海豚阿徳書店も、今月の17日で引っ越しをするとの事です。理由は、多くの他の店舗と同様家賃高騰によるものです。経営者によれば、2014年に人民路に店を構えた時には、家賃は一年で1万6千元だったそうですが、その後、年間5万元に値上がり、今年7月の契約切れと同時に年間15万元の家賃を提示され、それで止む無く人民路から撤退移転する事に決めたそうです。4年間で約10倍値上がりした事になります、阿徳書店は、既に別な場所にも店を構えているのですが、場所的にはあまりよい場所とは云えませんで、売上はかなり落ち込むと思われます。
このブログでも触れた事があるのですが、中国でも、個人経営の書店の運営は、近年ネット販売等の影響もあり、かなり厳しい様で、個人経営の店は他の都市でも閉店に追い込まれているのが実情の様です。大理古城にも、以前は新華書店を含め、8店舗程の書店があったのですが、私が知っている限りでも、今月に移転する海豚書店を含め4店舗が移転ないしは閉店に追い込まれました。
これで大理古城内に残る書店は、新華書店、蔓林書店、书呆子と最近出来た書店の4店舗のみとなりました。新華書店は、元々は中国共産党の書籍を出版、販売する党組織の一部門として陝西省延安で出来たと云う経緯もあり、今でも特別な立場にあります。(以前このブログでもこの新華書店については触れた事があります)この書店は、様々な面で優遇策も受けており、国営企業ですので閉店することは無いと思います。
個人書店と新華書店との大きな違いの一つは、個人書店には、まず中国共産党関係の本は、全く無いと云う事かもしれません。また、個人書店には、一般に日本関係の書籍が多い事も特徴として挙げられるかも知れません。また、当然ながら個人書店は経営者の嗜好が伺える様な品揃えとなっており、本屋を覗くのはなかなか楽しいものです。古城内にある书呆子と云う本屋には、竹久夢二の書籍が殆ど揃えてありますが、これ等は店主の趣向によると思われます。また、源氏物語、枕草子等の日本の古典文学も多く揃えてあります。
海豚阿徳書店にも、村上春樹、大江健三郎、谷崎潤一郎、沢木耕太郎等の本はかなり多く揃えてあります。 また、遠藤周作の「沈黙」、妹尾河童の「河童が覗いたトイレまんだら」、大塚信一の「私と岩波書店」等の本も書棚に並んでいます。日本関係の書籍の売れ行きも良い様で、そう云う意味でも個人経営の書店は、中国人の日本への関心を引く事に一役買っているかも知れません。
大理古城の海豚阿徳書店も開店4年でとうとう移転。人民路の書店は残り一店舗となりましたが、その店も何れ移転に追い込まれるかも知れません。