●敬和学園大学へ伺う(その2)
新潟県新発田市の北西の端に位置する敬和学園大学に向かう。新潟県の沿岸地域では大抵、市街地を出るとすぐに田園が広がっているのであるが、そんな中で比較的新しい茶系の壁色で4階建ての瀟洒な学び舎が浮島の様に現れる。
2階に案内されると、大学の幹部さん達の会合などで使うと思しき立派な会議室が準備されていた。窓口となっていただいた一戸教授や、座談会企画を取り次いでいただいた伊藤正仁さんに挨拶をしていると、定刻近くになり、学生さん達が集まりだした。一戸教授が座談会の趣旨を踏まえて選んでくれた講義時間の合間で都合のつく5名の学生さんが勢揃いした。
冒頭私から、新発田地域で若い人が働いて住み続けてくれるにはどうしたら良いかという問題意識の下で、新発田地域で学ぶ正に就職を前にした大学生、とくに就職内定を得たタイミングの3,4年生からざっくばらんに話を聴いて、この地域ならではの課題を抽出したいという座談会の趣旨をお話した。
学生の皆さんは、唐突に呼ばれた企画に戸惑っている様子も窺えたが、私なりにざっくばらんな言いぶりで投げかけをしていくと、次第に表情も和らいで本音を話してくれるようになってきた。
国際文化学科4年生の男子Tさんは、そもそもここは本命の大学では無かったと、直に聞かされると同席した大学関係者も少しショックな発言から切り出してくれた。でもそうしたことがバネとなり、更には、田舎ゆえののびのびとした環境の中で、ITスキルに関する各種資格や秘書検定など、「資格と聞くとホイホイ取得した」と実益に繋がる履修ができたようだ。15年程前に新発田地域振興局も関与して立ち上げられた、創作文学公募による新発田地域魅力発見事業である「阿賀北ロマン賞」の実行委員長を担っているという。言葉少なだが幅広い好奇心で何事もコツコツと積み上げる真面目さが滲む彼は、隣県のIT系企業に内定を得たという。新潟県内の出身地に事業所があるので地元に戻れる可能性も勘案してと言ってくれる。それは新発田地域ではないのだけれど、是非とも新潟県内に戻って欲しい。
共生社会学科4年生の女子Mさんは、ゼミで地域のボランティア活動に沢山関っているほか、新潟市のジュニアバンドで楽器演奏を教えるなど活動的で、新潟と新発田地域には愛着が持てているという。しかし、就職内定は札幌のIT企業。私的な活動で訪れて魅了されたことと所得水準などを考えてだという。それでも10年くらいしたら新潟に戻ってこようかとも。スキルが身について経済的に独立できる頃合いを想定しているという。
国際文化学科4年生の女子Tさんは、大学が提供する地域FM「エフエムしばた」の週一30分番組「敬和キャンパスレポ」のMCを務めたり、県内のドキュメンタリー動画制作や、サイバーボランティアを手伝うなど、メディア関連スキルが高い。写真が好きでアルバイトしているがそれでは食べていけないこともあり、都内IT企業に就職を決めたという。興味深いのは彼女もIT関係で独立できる技術が習得できそうな10年くらいを目途にこの地域に戻りたいという。好きな事で新卒者が望む一定水準の収入を得るのは新発田地域では無理だと言う。
コミュニケーション学科4年生の女子Kさんは、小学校教員を目指しているという。自身が幼少時に不登校になったことなどが自分なりの教師になりたいという原動力となっているようだ。地域の児童学習の集いである”寺小屋”や、フードバンクの運営などボランティア活動にも取り組む。教員になれば配属先がどうなるか分からないが、この地域の児童や保護者などと顔の見える関係が培われた彼女が、この地で活躍し続けられるよう考慮される配置はできないものだろうか。
共生社会学科3年生の男子Sさんは、ゼミの活動で、新潟県の小さな離島である粟島浦村の特産品開発に関わっているという。10年程前に敬和学園大学が粟島浦村と結んだ包括連携協定に基づくもので、数年前に野草「アマドコロ」を活用したアイスクリームの商品化に成功し、大学売店で販売するなど本格的。その他にもゼミ関係で、新発田市内農村地域の上三光地区での農福連携プロジェクトに参画しているという。新発田地域でなにか事業ができないかと朧げに考えているというので、こうした実践経験と実行力のある若者を街中から逃したくないものだ。
予定していた一時間はあっという間に過ぎてしまった。ここに書ききれなかった情報や気付きなどの”収穫”は大豊作だったので、後々披露していくことにしたい。
若者から選ばれる地域になるには好きな仕事で生活が成り立つ収入が得られるかどうか…など、所得水準の課題は行政としても耳が痛いところだ。副(複)業も含めた新発田地域で稼げるモデルづくりなど、産業界との意見交換や情報発信内容の工夫が必要と再認識した。
(「新発田地域ふるわせ座談会14・「敬和学園大学へ伺う」(その2)」終わります。「新発田地域ふるわせ座談会15・「新潟食料農業大学で発見」」に続きます。)
