ネコ型note

本当は怖い日本政府・アベノミクス
 ★脱・軍事・権力メディア★
気になる事は、利権なしの【しんぶん赤旗】で検索! 

なぜ政府・支配層は日米安保に拘るのか すべては自らの権力のため・内部留保拡大も影響力保持のため。

2013-03-31 | メディア権力汚染(マスゴミ)と赤旗
学習の友・「日本の政府や財界はなぜこれほど日米安保にしがみつくのか?」
 山田敬男


安定した権力の座は、アメリカからどれだけ信頼されるかで決まるといっても過言ではありません。
日本における支配者たちの地位は、対米従属の深化をはかることを条件としています。
日本の権力者たちの異常ともいえるアメリカ追随の秘密がここにあります。



安保が分かれば、世界が見える

安保をめぐるQ&A 

日本の政府や財界はなぜこれほど日米安保にしがみつくのか? 山田敬男

 こうした質問が学習会でよく出されます。
 第2次世界大戦が終わって68年が経ち、日本は世界的にも経済大国になっています。しかし世界でも異常といえるほどアメリカに追随しています。日本の政府・財界など支配層は、独自の国家戦略や長期戦略を持たず、日米安保にしがみつき、ひたすらアメリカに頼り、対米従属の道を走っています。
 今回は、彼らがなぜこれほど日米安保にしがみつき、対米従属に走るかを考えてみたいと思います。

安定した日米関係を必要とする―権力のルール

 第一に、安定した日米関係を必要とする権力のルールが存在していることです。日本の政治を見ると、日米関係が安定すれば政権基盤が強まりますが、逆に日米関係が不安定になると、政権基盤が脆弱になります。

 この問題は、2009年の政権交代によって実現した民主党鳩山内閣が日米関係を見直すといい、沖縄の新基地建設を「国外、最低でも県外」といって日米関係を不安定にさせたことに示されています。結局、鳩山内閣はアメリカの圧力に屈して動揺し、10年5月4日に普天間基地の「県外移設断念」を表明し、5月28日には辺野古に新基地建設という自公政権と変わらない「日米合意」を発表して退陣せざるを得ませんでした。

日米関係を不安定にさせたことが、鳩山内閣の基盤を弱める結果になったのです。

このことから、その後の菅内閣や野田内閣は、日米同盟の深化を強調しながら政権を運営します。
政権交代を実現した総選挙(09年)のときに日米関係を見直すといいながら、政権が不安定になると、結局は日米同盟の深化に走らざるを得なかったのです。

 昨年12月の総選挙で再び総理大臣の座を手にした安倍首相は、就任会見で「日米同盟の絆をあらためて強化していくことが日本の外交・安全保障の第一歩だ」と強調しました。今年の7月の参議院選挙で過半数を獲得して、長期政権を狙う安倍首相は、5月の日米首脳会談後の記者会見で、「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活したと自信をもって宣言したい」と語り、民主党政権との違いを力説したのです。

このように、体制擁護の政権は、良好な日米同盟なしに、政権を安定させることはできないというルールに縛られているのです。

アジアにおける影響力の拡大と日米同盟

 第二に、日本の政府や財界は、日米同盟に依拠することによって、アジアにおける影響力の拡大を求めています。今日、彼らは、日本が中国やASEANに対抗してアジアで影響力を広げるには、日米同盟が不可欠だと考えています。それ故に、アメリカ抜きのアジアの共同体構築の運動を警戒し、アジアにとって日米安保は「国際的公共財」であると強調しています。日本の支配層は、アメリカに頼らなければ、アジアでやっていけないと考えているのです。

 経済の面でも、アジアにおける日本の影響力を拡大するには、日米同盟が絶対に必要とされています。1990年代以降、日本経済は貿易の拡大と海外直接投資の拡大(多国籍企業化)を追求しています。

貿易は、それまでのアメリカ市場中心から中国やアジア市場中心に変化しています。日本の海外直接投資も、2000年代に急増しました。アジアが5倍、中国が10倍、アメリカも2倍、EUも4倍に増えています。全体を見ると、対外投資残高は、2000年代になって3・5倍の急増です。このように、貿易の拡大と海外直接投資の拡大にとって、アジアや中国市場は極めて大きな意味をもっています。

 今日、アジア太平洋は世界でも唯一経済の成長がみられる地域であり、ASEAN諸国の成長は著しいものがあります。また中国とASEAN諸国との経済的相互関係が強まり、中国の影響力が拡大しています。日本の支配層は、この中国の影響力の増大を抑え、日本の影響力を強めるためには日米同盟の強化が不可欠と考えています。アジアにおける日本の多国籍企業の利益を守るためにも、日米同盟の展開が必要なのです。このために、日本の政府は、「国際的公共財」としての日米同盟の必要性をことあるごとに主張するのです。彼らにとって、日米同盟は「国益」なのです。

