学習の友・「日本の政府や財界はなぜこれほど日米安保にしがみつくのか?」
山田敬男
―安定した権力の座は、アメリカからどれだけ信頼されるかで決まるといっても過言ではありません。
日本における支配者たちの地位は、対米従属の深化をはかることを条件としています。
日本の権力者たちの異常ともいえるアメリカ追随の秘密がここにあります。
安保が分かれば、世界が見える
安保をめぐるQ&A
日本の政府や財界はなぜこれほど日米安保にしがみつくのか? 山田敬男
こうした質問が学習会でよく出されます。
第2次世界大戦が終わって68年が経ち、日本は世界的にも経済大国になっています。しかし世界でも異常といえるほどアメリカに追随しています。日本の政府・財界など支配層は、独自の国家戦略や長期戦略を持たず、日米安保にしがみつき、ひたすらアメリカに頼り、対米従属の道を走っています。
今回は、彼らがなぜこれほど日米安保にしがみつき、対米従属に走るかを考えてみたいと思います。
安定した日米関係を必要とする―権力のルール
第一に、安定した日米関係を必要とする権力のルールが存在していることです。日本の政治を見ると、日米関係が安定すれば政権基盤が強まりますが、逆に日米関係が不安定になると、政権基盤が脆弱になります。
この問題は、2009年の政権交代によって実現した民主党鳩山内閣が日米関係を見直すといい、沖縄の新基地建設を「国外、最低でも県外」といって日米関係を不安定にさせたことに示されています。結局、鳩山内閣はアメリカの圧力に屈して動揺し、10年5月4日に普天間基地の「県外移設断念」を表明し、5月28日には辺野古に新基地建設という自公政権と変わらない「日米合意」を発表して退陣せざるを得ませんでした。
日米関係を不安定にさせたことが、鳩山内閣の基盤を弱める結果になったのです。
このことから、その後の菅内閣や野田内閣は、日米同盟の深化を強調しながら政権を運営します。
政権交代を実現した総選挙(09年)のときに日米関係を見直すといいながら、政権が不安定になると、結局は日米同盟の深化に走らざるを得なかったのです。
昨年12月の総選挙で再び総理大臣の座を手にした安倍首相は、就任会見で「日米同盟の絆をあらためて強化していくことが日本の外交・安全保障の第一歩だ」と強調しました。今年の7月の参議院選挙で過半数を獲得して、長期政権を狙う安倍首相は、5月の日米首脳会談後の記者会見で、「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活したと自信をもって宣言したい」と語り、民主党政権との違いを力説したのです。
このように、体制擁護の政権は、良好な日米同盟なしに、政権を安定させることはできないというルールに縛られているのです。
アジアにおける影響力の拡大と日米同盟
第二に、日本の政府や財界は、日米同盟に依拠することによって、アジアにおける影響力の拡大を求めています。今日、彼らは、日本が中国やASEANに対抗してアジアで影響力を広げるには、日米同盟が不可欠だと考えています。それ故に、アメリカ抜きのアジアの共同体構築の運動を警戒し、アジアにとって日米安保は「国際的公共財」であると強調しています。日本の支配層は、アメリカに頼らなければ、アジアでやっていけないと考えているのです。
経済の面でも、アジアにおける日本の影響力を拡大するには、日米同盟が絶対に必要とされています。1990年代以降、日本経済は貿易の拡大と海外直接投資の拡大(多国籍企業化)を追求しています。
貿易は、それまでのアメリカ市場中心から中国やアジア市場中心に変化しています。日本の海外直接投資も、2000年代に急増しました。アジアが5倍、中国が10倍、アメリカも2倍、EUも4倍に増えています。全体を見ると、対外投資残高は、2000年代になって3・5倍の急増です。このように、貿易の拡大と海外直接投資の拡大にとって、アジアや中国市場は極めて大きな意味をもっています。
