産経の「歴史戦」に新たな好敵手現る
産経の「歴史戦」に新たな敵国が表れた模様だが、産経はこの「反日本」にどう反応するか
『米国でバカ売れしている「日本叩き本」の正体』トンデモ本が3カ月で50万部も売れた!2016年12月11日ピーター・エニス : 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)
米国で2017年1月にドナルド・トランプ大統領が誕生することを受けて、日米関係の先行きに気を揉む人も少なくないだろう。そんな中、米国では『Killing the Rising Sun: How America Vanquished World War II Japan(日出る国をやっつけろ:米国はどうやって第2次世界大戦で日本を屈服させたか)』というショッキングなタイトルの本が売れ続けている。
保守系政治コメンテーターのビル・オライリー氏らが書いた同書は、今年9月13日に発売された。1945年8月に広島と長崎で行われた原爆投下の正当性を検証するという「歴史書」にもかかわらず、発売初日に10万部を販売。その後も売り上げを伸ばしており、ニールセン・ブックスキャンによると、11月末時点で約49万部も売れている。
10月2日以降、米ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストのノンフィクション部門で10週連続で上位をキープしているほか、アマゾンでも12月9日時点で、ベストセラー(総合)の6位にランクインしており、レビューの数は3500件以上に上っている。ちなみに、2014年に発売され経済書としては空前の大ヒットとなった、経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は発売から半年で50万部を売ったので、それより早いペースで売れていることになる。
しかし、『Killing the Rising Sun』について、タイムズ紙はおろか、ほとんどどこのメディアも取り上げていない。また、歴史や日本を専門とする学者やジャーナリストでも、読んだという人はほぼ皆無。50万部近くも売れているというのに、メディアでまったく話題にされていないこの本には、いったい何が書かれているのだろうか。
歴史書なのにドラマチック
物語はまず、1939年10月12日、午前10時の米大統領執務室で、時の大統領、フランクリン・ルーズベルトと、ニューディール政策のアドバイザーのひとりであるウォール街の金融マン、アレキサンダー・ザクスが話しているところから始まる。ナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、第二次世界大戦が幕を開けてから6週間。ナチスによる原爆開発が懸念される中、米国も開発を進めるべきだとするアルベルト・アインシュタイン博士による手紙をザクスが読み上げる場面が描かれている。この瞬間、「まさに大量破壊兵器の時代が幕を開けようとしていた」。
ここから舞台は一気に1944年のペリリュー島へと移る。ここでは、ルイス・ケネス・バウセル伍長の目を通して、米海軍によるペリリュー島侵攻の様子が語られている。物語の舞台はその後、米軍と日本軍による戦闘現場や大統領執務室、ときには皇居に移り、旧日本軍による残虐行為や熾烈な戦い、そして原爆投下の決断に至るまでの経緯が描かれていく。登場人物も、米国大統領や多くの米兵、さらには昭和天皇や「原爆の父」と言われるロバート・オッペンハイマーと幅広く、それぞれの思惑が克明に記されている。
同書の特徴は、重苦しい話題をドラマチックに仕立て、読みやすくしている点にある。著者であるオライリー氏とマーティン・デュガード氏は、多くの場面で実際の関係者の言葉を自由に「引用」し、歴史が動いた戦場や執務室、会議室などの様子を描写。これによって、読者は重大な出来事や決断に関与したかのような感覚に陥る。関係者などの言葉は、過去に公表されたものを使っているほか、最近、保守系ラジオ番組に出演した際には、「多くの米兵たちの手紙を参考にしたり、こうした文献を研究している人など、多くの米軍関係者の話を聞いた」とオライリー氏は話している。同書の最後には、5ページにもわたる参考文献が掲載されている。
正しい「史実」が語られているのか