日本の財界にアメリカ多国籍企業の影響

 ここで注目したいのは、多国籍企業化の進展にともない、日本の財界のあり方が大きく変貌していることです。1つは経団連の役員構成企業が、鉄鋼などの重厚長大産業から、自動車、電気、ハイテク産業に変化しています。この変化を象徴するのが、財界のトップである日本経団連会長の出身産業の変化です。80年代までは、鉄鋼などの出身が圧倒的でしたが、90年代になると、電機、自動車、情報通信出身の会長に変化しています。

もう1つは、日本経団連の役員企業の株式を見ると、外資による株式保有が増大していることです。経団連役員企業(正副会長・正副議長)の株式を見ると、外資の比率が、1980年の2・22%から2006年には29・93%と10倍以上増大しています。会長・副会長の企業に限定すると、70年の4・45%から06年の30・72%に増えているのです。この外資の多くはアメリカの多国籍企業です。このように、日本経団連は、日本の独占大企業の利益を代表するだけでなく、アメリカの多国籍企業の影響を強く受ける性格を持ち始めています(佐々木憲昭編著『変貌する財界』新日本出版社)。

日米安保を要とする従属的構造

第三に、こうした日本の支配層の対米従属の背景に、日米安保体制を要とする対米従属の構造が存在していることです。国家的軍事的従属を核にしながら、経済、社会などあらゆる分野に対米従属が網の目のようにつくられています。

 日米安保条約の第6条と日米地位協定によって、日本は国際社会でも異常な基地国家になっています。世界的にはソ連崩壊後、海外に配備されている米軍総数は半減しています。ヨーロッパでもアジアでも削減されていますが、在日米軍はほとんど変わっていません。それどころか、在日米軍基地は、1980年の120基地から133基地(2010年1月1日現在)へと増加し、面積は2倍以上になっています。とりわけ沖縄には米軍専用基地の74%が集中しています。この在日米軍基地に海外遠征軍と言われる在日米軍が常駐しているのです。

 また安保条約の第5条によって、日米共同作戦体制が構築されています。条約では日米共同作戦の対象地域が日本の領域になっていますが、ソ連崩壊後、周辺有事に拡大され、21世紀のイラク戦争への協力のなかで「世界の中の日米同盟」に広がっています。とりわけ昨年1月にアメリカの新しい国防方針が発表されると、アジアに影響力を強める中国などに対抗するため、日米間の「動的防衛協力」の合意がなされています。日本の自衛隊は日米共同作戦体制の枠のなかで行動する従属的な「軍隊」なのです。

 さらに、日米安保条約第2条に基づく日米経済協力が日本の社会や経済のあり方に大きな影響を与えています。この間の新自由主義的「構造改革」は、日米合作によって、日本の社会をアメリカ的な市場原理主義的社会に変質させることを目指していました。さらにTPP(環太平洋連携協定)や原発問題のなかで、あらためて日本の食糧やエネルギーの対米従属の深刻な実態が明らかになっています。

 このような従属的な状態を当たり前の現実と見る日本の支配層は、日本の国民の願いよりもアメリカの要請に従うことが当然と考え、対米追従政策をすべてに優先させています。日本の支配層は、戦後の日本が、日米安保体制のもとで、戦後の困難から復興し、平和と経済発展を勝ち取ったという思い込み的な信念を持っています。彼らにとって、日米安保体制=日米同盟は与えられた現実であり、すべての前提になっています。日米安保体制以外の現実は考えられないし、あり得ないのです。そこには、日米安保体制のもとで、日本がアメリカの基地国家になり、憲法の平和主義を蹂躙する再軍備と軍事大国化への道を当然とする考えしかありません。

日本の政策決定における「三層をなした順次依存構造」

 こうした対米従属の構造のもとで、日本政府の政策は独自のシステムのなかで決定されています。かつて日本共産党の理論的幹部であった上田耕一郎さんが極めて注目すべき指摘をおこなっています。上田さんは「政府・自民党の政策決定過程は、アメリカ政府、財界、官僚頼りという、三層をなした順次依存構造をもつものとならざるをえなかった」と述べています(『戦争・憲法と常備軍』大月書店)。
「三層をなした順次依存構造」とは、はじめに、外交や政治や経済の最も重要な戦略的な問題については、もっぱらアメリカの指示を受け入れていく。それから次に、アメリカの支配の枠内で、国内政策の基本については財界や大企業の利害を最優先していく。そして、最後に、そういう日米支配層の枠内での、具体的な政策や法律や行政指導については官僚群、高級官僚の裁量に任せていくというシステムです。これは非常に、重要な指摘だと思います。