今日、アジア太平洋は世界でも唯一経済の成長がみられる地域であり、ASEAN諸国の成長は著しいものがあります。また中国とASEAN諸国との経済的相互関係が強まり、中国の影響力が拡大しています。日本の支配層は、この中国の影響力の増大を抑え、日本の影響力を強めるためには日米同盟の強化が不可欠と考えています。アジアにおける日本の多国籍企業の利益を守るためにも、日米同盟の展開が必要なのです。このために、日本の政府は、「国際的公共財」としての日米同盟の必要性をことあるごとに主張するのです。彼らにとって、日米同盟は「国益」なのです。
日本の財界にアメリカ多国籍企業の影響
ここで注目したいのは、多国籍企業化の進展にともない、日本の財界のあり方が大きく変貌していることです。1つは経団連の役員構成企業が、鉄鋼などの重厚長大産業から、自動車、電気、ハイテク産業に変化しています。この変化を象徴するのが、財界のトップである日本経団連会長の出身産業の変化です。80年代までは、鉄鋼などの出身が圧倒的でしたが、90年代になると、電機、自動車、情報通信出身の会長に変化しています。
もう1つは、日本経団連の役員企業の株式を見ると、外資による株式保有が増大していることです。経団連役員企業(正副会長・正副議長)の株式を見ると、外資の比率が、1980年の2・22%から2006年には29・93%と10倍以上増大しています。会長・副会長の企業に限定すると、70年の4・45%から06年の30・72%に増えているのです。この外資の多くはアメリカの多国籍企業です。このように、日本経団連は、日本の独占大企業の利益を代表するだけでなく、アメリカの多国籍企業の影響を強く受ける性格を持ち始めています(佐々木憲昭編著『変貌する財界』新日本出版社)。
日米安保を要とする従属的構造
第三に、こうした日本の支配層の対米従属の背景に、日米安保体制を要とする対米従属の構造が存在していることです。国家的軍事的従属を核にしながら、経済、社会などあらゆる分野に対米従属が網の目のようにつくられています。
日米安保条約の第6条と日米地位協定によって、日本は国際社会でも異常な基地国家になっています。世界的にはソ連崩壊後、海外に配備されている米軍総数は半減しています。ヨーロッパでもアジアでも削減されていますが、在日米軍はほとんど変わっていません。それどころか、在日米軍基地は、1980年の120基地から133基地(2010年1月1日現在)へと増加し、面積は2倍以上になっています。とりわけ沖縄には米軍専用基地の74%が集中しています。この在日米軍基地に海外遠征軍と言われる在日米軍が常駐しているのです。
また安保条約の第5条によって、日米共同作戦体制が構築されています。条約では日米共同作戦の対象地域が日本の領域になっていますが、ソ連崩壊後、周辺有事に拡大され、21世紀のイラク戦争への協力のなかで「世界の中の日米同盟」に広がっています。とりわけ昨年1月にアメリカの新しい国防方針が発表されると、アジアに影響力を強める中国などに対抗するため、日米間の「動的防衛協力」の合意がなされています。日本の自衛隊は日米共同作戦体制の枠のなかで行動する従属的な「軍隊」なのです。
さらに、日米安保条約第2条に基づく日米経済協力が日本の社会や経済のあり方に大きな影響を与えています。この間の新自由主義的「構造改革」は、日米合作によって、日本の社会をアメリカ的な市場原理主義的社会に変質させることを目指していました。さらにTPP(環太平洋連携協定)や原発問題のなかで、あらためて日本の食糧やエネルギーの対米従属の深刻な実態が明らかになっています。
このような従属的な状態を当たり前の現実と見る日本の支配層は、日本の国民の願いよりもアメリカの要請に従うことが当然と考え、対米追従政策をすべてに優先させています。日本の支配層は、戦後の日本が、日米安保体制のもとで、戦後の困難から復興し、平和と経済発展を勝ち取ったという思い込み的な信念を持っています。彼らにとって、日米安保体制=日米同盟は与えられた現実であり、すべての前提になっています。日米安保体制以外の現実は考えられないし、あり得ないのです。そこには、日米安保体制のもとで、日本がアメリカの基地国家になり、憲法の平和主義を蹂躙する再軍備と軍事大国化への道を当然とする考えしかありません。