同書はノンフィクションに分類されており、オライリー氏自身も初めに「この本に書かれていることはありのままの事実」と書いているが、これをノンフィクションとして扱うのは違和感がある。同書の中には、多数の歴史的認識の誤りや、歪曲表現が散見される。前述のラジオ番組でも、旧日本軍が第2次世界大戦中に2000万人もの中国人を殺害したという記述の情報源を聞かれ、「1930年代に行われた残虐行為については、米国の新聞もレポートしており、記録として残っている。ただ、米国人の記者がたくさんいた欧州と違って、太平洋諸国にはほとんど記者がいなかったうえ、マッカーサーによる言論統制が厳しくほとんど事実が伝えられていない」と答えている。
さらに、オライリー氏は最終的に米国が原爆投下を決めた背景には、日本古来の「武士道」を重んじる文化が大きく関係していると指摘。日本を降伏させるには核兵器の使用以外に手段はなく、日本侵攻を未然に防ぐことによって多くの命を救うことができたと結論づけている。前述のラジオ番組では、「日本人は極端に熱狂的で狂信的であり、武士道にのっとって天皇のために死ぬような人たちだった。小さな子どもも、女性も含めてみんなそう生きていた」と語っている。つまり、「そういう国民と戦うのは、ドイツ人と戦うのとは話が違う」というわけだ。
もちろん、「原爆投下は正しかった」とする結論はオライリー氏らの主観であり、間違いだとは言えない(実際、2015年の米ピュー・リサーチ・センターの調査では、半数以上の米国人が「正しかった」と答えている)。しかし、たとえばオライリー氏は過去の対談で、日本軍の731部隊などの存在については詳しくないと明かしており、この結論を導き出すまでの歴史的事実にどこまで詳しかったのか疑いが持たれる。
ちなみに、オライリー氏はこの本を書くにあたって、オバマ大統領を含む5人の大統領経験者に、当時の大統領ハリー・トルーマン氏による原爆投下の決断が正しかったかどうか聞いている。これに対して、ジミー・カーター氏とブッシュ親子からは「正しかった」とする手紙が届き、それがそのまま掲載されている(ビル・クリントン氏、オバマ大統領からは返事が来なかった)。
この本の目的はいったい何なのか
この極端な見解が詰まった歴史書を上梓した背景には、今年5月のオバマ大統領による歴史的な広島訪問がある。オライリー氏らの訴えは非常に明確で、ひとつは、原爆投下について謝罪すべきではないということ、もうひとつは、オバマ大統領が考えている「核先制不使用」という新たな政策は断固として拒絶されるべきだということだ。
実はこの本がバカ売れしているのは、それほど不思議ではない。そもそも、オライリー氏は米国人なら誰でも知っている政治コメンテーターで、20年間続いている自らの名前を冠した報道番組「ザ・オライリー・ファクター」は、保守系テレビ局フォックス・ニュースの中で高い視聴率をたたきだしている。同氏による「Killing」シリーズは『Killing the Rising Sun』で6作目で、これまでの作品同様、「この番組を使って本を売り込んでいるのも事実」と、フォックス・ニュースで以前上司だったロジャー・エイルズ氏は言う。
日本人もビックリの当初のタイトル案とは
2011年に1作目が発売された「Killing」シリーズだが、1作目のリンカーン以降、これまでケネディやキリスト、レーガンなが“殺されて”きた。2015年9月に、1981年のロナルド・レーガン元大統領暗殺未遂事件を扱った『Killing Regan』を出版したときには、この事件ではレーガン元大統領は殺されていない、との批判も出た。
AP通信によると、「Killing」シリーズを出版するヘンリー・ホルト社の話では、これまでの発行部数は世界で累計1400万部に上る。「Killing」シリーズは、その正確さについてたびたび疑問が持たれているものの(この点についてオライリー氏は、「歴史的事実が間違っている本が初日で10万部も売れるはずない」と言い切っている)、オライリー氏らは米国で最も読まれている歴史書作家となっているという。
国そのものが「Killing(殺害)」の対象になるのは今回が初めてで、元のタイトルは「Killing Japan」だったと、オライリー氏も認めている。今回、同書が発売された際には、保守系メディアにでさえ「ついに殺す対象がなくなったのか」と揶揄されている。
