色々な現実にも繋がってくるようで、観た後も時々ドラゴンの背に乗って空と地上の風景に思いを馳せた、私にとっては大事な映画の1本になった。
所謂ディズニーともピクサーとも、またひと味違ったテイストを感じさせるアニメーションで、2人の監督さんが宮崎駿監督のファンと公言しているというのもわかる気がする。「遊園地のような飛び出す3D映像にしたくなかった」、「画面に引き込まれるような3Dにすることを心がけた」という言葉も映像から納得できる。若い友人は「もっときちんと宣伝したら、もっと沢山の人に観てもらえたのに。それだけの値打ちがあるアニメだったのに・・・。」と、いかにも残念そうだった。
(記事の中に出てくる「チネチッタ高知 2010年ベスト・キャラ」の新しい住所を載せておきます。気づくのが遅れてすみませんでした)
http://cc-kochi.xii.jp/special/2010bestc.html
本当にそうですね。
観た人は、みんなこの映画が好きですよね。DVDで観るのもいいと思うけど、この映画に限っては3Dで観てほしいです。
『アバター』の白いふわふわもよかったけど、この映画の火の粉もよかった!
>『アバター』の白いふわふわもよかったけど、この映画の火の粉もよかった!
ほんとあの3Dは良かったですよね~(憧憬)。
リバイバルされたら(されないけど)もう一度観に行くと思います。
チネチッタ高知の「2010年ベスト・キャラクター」の記事を勝手にお借りしました。
どうもありがとうございました(ぺこり)。