日本の政策決定における「三層をなした順次依存構造」
こうした対米従属の構造のもとで、日本政府の政策は独自のシステムのなかで決定されています。かつて日本共産党の理論的幹部であった上田耕一郎さんが極めて注目すべき指摘をおこなっています。上田さんは「政府・自民党の政策決定過程は、アメリカ政府、財界、官僚頼りという、三層をなした順次依存構造をもつものとならざるをえなかった」と述べています(『戦争・憲法と常備軍』大月書店)。
「三層をなした順次依存構造」とは、はじめに、外交や政治や経済の最も重要な戦略的な問題については、もっぱらアメリカの指示を受け入れていく。それから次に、アメリカの支配の枠内で、国内政策の基本については財界や大企業の利害を最優先していく。そして、最後に、そういう日米支配層の枠内での、具体的な政策や法律や行政指導については官僚群、高級官僚の裁量に任せていくというシステムです。これは非常に、重要な指摘だと思います。
日本の対米従属は世界にも例がないほど異常なものです。日米安保体制のもとで、国家的軍事的な従属状態に置かれています。それ故、日本政府の政策もアメリカに依存した構造のもとで決められています。日本の財界はこの従属的な日米同盟のもとで、アジア太平洋における多国籍企業の利益を追求することに必死になっています。こうしたもとでは、日本の権力者や大企業家たちは、自分の安定した地位と利益を得るために、先を争って、対米追随に走るのです。
安定した権力の座は、アメリカからどれだけ信頼されるかで決まるといっても過言ではありません。日本における支配者たちの地位は、対米従属の深化をはかることを条件としています。日本の権力者たちの異常ともいえるアメリカ追随の秘密がここにあります。
【学習の友 2013 4 no:716 やまだ・たかお/労働者教育協会会長・現代史家)
山田敬男
―安定した権力の座は、アメリカからどれだけ信頼されるかで決まるといっても過言ではありません。
日本における支配者たちの地位は、対米従属の深化をはかることを条件としています。
日本の権力者たちの異常ともいえるアメリカ追随の秘密がここにあります。
安保が分かれば、世界が見える
安保をめぐるQ&A
日本の政府や財界はなぜこれほど日米安保にしがみつくのか? 山田敬男
こうした質問が学習会でよく出されます。
第2次世界大戦が終わって68年が経ち、日本は世界的にも経済大国になっています。しかし世界でも異常といえるほどアメリカに追随しています。日本の政府・財界など支配層は、独自の国家戦略や長期戦略を持たず、日米安保にしがみつき、ひたすらアメリカに頼り、対米従属の道を走っています。
今回は、彼らがなぜこれほど日米安保にしがみつき、対米従属に走るかを考えてみたいと思います。
安定した日米関係を必要とする―権力のルール
第一に、安定した日米関係を必要とする権力のルールが存在していることです。日本の政治を見ると、日米関係が安定すれば政権基盤が強まりますが、逆に日米関係が不安定になると、政権基盤が脆弱になります。
この問題は、2009年の政権交代によって実現した民主党鳩山内閣が日米関係を見直すといい、沖縄の新基地建設を「国外、最低でも県外」といって日米関係を不安定にさせたことに示されています。結局、鳩山内閣はアメリカの圧力に屈して動揺し、10年5月4日に普天間基地の「県外移設断念」を表明し、5月28日には辺野古に新基地建設という自公政権と変わらない「日米合意」を発表して退陣せざるを得ませんでした。
日米関係を不安定にさせたことが、鳩山内閣の基盤を弱める結果になったのです。
このことから、その後の菅内閣や野田内閣は、日米同盟の深化を強調しながら政権を運営します。
政権交代を実現した総選挙(09年)のときに日米関係を見直すといいながら、政権が不安定になると、結局は日米同盟の深化に走らざるを得なかったのです。
