ようこそ!奈良大学国文学科へ!!

奈良大学文学部国文学科の日々の出来事を綴っています。
特色ある授業の様子や、学生や教員の活動ををご覧ください。

国文学科特別講義 「魅力ある放送とは」

2010-01-25 16:36:17 | 授業をのぞいてみた
1月25日(月)太田兼三郎先生をお招きして、「魅力ある放送とは」という
タイトルで、特別講義が開催されました。

太田先生は、元毎日放送ディレクターで、あの伝説的視聴率番組、「ヤングOH OH」や
「がっちり買いましょう」の制作も手がけられた方です。
また、去年まで、奈良大学に教えにいらして下さっていた先生です。
去年の授業を受けていた学生さんの顔も混じっていました。

今回は、「魅力ある放送とは」というテーマで約1時間のお話を聞くことができました。

まず、先生のほうから「魅力ある放送とは」という問いに対して、その答えはズバリ
「ある」でもあるし、「ない」でもあるとのご指摘。それぞれに魅力ある放送とは何かを
考えてほしいという課題が出されました。

昔、テレビは文化だったけど、今はテレビは環境。テレビのほかにもネットなど、情報源が
あふれているなか、テレビの役割とは何なのか、私たちは何を見ているのか、また、
何を見せてほしいのか、「ながら見」のテレビ環境ではなく、意識化することの大切さを
常に喚起されていました。

また、「紅白歌合戦」や「水戸黄門」「さんまのからくりTV」などの例をだされて、
視聴率の問題や、最近のバラエティ番組にみられる、大げさな笑い声や、オーバーな
テロップにみられるように、面白さを共有させようとする戦略なども話題に。

さらに、今、魅力があるのはCM!というところでは、商品という日常的なものを、映像、
音声、スターという、非日常のものを使って表現するCMという方法の驚きや楽しさを
知ることができました。

放送とは身近であり、かつ社会を反映するもの。そのなかで魅力的なものとは何か、
という先生の問いかけに、普段、だらだらとテレビを見ている自分を反省。

放送も、あるメッセージを伝えるために、さまざまな表現方法を駆使するメディアです。
文学も、同じですね。

最後に、2月11日、太田先生がプロデュースする「ラジオ・ウォーク」が開催されます。
奈良市内の名所旧跡をラジオから流れる解説や楽しい会話を聞きながらウィーキングする
というもの。上野誠先生もゲスト出演されるとか。
興味のある方は、2月11日、10時30分、佐保川小学校に集合。

(文責:光)

国文学科特別講義「唐招提寺と鑑真和上」②

2010-01-23 14:55:05 | 授業をのぞいてみた
さて前回紹介しました「縷」ですが、これは金堂落慶法要の「開眼の儀」で使用されたもので、盧舎那仏の開眼の筆に結ばれ、参加者がそれにつながることで縁をいただくという意味があるものです。

授業ではその締めくくりに「開眼の儀」を再現していただきました。

写真で示すように、教室中にめぐらされた縷によって会場が一つの縁につながりました。

石田先生は唐招提寺金堂の平成の大修理、そして落慶法要に携われれるなかで、「この役目のために自身の人生があった」ということを実感されたそうです。

そして、すべて誰の人生にも与えられた役割がある、という印象深いお言葉をいただいて、今回の講義は幕となりました。


写真① 縷と筆を説明される先生。筆に縷がつながっているのがわかります。

写真② 会場に張り巡らされた縷。みんながそれを握ってつながりあっています。

写真③ 開眼の儀を実演を交えて説明される先生。

写真④ 会場全体が一つの縁で結ばれました。

国文学科特別講義「唐招提寺と鑑真和上」①

2010-01-21 13:08:13 | 授業をのぞいてみた
先日(1月18日)、国文学科特別講義「唐招提寺と鑑真和上」が開催されました。

講師として唐招提寺執事・石田太一先生をお招きし、唐招提寺の来歴、鑑真和上の教えをはじめ、先ごろ落慶法要の行われた金堂の平成大修理の経過や苦労、それによって明らかにされた新事実をやさしく語っていただきました。

