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コレクタ接地回路

2024-10-17 15:40:35 | 第一級陸上特殊無線技術士

コレクタ接地回路(エミッタフォロワ)の『特徴』や『原理』について

コレクタ接地回路(エミッタフォロワ)の『特徴』や『原理』について

コレクタ接地回路はバイポーラトランジスタを使用した基本的な増幅回路の1つです。出力電圧が入力電圧を追従するように動作する回路となっており、その特徴からエミッタフォ...

Electrical Information









第一級陸上特殊無線技術士試験に於いて出題されるバイポーラトランジスタのコレクタ接地回路について知りたい。その用途・利用目的・原理・長所短所について解説と入力波が振幅Aの正弦波で初期位相がゼロのものの各地点での変化の状況と最後に過去に出題された試験問題を数問と、その解答と解説を求める。

### 1. コレクタ接地回路の概要
**コレクタ接地回路**(common-collector circuit)は、バイポーラトランジスタ(BJT)の3つの基本的な回路構成の1つで、出力がエミッタ端子から取り出される回路です。この回路は、「**エミッタフォロワ**(emitter follower)」とも呼ばれ、主に**電流増幅**や**インピーダンス変換**に利用されます。

#### 原理
- **入力信号**はベース端子に加えられます。
- **出力信号**はエミッタ端子から取り出されます。
- コレクタ端子はグランドに接地され、固定されます。
- 入力信号がベース端子に加わると、ベース・エミッタ間の電圧が変動し、その結果、エミッタ電流が変動します。このエミッタ電流が、エミッタ端子の出力電圧に反映されます。

コレクタ接地回路では、**出力信号の電圧は入力信号と同位相**であり、位相反転は起こりません。また、出力電圧は入力電圧よりもわずかに小さくなります(ベース・エミッタ間の電圧降下 \(V_{BE}\) によるもの)。

### 2. 用途・利用目的
コレクタ接地回路は、以下のような用途に広く使用されます。
- **インピーダンス変換**:入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いため、インピーダンス整合が必要な場面でよく使われます。特に信号源と負荷のインピーダンスを一致させる際に便利です。
- **電流増幅**:電流利得が大きく、出力電流が入力電流の数十倍に増幅されます。
- **バッファ回路**:出力インピーダンスが低いため、後段回路に負荷を与えないバッファ回路としての用途があります。

### 3. 長所と短所

#### 長所
- **高入力インピーダンス、低出力インピーダンス**:入力側が高いインピーダンスであり、出力側は低いため、インピーダンス変換やバッファ回路として優れています。
- **位相反転がない**:出力信号と入力信号は同位相です。
- **電流増幅**:大きな電流利得を得られ、電流を効率的に増幅します。
- **安定した出力**:信号の電圧が入力信号に追従するため、信号波形をほぼそのまま出力する特性があります。

#### 短所
- **電圧増幅がほぼない**:コレクタ接地回路は電圧増幅には適しておらず、電圧増幅率は1以下です。
- **ベース・エミッタ間の電圧降下**:出力電圧は常に入力電圧よりも約0.7V(シリコントランジスタの場合)低くなります。

### 4. 正弦波入力時の動作
入力波が振幅 \( A \) の正弦波で、初期位相がゼロの信号 \( V_{\text{in}}(t) = A \sin(\omega t) \) がベース端子に与えられた場合、コレクタ接地回路での動作は次のようになります。

1. **入力信号** \( V_{\text{in}}(t) \) がベース端子に加わると、ベース・エミッタ間の電圧が変化し、エミッタ電流が変動します。この変動は、出力信号(エミッタ端子の電圧)に現れます。

2. コレクタ接地回路では、出力信号 \( V_{\text{out}}(t) \) は入力信号と**同位相**で変動しますが、出力電圧は入力電圧より約0.7V(ベース・エミッタ間電圧 \(V_{BE}\) )低い値になります。

- 入力が正のとき、出力も正ですが、わずかに電圧降下があります。
- 入力が負のとき、出力も同様に負の方向に追従します。

3. 具体的には、入力信号が \( V_{\text{in}}(t) = A \sin(\omega t) \) であれば、出力信号は \( V_{\text{out}}(t) = A \sin(\omega t) - V_{BE} \) となります。

### 5. 過去の試験問題と解答

#### 問題1:
コレクタ接地回路における入力信号と出力信号の位相関係について正しい記述はどれか。
1. 同位相
2. 180度反転
3. 90度進む
4. 90度遅れる

**解答**:1.
**解説**:コレクタ接地回路では、入力信号と出力信号は同位相で動作します。これは、他の回路構成(例えばエミッタ接地回路)とは異なる特性です。

#### 問題2:
コレクタ接地回路の利点として正しいものはどれか。
1. 高い電圧増幅率
2. 高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンス
3. 180度の位相反転がある
4. 出力インピーダンスが非常に高い

**解答**:2.
**解説**:コレクタ接地回路は、特に高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンスが特長で、インピーダンス変換やバッファ回路として広く利用されます。

#### 問題3:
コレクタ接地回路の用途として適切なものはどれか。
1. 高周波増幅回路
2. インピーダンス変換
3. 電圧増幅
4. フィードバック制御

**解答**:2.
**解説**:コレクタ接地回路は、インピーダンス変換が主な用途であり、電圧増幅には向いていません。

### まとめ
コレクタ接地回路は、電圧増幅がほとんどないものの、**インピーダンス変換**や**バッファ回路**として多用される回路です。また、位相反転がないため、信号の形状をそのまま保ちつつ電流増幅ができる点が重要です。この回路の理解は、第一級陸上特殊無線技術士試験におけるトランジスタ関連の問題に対応する上で不可欠です。


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