 日本の対米従属は世界にも例がないほど異常なものです。日米安保体制のもとで、国家的軍事的な従属状態に置かれています。それ故、日本政府の政策もアメリカに依存した構造のもとで決められています。日本の財界はこの従属的な日米同盟のもとで、アジア太平洋における多国籍企業の利益を追求することに必死になっています。こうしたもとでは、日本の権力者や大企業家たちは、自分の安定した地位と利益を得るために、先を争って、対米追随に走るのです。

安定した権力の座は、アメリカからどれだけ信頼されるかで決まるといっても過言ではありません。日本における支配者たちの地位は、対米従属の深化をはかることを条件としています。日本の権力者たちの異常ともいえるアメリカ追随の秘密がここにあります。

【学習の友 2013 4 no:716 やまだ・たかお/労働者教育協会会長・現代史家)

「破綻する日本、守ろう」 赤川次郎氏・杉田かおる氏 革新墾インタビュー農業・原発・国防軍・憲法9条語る 

2013-03-28 | 各界インタビュー(新聞赤旗等より)
 ― 本当に 愛国心を持っているならば、原発なんか日本に置いておけない

 原発、憲法9条   あきらめずに問い続けよう



    作家 ・ 赤川次郎さん  革新墾インタビュー

 衆議院選挙直前、「原発を作り続けてきた政党が政権をとれば、原発を再稼動させる可能性が高い」と一般紙に投書し、共感を広げました。

 日本の国を、破綻から守ろう

 ――安倍首相は、「科学的安全基準で再稼動を判断する」と言っていますが。

赤川 いくら基準をつくっても、当てにならないことが福島の事故で分かっているのに、まだそんなことを言うのかと思います。
   再稼動を目的に言っているとしか思えないですね。

  学者も原発の危機を訴えてきた人は、学会からはじき出されてしまっている。
  残っている人たちで基準を作っても、「危険だ」という結論はまず出ないと思います。
  また事故が起きれば経済どころか日本の国が破綻しかねません。

 「取り戻す」 べきは、福島の故郷

 ――国民の多くが原発ゼロを願っていますが、政治に反映されていない。民主主義が問われています

赤川 日本では例えば、官僚は優秀だとずっと言われてきました。 本当に優秀なら、自分の責任をどんな障害があっても果たすと思います。
 しかし学者も含めてそのように育ってこなかった。
 
 アメリカでは専門家としての義務を果たすためなら、相手が大統領でもケンカを売る。不正があれば、相手がどんな大企業であっても不正だとはっきりいう。 日本の「プロ」は、上と上手くやっていくための「プロ」です。福島の事故で反省している人もいると思いますが。

 ――「日本を取り戻す」と自民党が言うならば、福島の人に故郷を取り戻させるのが先決だと、赤川さんは主張されています。

赤川 「日本を取り戻す」というのはたぶん尖閣諸島や竹島のことだと思いますが、原発事故が起きると、尖閣どころじゃない。
 日本を取り戻すといくら言っても、放射能は聞いてくれない。
 
 安倍首相は、愛国心という言葉が好きだけど、本当に愛国心を持っているならば、原発なんか日本に置いておけない。だって、日本に住めなくなってしまうじゃないですか。

 経済界の人たちも、原発をなくす過程で新しい産業を起こしていくほうが長い目で見れば利益になると、発想を転換してくれないと、日本は世界に追いつけなくなります。


 人の命を大切にすることから

 ――自民党は、「国防軍」の創設も主張しています

赤川 いまどき、そういうことを言う人がいるのは悲しくなります。 憲法9条が現実的な課題になってきました。自分は書くことしかできないわけですが、デモをしても無視される、訴えが選挙に反映されないと思うと、むなしくなると思いますが、それが向こう側の狙いです。 いくらやっても駄目だと思ったら負けです。

 やはりあきらめないことです。戦争はいやだという人はたくさんいます。9条は変えないほうがいいという人は多数です。

 原発をすすめ9条を変えようとする政党の人たちを、あらゆる選挙で落としていくことです

 原発問題であれだけの盛り上がりがあったのも、身近な命の問題を肌で感じたからです。9条でも同じだと思います。人の命を大切にすること、後に続く世代を守ることなど、人間としての基本的な立ち居地を深く考えるときです。 
 