この講演は大学院国文学研究科の主催講義だったのですが、多数の学部生、社会人の方の来場もあり、教室は満員でした。
そしていずれの参加者も、興味深い講演内容と先生のお人柄の滲む語りに引き込まれるように聞き入っていました。


写真① 会場一人一人に語りかけられるようにお話しされる石田先生。
本日司会をされた上野先生からは「温厚」「清貧」という講師紹介がありましたが、まさにそのとおりの方でした。

写真② 満員の会場。みんな真剣に聞き入っています。

写真③ 唐招提寺のご本尊「盧舎(遮)那仏」のお姿を、絵を描きながら説明される先生。さすが描きなれていらっしゃる。

写真④ 「縷」という五色の糸を編んだ紐を説明される先生。
これが何に使われるのかは次回②で説明します。お楽しみに。

講義中継・本と出版④

2010-01-20 17:01:33 | 授業をのぞいてみた
そしていよいよ、版木を刷り出したものと本との照合作業です。

版木は職人が一点ずつ彫ったものであり、彫りの個性や、使用中に生じた傷など、微妙に個性が残るのです。
写真を見比べると、本と刷りの間で欠けた個所が共通していることがわかります。

つまり今回使用した版木を使って、写真の「出雲物語」が出版されたことが確認できました。


この実習に参加することで、本の歴史や成り立ちを、生きた感覚としてとらえることができたように思いました。



講義中継・本と出版③

2010-01-20 16:48:58 | 授業をのぞいてみた
写真① いよいよ紙に墨をのせていきます。墨を「たんぽ」につけて、ひたすら叩く叩く。
これがまたかなりの体力勝負!そして繊細な神経が必要です。
うっかりしていると「はい、そこをもっと丁寧に!」と永井先生の細かい指導が飛びます。

写真② う、腕がちぎれる…。男性でも片手をささえないと辛いぐらいです。

写真③ 均等に文字や絵が浮き出してきたら、いよいよ版木と紙をはがします。すると…

写真④ 無事文字が浮き出していました。やれやれ…。 

この実習を通じて、江戸時代の出版や、それを研究することのの大変さがよくわかりました。

講義中継・本と出版②

2010-01-20 16:38:29 | 授業をのぞいてみた
さて、前置きはそれぐらいにして、ここからは実習作業を追いかけていってみましょう。

まず本日の課題である版木と本の一致を確認するためには、実際に版木を刷ってみる必要があります。

では、江戸時代にはどのように本が印刷されていたのでしょうか。
今回は拓本の要領で版木を刷りだしてみましょう。


写真① まず、先の版木に紙を巻くように置きます。

写真② そして、紙を霧吹きでまんべんなく濡らします。

写真③ 落ち着いたところで、今度は固く絞った布で押さえつけるようにして版と紙を密着させます。(実習生曰くパンをこねるような勢いで押すので、この時点で体力消耗だそうです)

写真④ 版木に密着した紙です。版の文字がはっきり浮き出しています。

講義中継・本と出版①

2010-01-20 16:16:56 | 授業をのぞいてみた
これまでもブログで紹介してきたように、奈良大学国文学科には多くの実地踏査や実習があります。
今回はその一つ、永井先生担当の「本と出版・実習」(月曜日・2時間目)の授業を、実況中継風にレポートしてみたいと思います。

この講義はタイトル通り本と出版の歴史をまなぶものです。ただし特筆すべきは「実習」の比率が非常に高いことです。
出版や本について学ぶ授業は多くの大学にありますが、それを実習を通して学べる学校は日本広しといえどもおそらくこの奈良大学国文学科ぐらいではないでしょうか。

ちなみに本日の講義テーマは、どの版木によって本が印刷されたのかを確かめるというものでした。
(版木の意味がわからない人は、このブログの永井先生の項目を振り返ってみましょう)