昨年12月の総選挙で再び総理大臣の座を手にした安倍首相は、就任会見で「日米同盟の絆をあらためて強化していくことが日本の外交・安全保障の第一歩だ」と強調しました。今年の7月の参議院選挙で過半数を獲得して、長期政権を狙う安倍首相は、5月の日米首脳会談後の記者会見で、「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活したと自信をもって宣言したい」と語り、民主党政権との違いを力説したのです。
このように、体制擁護の政権は、良好な日米同盟なしに、政権を安定させることはできないというルールに縛られているのです。
アジアにおける影響力の拡大と日米同盟
第二に、日本の政府や財界は、日米同盟に依拠することによって、アジアにおける影響力の拡大を求めています。今日、彼らは、日本が中国やASEANに対抗してアジアで影響力を広げるには、日米同盟が不可欠だと考えています。それ故に、アメリカ抜きのアジアの共同体構築の運動を警戒し、アジアにとって日米安保は「国際的公共財」であると強調しています。日本の支配層は、アメリカに頼らなければ、アジアでやっていけないと考えているのです。
経済の面でも、アジアにおける日本の影響力を拡大するには、日米同盟が絶対に必要とされています。1990年代以降、日本経済は貿易の拡大と海外直接投資の拡大(多国籍企業化)を追求しています。
貿易は、それまでのアメリカ市場中心から中国やアジア市場中心に変化しています。日本の海外直接投資も、2000年代に急増しました。アジアが5倍、中国が10倍、アメリカも2倍、EUも4倍に増えています。全体を見ると、対外投資残高は、2000年代になって3・5倍の急増です。このように、貿易の拡大と海外直接投資の拡大にとって、アジアや中国市場は極めて大きな意味をもっています。
今日、アジア太平洋は世界でも唯一経済の成長がみられる地域であり、ASEAN諸国の成長は著しいものがあります。また中国とASEAN諸国との経済的相互関係が強まり、中国の影響力が拡大しています。日本の支配層は、この中国の影響力の増大を抑え、日本の影響力を強めるためには日米同盟の強化が不可欠と考えています。アジアにおける日本の多国籍企業の利益を守るためにも、日米同盟の展開が必要なのです。このために、日本の政府は、「国際的公共財」としての日米同盟の必要性をことあるごとに主張するのです。彼らにとって、日米同盟は「国益」なのです。
日本の財界にアメリカ多国籍企業の影響
ここで注目したいのは、多国籍企業化の進展にともない、日本の財界のあり方が大きく変貌していることです。1つは経団連の役員構成企業が、鉄鋼などの重厚長大産業から、自動車、電気、ハイテク産業に変化しています。この変化を象徴するのが、財界のトップである日本経団連会長の出身産業の変化です。80年代までは、鉄鋼などの出身が圧倒的でしたが、90年代になると、電機、自動車、情報通信出身の会長に変化しています。
もう1つは、日本経団連の役員企業の株式を見ると、外資による株式保有が増大していることです。経団連役員企業(正副会長・正副議長)の株式を見ると、外資の比率が、1980年の2・22%から2006年には29・93%と10倍以上増大しています。会長・副会長の企業に限定すると、70年の4・45%から06年の30・72%に増えているのです。この外資の多くはアメリカの多国籍企業です。このように、日本経団連は、日本の独占大企業の利益を代表するだけでなく、アメリカの多国籍企業の影響を強く受ける性格を持ち始めています(佐々木憲昭編著『変貌する財界』新日本出版社)。
日米安保を要とする従属的構造
第三に、こうした日本の支配層の対米従属の背景に、日米安保体制を要とする対米従属の構造が存在していることです。国家的軍事的従属を核にしながら、経済、社会などあらゆる分野に対米従属が網の目のようにつくられています。