 (全国革新墾ニュース 2013年2月号より)

 赤川次郎氏は、橋下大阪市長の【「君が代」を歌っているか、教師の口元チェック】をさせた問題についても、一般紙に投書されていました。こちら⇒ 三毛猫ホームズの声 「橋下氏、価値観押し付けるな!」


    =^-・-^・-・^-・ー^=

  女優・ 杉田かおるさん 革新墾インタビュー   人の幸せを思い 社会のために

  自然の営みの中で

 2009年から2年間、有機農業の土づくりを教わる塾に通いました。 耕さずに自然の生態系の中で野菜を育てる自然農も学びました。
 土の栄養素は虫や草が何十年、何百年も積み重なってできています。肥料や農薬を入れない土で作ったレタスは、塩をつけなくても本当においしい。
 
 自然農の畑に立つと、自然の営みの中で人間も生かされていると実感でき、癒しや励みになります。そして東日本大震災と原発事故の後、どう生きたらいいか考えさせられました。

 お金より命や健康が大事です。私はすべての仕事をお金で換算するような時期もありました。でも自分が追い求めていたものがお金の額だったと気づいたときの空しさは、何ともいえないものでした。
 自分の身の丈にあった生活を大切にし、欲望をコントロールすること、「足るを知る」が、精神的にも安定できるんですね。

 自然エネルギー中心に

 もう40年ほど前ですが、小学校の担任の先生が反原発の立場で、その影響を受けて、原発の事故をずっと危惧していました。 実際に起きたときは目の前が真っ暗になりました。
 
 一番の問題は(安全といえる)最終処分施設が世界のどこにも作られていないことです。
 核のゴミがどんどん溜まっていくことは脅威です。


 原発を稼動させて福島で事故を起こした責任が、どなたにあるのか、はっきりしません。原発も核兵器も責任者が一つ間違えれば、重大な事故に繋がってしまいます。すごく怖いことです。

 佐賀県では海洋の温度差を利用したエネルギーの開発を行い、世界から注目されています。間伐材を使ったエネルギーの開発も進んでいます。自然エネルギー中心にした社会になってほしいですね。

 人のつながりが平和に

 私が出演した「金八先生」(脚本・小山内美江子さん)のスペシャルだったと思いますが、金八先生が日本国憲法をずっと読み続けるシーンがありました。 やはり、暴力で暴力は押さえられないと思います

 例えば、いま地球のグローバル化で文化や食を通じて人と人のつながりができています。これは平和への大きな一歩になると期待しています。 昨年、合鴨農法をされている方の新年会に行くと、中国や韓国、キューバなど色々な国の研究生がいました。環境によい農業という同じ志を持っていると、言葉や思想が違っても心は通じ合えます。畑の中に国境はないと、感動しました。

 自分の幸せ以上に人の幸せを思い、社会のためにできることを考える方と、農業を通じて出会いました。それは争いのない世界に繋がっていくと思います。私もそういう生き方を心がけたいと思います。

 すぎた・かおる 1964年東京生まれ。
       7歳のとき、ドラマ「パパと呼ばないで」でデビュー。映画・舞台でも活躍。
       著書に『杉田かおるのオーガニックライフ』『この私が変われた理由』など。

 

 
 

「君が代」強制 進んで口元監視した橋下友人校長を「教育委員に」提案(維新の会) /チャベス大統領死去

2013-03-11 | 海外通信/外交/平和運動
2013年3月7日(木)

「君が代」口元監視した校長を
  松井知事が 教育委員に提案


大阪

 松井一郎大阪府知事は6日、「君が代」起立斉唱で 教職員の口元チェックまでした 府立和泉高校の中原徹校長(42)を教育委員に選任する案を府議会に提出しました。 可決されれば教育委員会議で教育長に任命される見通しです。

 中原氏は、橋下徹大阪市長と大学時代からの友人で、弁護士も同期。府の校長公募に応募し2010年4月、39歳で校長に就任。
憲法違反の「君が代」起立強制条例制定後の昨年3月の卒業式で、教職員が歌っているかどうかを監視し、口元をチェック
 結果をメールで報告し、橋下市長は「職務命令を忠実に守った」「すばらしいマネジメント」と絶賛しました。

 橋下・「維新」の教育「改革」に賛同し、和泉高校では「平和と国防を考える」との特別授業を実施。
侵略戦争を美化する歴史認識も教える必要があるという橋下市長の主張と通じるものです


 中原氏の校長就任をめぐっては、橋下知事(当時)特別秘書が、中原氏が校長に応募するかもしれないと府教委に事前に伝えたと報じられ、校長採用の年齢をそれまでの49歳から35歳へ大幅に引き下げています。

