CyberChaos(さいばかおす)

プログラミング言語、トランスパイラ、RPA、ChatGPT、データマイニング、リバースエンジニアリングのための忘備録

年齢差別は違法だが、応募者が勝訴した判例はないらしい

2025-02-01 15:02:45 | 法律
日本の裁判例において、「採用の段階で年齢差別が行われたとして応募者が訴えを提起し、最終的に原告側が勝訴した」事例は、公開されているものの中では事実上見当たらないのが現状です。日本国内では、募集・採用時の年齢差別を明示的に違法としつつ、実際に裁判で損害賠償等が認められるような典型的判例(いわゆる“勝訴判例”)はほぼ存在しないといわれています。

以下では、なぜそのような判例が少ない(あるいは見当たらない)のか、また日本における法制度上の位置づけをご説明します。

---

## 1. なぜ「採用での年齢差別」判例が存在しない(少ない)のか

1. **訴訟の立証の困難さ**
採用不採用の判断には様々な要因があり、企業側が「年齢のみ」を理由に不採用としたと立証するのが非常に困難です。企業が採用基準を詳細に開示する義務もなく、「総合的に判断した結果、不採用とした」と主張されると、年齢差別であることを証明するハードルが高くなります。

2. **法的救済の仕組みの弱さ**
雇用対策法第7条では、募集・採用の年齢制限の禁止を原則としていますが、違反時の行政指導を定めるにとどまり、個人が直接その違反を根拠に損害賠償を請求できるような強力な規定にはなっていません。
- 雇用対策法7条(募集・採用時の年齢制限の禁止)
> (略)事業主は、労働者の募集及び採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない
この「年齢にかかわりなく均等な機会を与えることを義務付ける」規定は存在するものの、これに違反した場合の罰則や、個人救済の規定が明確でないという問題があります。

3. **訴訟コストと損害額の兼ね合い**
採用時の不採用をめぐる損害額は算定が難しく、原告が長期間にわたる訴訟リスクを負ってまで争うインセンティブが働きにくいのが実情です。仮に訴訟が認められても、逸失利益や精神的苦痛への慰謝料は限定的になることが多く、企業と争うメリットを感じにくい側面があります。

---

## 2. 年齢差別を巡る日本の法規制の概要

1. **雇用対策法**
2007年の改正により、原則として募集・採用時の年齢制限が禁止されました。ただし「定年年齢未満の人材に限定しなければ業務の継続が困難」「長期継続勤務が前提となる職種」など、一定の例外規定があります。企業が正当な理由(例外事由)を示せば、求人票に年齢制限を設けても直ちに違法とはならないことが多いのが現状です。

2. **高年齢者雇用安定法**
主に定年後の継続雇用制度など、すでに在籍している労働者の扱いに関するものが中心で、「外部からの新規採用」に関して直接的に機能する法律ではありません。

3. **実際の運用**
ハローワーク経由の求人票では、年齢に関する表記を厳しく制限しており、違反するとハローワークからの指導や求人不掲載などが行われることがあります。しかし、民間の転職サイトや企業の独自募集などでは依然として年齢制限が事実上存在する場合もあり、行政指導にとどまるため是正が進みにくい側面があります。

---

## 3. 参考となる年齢に関連した争点の判例
「採用時の年齢差別」での原告勝訴の判例は見当たりませんが、**“年齢を理由とする不利取扱い”** に関係する判例としては、以下のようなものがあります。いずれも採用ではなく、定年や雇止めなど“在職中”の事案であり、直接の参考ではない点にご注意ください。

1. **新卒一括採用の違法性が争われた例(昭和女子大学事件 など)**
新卒以外の採用を認めないことが年齢差別にあたるのかが争われましたが、最終的には大学側が「新卒以外も不合格ではない」という説明を行い、実質的な差別があったかはっきりしないまま終わっています。実際には和解や請求棄却などにより、明確に「年齢差別が違法」と認定されたわけではありません。

2. **定年後再雇用の差別是正をめぐる判例**
- **日立メディコ事件**(最判平成24年2月28日 ほか)
- **長澤運輸事件**(最判平成30年6月1日)
いずれも「65歳までの継続雇用義務」「同一労働同一賃金」との関係が争点であり、採用差別とは異なりますが、高年齢労働者を不当に扱うことへの司法判断の一端をうかがえる事例です。

---

## 4. まとめ

- **採用段階の年齢差別で企業を訴え、実際に勝訴した判例は、現時点では公に確認されていない**
- 雇用対策法などで年齢にかかわりない採用機会を与えることが義務づけられているとはいえ、違反時の制裁や個人救済の仕組みは限定的。
- 募集・採用時点の差別は立証が難しく、仮に訴訟になっても和解や請求棄却などで決着する場合がほとんどで、“判決”としての確立したものが少ない。

もし実務的に「年齢を理由に採用差別を受けたのではないか」という場合は、弁護士や労働問題に詳しい専門家への相談・事実関係の整理・労働局の紛争調整委員会などの活用を検討するのが一般的です。しかしながら、少なくとも公開されている資料の範囲においては、「募集・採用時の年齢差別」を原因とする原告側の勝訴事例は確認できません。

---

### 参考情報(公的機関・解説など)
- 厚生労働省「年齢制限の禁止に係る取組について」
- 独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)関連文書・労働判例データベース
- 『労働判例』『判例タイムズ』等の判例雑誌

上記の通り、「判例」として積み上がるほどの事例が存在しないのが現状です。もし今後、募集・採用の場面で年齢差別を明確に認定した判例が確立されれば、学説や実務上も大きなトピックになるだろうと考えられます。

「特定年齢層のキャリア形成を図るため」などという、ボカしたインチキな表現がまかり通っている有様www
何?特定年齢層のキャリア形成って?www
バカチョンチャンコロブラック企業が勝手に作り出した造語?www


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。