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### 1. バイポーラトランジスタの周波数特性とは?
**バイポーラトランジスタの周波数特性**とは、トランジスタが異なる周波数の信号に対してどのように動作するか、特に増幅能力がどのように変化するかを示す特性です。トランジスタには、特定の周波数範囲内でのみ効率よく信号を増幅できるという限界があり、これを理解することが、無線通信や高周波回路設計において非常に重要です。
#### 主要なパラメータ
1. **( f_T )(トランジット周波数)**:
- トランジスタの**高周波限界**を示す重要な指標です。
- ( f_T ) は「**カットオフ周波数**」とも呼ばれ、この周波数でトランジスタの電流増幅率(hFE)は1に低下します。つまり、増幅がほとんどできなくなる周波数を意味します。一般的に、トランジスタの性能が有効な周波数範囲はこの ( f_T ) 以下の範囲です。
2. **ゲイン帯域幅積**:
- 増幅回路の利得(ゲイン)とその回路が動作可能な最大周波数(帯域幅)の積です。周波数が上がるとゲインが低下するため、利得と周波数のトレードオフ関係が存在します。
#### 周波数特性の動作
低周波では、トランジスタは十分な利得を持って信号を増幅できますが、周波数が高くなるにつれて、トランジスタの内部構造(接合容量や配線インダクタンスなど)の影響で、利得が低下します。これが高周波における**周波数特性の劣化**です。
バイポーラトランジスタは、特に高周波回路や無線通信での使用時に、この周波数特性を考慮することが重要であり、**周波数特性を最適化したトランジスタ**(高周波トランジスタ)が設計されています。
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### 2. 試験問題と解答
#### 問題1:
バイポーラトランジスタのトランジット周波数 ( f_T ) とは何か?
1. トランジスタが最大電圧を出力できる周波数
2. トランジスタの電流利得が1になる周波数
3. トランジスタの入力インピーダンスが無限大になる周波数
4. トランジスタの出力電流がゼロになる周波数
**解答**:2
**解説**:トランジスタのトランジット周波数 ( f_T ) は、電流増幅率(hFE)が1に低下する周波数です。この周波数以上では、トランジスタは増幅能力をほとんど持たなくなります。
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#### 問題2:
トランジスタの周波数特性を考慮した高周波回路設計で重要なパラメータはどれか?
1. 電力消費量
2. トランジット周波数 ( f_T )
3. コレクタ損失
4. エミッタ電圧
**解答**:2
**解説**:高周波回路設計では、トランジスタのトランジット周波数 ( f_T ) が非常に重要です。これにより、トランジスタが高周波信号をどの程度効率よく増幅できるかが決まります。
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#### 問題3:
バイポーラトランジスタの周波数特性において、周波数が高くなると次のどの現象が起こるか?
1. 電流増幅率が増加する
2. 電流増幅率が減少する
3. 電流増幅率は一定になる
4. 出力インピーダンスが無限大になる
**解答**:2
**解説**:バイポーラトランジスタでは、周波数が高くなるにつれて電流増幅率が低下します。これは、トランジスタの内部の容量やインダクタンスの影響が強くなるためです。
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#### 問題4:
バイポーラトランジスタのゲイン帯域幅積とは何か?
1. トランジスタの電流利得と入力インピーダンスの積
2. 増幅回路の利得とその回路が有効に動作する帯域幅の積
3. 出力インピーダンスとコレクタ電流の積
4. ベース電流とエミッタ電流の積
**解答**:2
**解説**:ゲイン帯域幅積とは、増幅回路の利得とその回路が動作できる最大周波数(帯域幅)の積です。高周波では利得が低下するため、この特性が設計において重要です。
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### まとめ
バイポーラトランジスタの**周波数特性**は、トランジスタが高周波でどのように動作するかを示す重要な指標であり、無線技術や高周波設計で極めて重要な知識です。試験問題でも、トランジスタの周波数限界や高周波特性に関する問題が頻出するため、これらの基本的な概念をしっかり理解することが大切です。