2階に案内されると、大学の幹部さん達の会合などで使うと思しき立派な会議室が準備されていた。窓口となっていただいた一戸教授や、座談会企画を取り次いでいただいた伊藤正仁さんに挨拶をしていると、定刻近くになり、学生さん達が集まりだした。一戸教授が座談会の趣旨を踏まえて選んでくれた講義時間の合間で都合のつく5名の学生さんが勢揃いした。
冒頭私から、新発田地域で若い人が働いて住み続けてくれるにはどうしたら良いかという問題意識の下で、新発田地域で学ぶ正に就職を前にした大学生、とくに就職内定を得たタイミングの3,4年生からざっくばらんに話を聴いて、この地域ならではの課題を抽出したいという座談会の趣旨をお話した。
学生の皆さんは、唐突に呼ばれた企画に戸惑っている様子も窺えたが、私なりにざっくばらんな言いぶりで投げかけをしていくと、次第に表情も和らいで本音を話してくれるようになってきた。
国際文化学科4年生の男子Tさんは、そもそもここは本命の大学では無かったと、直に聞かされると同席した大学関係者も少しショックな発言から切り出してくれた。でもそうしたことがバネとなり、更には、田舎ゆえののびのびとした環境の中で、ITスキルに関する各種資格や秘書検定など、「資格と聞くとホイホイ取得した」と実益に繋がる履修ができたようだ。15年程前に新発田地域振興局も関与して立ち上げられた、創作文学公募による新発田地域魅力発見事業である「阿賀北ロマン賞」の実行委員長を担っているという。言葉少なだが幅広い好奇心で何事もコツコツと積み上げる真面目さが滲む彼は、隣県のIT系企業に内定を得たという。新潟県内の出身地に事業所があるので地元に戻れる可能性も勘案してと言ってくれる。それは新発田地域ではないのだけれど、是非とも新潟県内に戻って欲しい。
共生社会学科4年生の女子Mさんは、ゼミで地域のボランティア活動に沢山関っているほか、新潟市のジュニアバンドで楽器演奏を教えるなど活動的で、新潟と新発田地域には愛着が持てているという。しかし、就職内定は札幌のIT企業。私的な活動で訪れて魅了されたことと所得水準などを考えてだという。それでも10年くらいしたら新潟に戻ってこようかとも。スキルが身について経済的に独立できる頃合いを想定しているという。
国際文化学科4年生の女子Tさんは、大学が提供する地域FM「エフエムしばた」の週一30分番組「敬和キャンパスレポ」のMCを務めたり、県内のドキュメンタリー動画制作や、サイバーボランティアを手伝うなど、メディア関連スキルが高い。写真が好きでアルバイトしているがそれでは食べていけないこともあり、都内IT企業に就職を決めたという。興味深いのは彼女もIT関係で独立できる技術が習得できそうな10年くらいを目途にこの地域に戻りたいという。好きな事で新卒者が望む一定水準の収入を得るのは新発田地域では無理だと言う。
コミュニケーション学科4年生の女子Kさんは、小学校教員を目指しているという。自身が幼少時に不登校になったことなどが自分なりの教師になりたいという原動力となっているようだ。地域の児童学習の集いである”寺小屋”や、フードバンクの運営などボランティア活動にも取り組む。教員になれば配属先がどうなるか分からないが、この地域の児童や保護者などと顔の見える関係が培われた彼女が、この地で活躍し続けられるよう考慮される配置はできないものだろうか。
共生社会学科3年生の男子Sさんは、ゼミの活動で、新潟県の小さな離島である粟島浦村の特産品開発に関わっているという。10年程前に敬和学園大学が粟島浦村と結んだ包括連携協定に基づくもので、数年前に野草「アマドコロ」を活用したアイスクリームの商品化に成功し、大学売店で販売するなど本格的。その他にもゼミ関係で、新発田市内農村地域の上三光地区での農福連携プロジェクトに参画しているという。新発田地域でなにか事業ができないかと朧げに考えているというので、こうした実践経験と実行力のある若者を街中から逃したくないものだ。
予定していた一時間はあっという間に過ぎてしまった。ここに書ききれなかった情報や気付きなどの”収穫”は大豊作だったので、後々披露していくことにしたい。
若者から選ばれる地域になるには好きな仕事で生活が成り立つ収入が得られるかどうか…など、所得水準の課題は行政としても耳が痛いところだ。副(複)業も含めた新発田地域で稼げるモデルづくりなど、産業界との意見交換や情報発信内容の工夫が必要と再認識した。
(「新発田地域ふるわせ座談会14・「敬和学園大学へ伺う」(その2)」終わります。「新発田地域ふるわせ座談会15・「新潟食料農業大学で発見」」に続きます。)
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