ここまで売れていると、日米関係への影響も気になるところだが、前述のとおり、少なくとも歴史家や日本専門家などのエリート層はこの本を読んでいないため、米国の戦略担当者における歴史的認識や、今後の対日政策への影響は皆無といっていい。また、共和党寄りとされるフォックス・ニュースには、トランプ氏に近しい人物も少なからずいるが、今のところオライリー氏はトランプ氏と一定の距離を保っており、その影響力は限られていると見られる。
なぜ大手メディアは取り上げないのか
さて、こんなにもヒットになっている本をなぜメディアが取り上げないのか。
歴史的事実の信憑性に疑いがあること、オライリー氏自身が過剰に保守的な側面があり「危険」であることから、取り上げたくないというのは頷ける話ではある(取り上げることで余計に売れる可能性もある)。実際に過去の著作も大した話題になっていない。
が、こうした間違っているかもしれない情報が多くの米国人の手に渡り、読まれているというのは紛れもない事実であり、彼らがこの本を読んでどのような感想や感情を持つのかは日本人ならずとも気になるところだ。
オライリー氏の本を読んだという歴史家や日本専門家を見つけることはできなかったが、こうしたエリート層が無視しているオピニオンリーダーやポピュリストが米国でひそかに支持を広げていることは、トランプ氏が次期大統領に選ばれたことで証明された。エリート層からすれば、オライリー氏や同氏の「Killing」シリーズは、しょせんタブロイドであり、米国の「恥」なのかもしれない。しかし、こうした現象から目を背けることは、今の米国の真の姿から目を背けていることになるのかもしれない。
★注、
オライリー氏はハーバード大学で行政学の修士号を取得。ローカルニュースのニュースキャスターを経た後、ABCやCBSのキャスターとして活躍した経歴を持つ。
日本に当てはめれば小林ヨシノリと百田尚樹と橋下徹と産経新聞を足したような人物なのですから、アメリカでオライリーの「Killing」(殺害)シリーズの6作目「Killing Japan」がベルトセラーになるのは当然だったのである。
『Killing ケネディの情報公開は半年間先送り』6カ月後には有耶無耶にされるのか?
「逝きし世の面影」さまのサイトより
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/19974ac594758e90fe8d22d7d8d52052
産経の「歴史戦」に新たな敵国が表れた模様だが、産経はこの「反日本」にどう反応するか
『米国でバカ売れしている「日本叩き本」の正体』トンデモ本が3カ月で50万部も売れた!2016年12月11日ピーター・エニス : 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)
米国で2017年1月にドナルド・トランプ大統領が誕生することを受けて、日米関係の先行きに気を揉む人も少なくないだろう。そんな中、米国では『Killing the Rising Sun: How America Vanquished World War II Japan(日出る国をやっつけろ:米国はどうやって第2次世界大戦で日本を屈服させたか)』というショッキングなタイトルの本が売れ続けている。
保守系政治コメンテーターのビル・オライリー氏らが書いた同書は、今年9月13日に発売された。1945年8月に広島と長崎で行われた原爆投下の正当性を検証するという「歴史書」にもかかわらず、発売初日に10万部を販売。その後も売り上げを伸ばしており、ニールセン・ブックスキャンによると、11月末時点で約49万部も売れている。
10月2日以降、米ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストのノンフィクション部門で10週連続で上位をキープしているほか、アマゾンでも12月9日時点で、ベストセラー(総合)の6位にランクインしており、レビューの数は3500件以上に上っている。ちなみに、2014年に発売され経済書としては空前の大ヒットとなった、経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は発売から半年で50万部を売ったので、それより早いペースで売れていることになる。
しかし、『Killing the Rising Sun』について、タイムズ紙はおろか、ほとんどどこのメディアも取り上げていない。また、歴史や日本を専門とする学者やジャーナリストでも、読んだという人はほぼ皆無。50万部近くも売れているというのに、メディアでまったく話題にされていないこの本には、いったい何が書かれているのだろうか。