 日本共産党の宮原威府議団長は
「民間人校長としての中原氏の就任のいきさつには疑問が持たれていた」と指摘。
個人の内心の自由をじゅうりんすることをやってきた人物。いろんな価値観があっていい教育行政をつかさどる人に、特定の強権的な考え方をもつ人物を教育長にするのはまったく不適切だ」と批判しています。




2013年3月7日(木)

チャベス大統領死去
変革は銃でなく投票で
自主的な地域統合に貢献


 5日に死去したベネズエラのチャベス大統領は、軍事政権の弾圧や武装闘争の影響の強かった中南米地域において、政治変革を「銃弾ではなく投票箱を通じて」実現する流れを定着させ、米国いいなりを拒否した自主的な地域統合の推進に貢献した点で特筆される政治家でした。

 ベネズエラは1958年以来続いた二大政党による支配のもとで、豊富な石油収入が一部の富裕層やそれに連なる政治勢力に握られ、国民の大多数が貧困に苦しんでいました。こうした古い支配体制の腐敗を厳しく批判し、貧困層の救済を唱えて98年の大統領選で初当選を果たしたのがチャベス氏でした。

 翌年発足したチャベス政権は、新憲法を制定し、国民生活向上のための改革に着手しました。国民投票や各種選挙を連続的に実施し、改革の是非を国民に問いながら変革を進める姿勢を貫いてきました。 政権発足以来、昨年の大統領選まで少なくとも12回の投票・選挙を実施、そのうち11回で勝利し、国民の支持を確認してきました。


 2002年に既得権の侵害を脅威と見なした大土地所有者や財界と軍の一部が結託したクーデター事件が発生。チャベス大統領は一時拘束されたものの、民主主義を守れと立ち上がった広範な国民の抗議行動を背景に職務に復帰を果たしました。

 国営石油公社の一部幹部による特権的な支配を改変し、石油収入の多くを国庫に入れることに成功した後は、無料の診療所設置や識字運動、奨学金支給による就学率の向上などの社会開発計画を次々具体化しました。

 外交面では特に南米諸国連合(UNASUR)など、中南米の自主的な統合で積極的なイニシアチブを発揮。11年の中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)創設では首脳会議の議長を務めました。

 近年では、政権与党幹部に関わる汚職や政策推進上の不効率さ、凶悪犯罪の横行などの問題も抱えていました。

 中南米では、ベネズエラの変革に続いて、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアなど新自由主義からの脱却と対米自立を主張する勢力が大統領選で勝利を収めていきました。投票を通じた変革を重視するというチャベス政権の姿勢が、各国の変革に少なからぬ影響を与えたことはまちがいありません。 (菅原啓)


2013年3月7日(木)

チャベス大統領死去
ベネズエラ 30日以内に大統領選


 南米ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が5日、首都カラカスの軍病院で死去しました。同日夕(日本時間6日朝)、マドゥロ副大統領がテレビ演説で明らかにしました。58歳でした。30日以内に大統領選挙が実施されます。

 チャベス氏は2011年6月にみずからのがんを告白し、手術、再発を繰り返してきました。12年10月の大統領選で4選を果たした後、キューバでがんの手術を受け、13年1月に予定されていた大統領就任宣誓式も延期したままでした。

 新たに実施される大統領選挙では、与党統一社会主義党からマドゥロ副大統領が立候補の見込み。野党も統一候補の調整を進めています。

 国葬は8日に行われる予定です。

志位委員長が弔意

 日本共産党の志位和夫委員長は6日、駐日ベネズエラ大使館をつうじ、以下の弔意を伝えました。

 ウゴ・チャベス大統領の死去の知らせを大きな驚きと悲しみを持って受け取りました。ご遺族と国民のみなさんに心から哀悼の意を表します。

 私たちは、チャベス氏が、1998年の大統領選挙で当選して以来、選挙や国民投票を通じて常に国民の信を問いながら変革の道を進めてきたやり方に、共感をもって注目してきました。与党・ベネズエラ統一社会主義党の大会にも、わが党の代表を派遣しました。

 ベネズエラに続いて各国で生まれた変革の波は、いまや中南米全体をおおっています。チャベス氏の念願だった自主的な地域共同体づくりは、域内全33カ国が加盟する中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)として具体化が大きく進んでいます。

 重ねて哀悼を表明しつつ、チャベス氏がめざした国民を主人公とする自主的な国づくりがいっそう前進することを願っています。



 (以上、しんぶん赤旗3月7日(木)より)