日米安保条約の第6条と日米地位協定によって、日本は国際社会でも異常な基地国家になっています。世界的にはソ連崩壊後、海外に配備されている米軍総数は半減しています。ヨーロッパでもアジアでも削減されていますが、在日米軍はほとんど変わっていません。それどころか、在日米軍基地は、1980年の120基地から133基地(2010年1月1日現在)へと増加し、面積は2倍以上になっています。とりわけ沖縄には米軍専用基地の74%が集中しています。この在日米軍基地に海外遠征軍と言われる在日米軍が常駐しているのです。
また安保条約の第5条によって、日米共同作戦体制が構築されています。条約では日米共同作戦の対象地域が日本の領域になっていますが、ソ連崩壊後、周辺有事に拡大され、21世紀のイラク戦争への協力のなかで「世界の中の日米同盟」に広がっています。とりわけ昨年1月にアメリカの新しい国防方針が発表されると、アジアに影響力を強める中国などに対抗するため、日米間の「動的防衛協力」の合意がなされています。日本の自衛隊は日米共同作戦体制の枠のなかで行動する従属的な「軍隊」なのです。
さらに、日米安保条約第2条に基づく日米経済協力が日本の社会や経済のあり方に大きな影響を与えています。この間の新自由主義的「構造改革」は、日米合作によって、日本の社会をアメリカ的な市場原理主義的社会に変質させることを目指していました。さらにTPP(環太平洋連携協定)や原発問題のなかで、あらためて日本の食糧やエネルギーの対米従属の深刻な実態が明らかになっています。
このような従属的な状態を当たり前の現実と見る日本の支配層は、日本の国民の願いよりもアメリカの要請に従うことが当然と考え、対米追従政策をすべてに優先させています。日本の支配層は、戦後の日本が、日米安保体制のもとで、戦後の困難から復興し、平和と経済発展を勝ち取ったという思い込み的な信念を持っています。彼らにとって、日米安保体制=日米同盟は与えられた現実であり、すべての前提になっています。日米安保体制以外の現実は考えられないし、あり得ないのです。そこには、日米安保体制のもとで、日本がアメリカの基地国家になり、憲法の平和主義を蹂躙する再軍備と軍事大国化への道を当然とする考えしかありません。
日本の政策決定における「三層をなした順次依存構造」
こうした対米従属の構造のもとで、日本政府の政策は独自のシステムのなかで決定されています。かつて日本共産党の理論的幹部であった上田耕一郎さんが極めて注目すべき指摘をおこなっています。上田さんは「政府・自民党の政策決定過程は、アメリカ政府、財界、官僚頼りという、三層をなした順次依存構造をもつものとならざるをえなかった」と述べています(『戦争・憲法と常備軍』大月書店)。
「三層をなした順次依存構造」とは、はじめに、外交や政治や経済の最も重要な戦略的な問題については、もっぱらアメリカの指示を受け入れていく。それから次に、アメリカの支配の枠内で、国内政策の基本については財界や大企業の利害を最優先していく。そして、最後に、そういう日米支配層の枠内での、具体的な政策や法律や行政指導については官僚群、高級官僚の裁量に任せていくというシステムです。これは非常に、重要な指摘だと思います。
日本の対米従属は世界にも例がないほど異常なものです。日米安保体制のもとで、国家的軍事的な従属状態に置かれています。それ故、日本政府の政策もアメリカに依存した構造のもとで決められています。日本の財界はこの従属的な日米同盟のもとで、アジア太平洋における多国籍企業の利益を追求することに必死になっています。こうしたもとでは、日本の権力者や大企業家たちは、自分の安定した地位と利益を得るために、先を争って、対米追随に走るのです。
安定した権力の座は、アメリカからどれだけ信頼されるかで決まるといっても過言ではありません。日本における支配者たちの地位は、対米従属の深化をはかることを条件としています。日本の権力者たちの異常ともいえるアメリカ追随の秘密がここにあります。
【学習の友 2013 4 no:716 やまだ・たかお/労働者教育協会会長・現代史家)