歴史書なのにドラマチック
物語はまず、1939年10月12日、午前10時の米大統領執務室で、時の大統領、フランクリン・ルーズベルトと、ニューディール政策のアドバイザーのひとりであるウォール街の金融マン、アレキサンダー・ザクスが話しているところから始まる。ナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、第二次世界大戦が幕を開けてから6週間。ナチスによる原爆開発が懸念される中、米国も開発を進めるべきだとするアルベルト・アインシュタイン博士による手紙をザクスが読み上げる場面が描かれている。この瞬間、「まさに大量破壊兵器の時代が幕を開けようとしていた」。
ここから舞台は一気に1944年のペリリュー島へと移る。ここでは、ルイス・ケネス・バウセル伍長の目を通して、米海軍によるペリリュー島侵攻の様子が語られている。物語の舞台はその後、米軍と日本軍による戦闘現場や大統領執務室、ときには皇居に移り、旧日本軍による残虐行為や熾烈な戦い、そして原爆投下の決断に至るまでの経緯が描かれていく。登場人物も、米国大統領や多くの米兵、さらには昭和天皇や「原爆の父」と言われるロバート・オッペンハイマーと幅広く、それぞれの思惑が克明に記されている。
同書の特徴は、重苦しい話題をドラマチックに仕立て、読みやすくしている点にある。著者であるオライリー氏とマーティン・デュガード氏は、多くの場面で実際の関係者の言葉を自由に「引用」し、歴史が動いた戦場や執務室、会議室などの様子を描写。これによって、読者は重大な出来事や決断に関与したかのような感覚に陥る。関係者などの言葉は、過去に公表されたものを使っているほか、最近、保守系ラジオ番組に出演した際には、「多くの米兵たちの手紙を参考にしたり、こうした文献を研究している人など、多くの米軍関係者の話を聞いた」とオライリー氏は話している。同書の最後には、5ページにもわたる参考文献が掲載されている。
正しい「史実」が語られているのか
同書はノンフィクションに分類されており、オライリー氏自身も初めに「この本に書かれていることはありのままの事実」と書いているが、これをノンフィクションとして扱うのは違和感がある。同書の中には、多数の歴史的認識の誤りや、歪曲表現が散見される。前述のラジオ番組でも、旧日本軍が第2次世界大戦中に2000万人もの中国人を殺害したという記述の情報源を聞かれ、「1930年代に行われた残虐行為については、米国の新聞もレポートしており、記録として残っている。ただ、米国人の記者がたくさんいた欧州と違って、太平洋諸国にはほとんど記者がいなかったうえ、マッカーサーによる言論統制が厳しくほとんど事実が伝えられていない」と答えている。
さらに、オライリー氏は最終的に米国が原爆投下を決めた背景には、日本古来の「武士道」を重んじる文化が大きく関係していると指摘。日本を降伏させるには核兵器の使用以外に手段はなく、日本侵攻を未然に防ぐことによって多くの命を救うことができたと結論づけている。前述のラジオ番組では、「日本人は極端に熱狂的で狂信的であり、武士道にのっとって天皇のために死ぬような人たちだった。小さな子どもも、女性も含めてみんなそう生きていた」と語っている。つまり、「そういう国民と戦うのは、ドイツ人と戦うのとは話が違う」というわけだ。
もちろん、「原爆投下は正しかった」とする結論はオライリー氏らの主観であり、間違いだとは言えない(実際、2015年の米ピュー・リサーチ・センターの調査では、半数以上の米国人が「正しかった」と答えている)。しかし、たとえばオライリー氏は過去の対談で、日本軍の731部隊などの存在については詳しくないと明かしており、この結論を導き出すまでの歴史的事実にどこまで詳しかったのか疑いが持たれる。
ちなみに、オライリー氏はこの本を書くにあたって、オバマ大統領を含む5人の大統領経験者に、当時の大統領ハリー・トルーマン氏による原爆投下の決断が正しかったかどうか聞いている。これに対して、ジミー・カーター氏とブッシュ親子からは「正しかった」とする手紙が届き、それがそのまま掲載されている(ビル・クリントン氏、オバマ大統領からは返事が来なかった)。
この本の目的はいったい何なのか