写真はその講義で使用された「出雲物語」とその版木です。
これらは江戸時代に作成・出版された「本物」ですが、授業では学生がこれを使用して実習します。

こんな歴史的な資料を普通に扱える授業って…なんて贅沢。

実地見学・踏査 in 明日香

2009-12-23 20:21:53 | 授業をのぞいてみた
12月13日(日曜日)、奈良大学国文学科名物の「実地見学・踏査」が行われました。

この授業は、古典や近・現代文学にあらわれる故地を実際に訪ねたり、伝統芸能にふれるなどの体験を通じて、文学や芸術・芸能に関する観賞眼を養い、感性を研くことを目的として創設されたものです。

今回の目的地は、明日香村一帯。

上野先生の引率・解説のもと、約30名の参加者がそれぞれの万葉の世界を描いていました。

これぞ「奈良で学ぶ贅沢」です。



【写真左上】
まずは雷丘からスタート。
遺跡の位置関係をしっかり確認すべく、大和三山と明日香・藤原の位置を地図で把握する参加者たち。

【写真右上】
伝飛鳥板蓋宮での1コマ。
遺構を前に、古代に思いをはせる一同。

【写真左下】
明日香といえばココ!石舞台古墳です。
石舞台古墳と島庄遺跡との位置関係からは、さて何が考えられるでしょうか。

【写真右下】
酒船石にて。
斉明天皇の話を熱弁する上野先生。


装丁という仕事(出版情報論特別講義)

2009-12-07 12:06:18 | 授業をのぞいてみた
12月4日(金)、出版情報論(藤本先生)の特別講義として、
装丁家の林佳恵先生による、「装丁という仕事」のご講演が行われました。

藤本先生のご著書『幸田文「わたし」であることへ』の装丁をされたご縁でのご講演となりました。

出版会社を経て、現在は和装を中心としたライフスタイリストとしてご活躍の林先生は、当日もアルファベット模様の帯をしめられた着物姿が印象的でした。

ご講演は、装丁家になるきっかけ、装丁の仕事などについて、実際に先生がデザインされた本の帯やカバー、表紙のデザインを見せてくださりながら、進められました。

私がとても興味深かったのは「本の装丁と、着物はよく似ている」というお言葉でした。帯、はなぎれ、袖など、着物の用語が、本の装丁にも使われるということ。
装丁は本に着物を着せるようなもの。納得しました。

先生のお話を聞いて、本を読む楽しみが、またひとつ加わりました。これからは、帯を見て、カバーを見て、さらにカバーをとってみるーーデザインした方の気持ちを想像しながら、本を読んでみたいと思います。
(文責:光)

映画「王の男」鑑賞会

2009-07-09 11:07:35 | 授業をのぞいてみた
演習Ⅰ(光石)の特別企画で、映画「王の男」の鑑賞会をしました。

「王の男」は16世紀の韓国の宮廷を舞台。地方の旅芸人たちが、都へ出て、最後にはなんと、王様専属の芸人となる。しかし、そこには悲しい運命が。。。


パパン 「王の悲哀とか、悲しいエンドに終わるのが、映画らしい。伏線もしっかりしている。もう2、3回見たい。
イジュンギが本当に、美しかった。ちょっとこれならいいかも・・・。」

ユーサン「韓国の衣装とか、色彩がきれいだった。女性の服装が、身分によっても違うし、楽しかった。内容もせつなかったし。イジュンギがきれいでした。」

山ちゃん「切ない・・・」
上ちゃん「なんというか、自分的には、最後に、王様の妾のキーセンが株をあげていた、ところがよかった。」
川ちゃん「終わり方がさわやかでよかった。」
平ちゃん「伏線、話に無駄がなかった。」
全員(うんうん。)
上ちゃん「だけど、王様のわらいのつぼが、いまいちわからない。」

――イジュンギの美しさと、男二人の絆が印象的な作品でした。(光)