新潟久紀ブログ版retrospective

新発田地域ふるわせ座談会6・「情報の活用」を検証

●「情報の活用」を検証

 新潟県の県北にある、新発田地域の振興に寄与したいと考えた時、県庁の出先機関としては、道路や河川、農地の整備や農業生産支援といった防災減災や経済のインフラ整備と保健福祉関係のセーフティーネット対応のために、ハードとソフト両面において限られた予算の殆どが投じられており、それらを削って新たに十分な財源を捻出することは難しいのが実情だ。定住や移住の促進、人や経済の流れを集めるための貢献策について、カネで解決を図るのが難しい状況なのだ。
 カネがないなら知恵を出すこと、特にコストを掛けないで、ということになれば、「情報の活かし方」で工夫するしかないとの思考に突き当たるわけだが、知恵と情報の活用により地域の振興にどの程度貢献することができるのだろうか。
 いきなり優れたアイデアなど出るはずの無い凡人の私は、先ずは月並みだけれど、現状はどうなっているかを点検して、自分なりの論点課題を抽出してみようと考えた。
 新発田地域振興局長を令和5年3月末に私に引継いだ前任者は、実は18年ほど前に、当時は新潟県庁屈指の多忙さを極めていた財政課という部署で労苦を共にさせていただき、財政調整員という係長格のポストの引継を受けた馴染みの先輩であり、私は足元にも及ばない優秀な頭脳をお持ちの方であった。
 彼は、自治体における情報発信の重要性や、より閲覧されるためのスキルなどについて相当勉強していたらしく、定年退職に伴う退任を前にした頃には、情報発信マイスターとして、振興局の職員を前にした研修会講師を務め、受講者から高い満足度を得ていたといことを居残っている同僚から聞いた。
 財政課時代も物事や課題について満足できるまで妥協せずに掘り下げていく姿勢が印象深い人だったことが思い出される。自称「省エネ派」で仕事は必要最低限でこなしたい私は当時も今も恥じ入るばかりだ。
 そんな前任者が指揮した新発田地域振興局の情報の活用は、ウエブサイトによる発信がメインであり、「しばた魅力発信」という標榜で、コンテンツごとのタイトル付けや画像などがキャッチーで分かり易く仕立てられていて、各々の内容も、平易で簡潔ながらも分かり易く必要十分な説明となっている。読めば興味や感心が湧いてくるような語り口で、関心を持てばすぐに更なる掘り下げサイトにリンクされているなど、各々のページが極めて考えられた内容であることに感心させられた。
 新発田地域の魅力、すなわち、豊かな自然環境や誘客施設など、主に観光資源の特長をアピールして地域への来訪を誘うために、ウエブにおける検索へのフックしやすさ、目立ちやすさなどに、工夫が凝らされているのだ。
 こうした、観光誘客系の情報発信は、私が局長を担う代になっても維持し、充実させていかなければならないなあと即座に思った。この類は、どの自治体からも、どの地域の観光関係者からも、膨大な情報が日々発信され更新され続けていて、少しでも手を抜いて、その鮮度を落としたりすると、たちまち埋没してしまうからだ。
 一方で、前任の踏襲だけでよいのかとも考えてみる。着任以来、出来の悪い私の頭を悩まし続けている「私なりの地域振興」について、「この地域に居続けてもらったり恒常的に活動してくれる若い人が増えて社会的にも経済的にも地域の勢いが増すこと」と考えた時に、一時的に気に留めて観光目的で来訪し、地域の魅力を消費して離れていく人が増えるだけというのは違うのではないか、と考えるのだ。
 私が尊敬する優秀な前任者も、そんな短期的で上辺の利益だけを狙って情報発信を展開していたのではなく、ゆくゆくの定住移住につなげたいという戦略が当然にあったのだと思う。それでも私は、地域の人口減少というのが社会経済システムを維持できなくくらいに深刻化していると認識する中で、もはや婉曲的ではいられないのだ。
 そうした目線で敢えて、より良い情報活用を考えるために、新発田地域振興局のウエブで掲載されてきた情報を、全国的に自治体が同様な取組みをしている渦中にあることも含めて、少し厳しめに見つめなおすとどうだろうか。

(「新発田地域ふるわせ座談会6・「情報の活用」を検証」終わります。「新発田地域ふるわせ座談会7・「情報の発信から通じ合いへ」」に続きます。)
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