この極端な見解が詰まった歴史書を上梓した背景には、今年5月のオバマ大統領による歴史的な広島訪問がある。オライリー氏らの訴えは非常に明確で、ひとつは、原爆投下について謝罪すべきではないということ、もうひとつは、オバマ大統領が考えている「核先制不使用」という新たな政策は断固として拒絶されるべきだということだ。
実はこの本がバカ売れしているのは、それほど不思議ではない。そもそも、オライリー氏は米国人なら誰でも知っている政治コメンテーターで、20年間続いている自らの名前を冠した報道番組「ザ・オライリー・ファクター」は、保守系テレビ局フォックス・ニュースの中で高い視聴率をたたきだしている。同氏による「Killing」シリーズは『Killing the Rising Sun』で6作目で、これまでの作品同様、「この番組を使って本を売り込んでいるのも事実」と、フォックス・ニュースで以前上司だったロジャー・エイルズ氏は言う。
日本人もビックリの当初のタイトル案とは
2011年に1作目が発売された「Killing」シリーズだが、1作目のリンカーン以降、これまでケネディやキリスト、レーガンなが“殺されて”きた。2015年9月に、1981年のロナルド・レーガン元大統領暗殺未遂事件を扱った『Killing Regan』を出版したときには、この事件ではレーガン元大統領は殺されていない、との批判も出た。
AP通信によると、「Killing」シリーズを出版するヘンリー・ホルト社の話では、これまでの発行部数は世界で累計1400万部に上る。「Killing」シリーズは、その正確さについてたびたび疑問が持たれているものの(この点についてオライリー氏は、「歴史的事実が間違っている本が初日で10万部も売れるはずない」と言い切っている)、オライリー氏らは米国で最も読まれている歴史書作家となっているという。
国そのものが「Killing(殺害)」の対象になるのは今回が初めてで、元のタイトルは「Killing Japan」だったと、オライリー氏も認めている。今回、同書が発売された際には、保守系メディアにでさえ「ついに殺す対象がなくなったのか」と揶揄されている。
ここまで売れていると、日米関係への影響も気になるところだが、前述のとおり、少なくとも歴史家や日本専門家などのエリート層はこの本を読んでいないため、米国の戦略担当者における歴史的認識や、今後の対日政策への影響は皆無といっていい。また、共和党寄りとされるフォックス・ニュースには、トランプ氏に近しい人物も少なからずいるが、今のところオライリー氏はトランプ氏と一定の距離を保っており、その影響力は限られていると見られる。
なぜ大手メディアは取り上げないのか
さて、こんなにもヒットになっている本をなぜメディアが取り上げないのか。
歴史的事実の信憑性に疑いがあること、オライリー氏自身が過剰に保守的な側面があり「危険」であることから、取り上げたくないというのは頷ける話ではある(取り上げることで余計に売れる可能性もある)。実際に過去の著作も大した話題になっていない。
が、こうした間違っているかもしれない情報が多くの米国人の手に渡り、読まれているというのは紛れもない事実であり、彼らがこの本を読んでどのような感想や感情を持つのかは日本人ならずとも気になるところだ。
オライリー氏の本を読んだという歴史家や日本専門家を見つけることはできなかったが、こうしたエリート層が無視しているオピニオンリーダーやポピュリストが米国でひそかに支持を広げていることは、トランプ氏が次期大統領に選ばれたことで証明された。エリート層からすれば、オライリー氏や同氏の「Killing」シリーズは、しょせんタブロイドであり、米国の「恥」なのかもしれない。しかし、こうした現象から目を背けることは、今の米国の真の姿から目を背けていることになるのかもしれない。
★注、
オライリー氏はハーバード大学で行政学の修士号を取得。ローカルニュースのニュースキャスターを経た後、ABCやCBSのキャスターとして活躍した経歴を持つ。
日本に当てはめれば小林ヨシノリと百田尚樹と橋下徹と産経新聞を足したような人物なのですから、アメリカでオライリーの「Killing」(殺害)シリーズの6作目「Killing Japan」がベルトセラーになるのは当然だったのである。
『Killing ケネディの情報公開は半年間先送り』6カ月後には有耶無耶にされるのか?
「逝きし世の面影」さまのサイトより
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/19974ac594758e90fe8d22d7d8d52052