ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

中学以来のマリーにご対面、「幸福」それとも「不幸福」

2008年06月24日 | アフター・アワーズ
 月刊誌の『創』が日本映画を特集している。活況を呈している日本映画はほんものなのかというのが大テーマ。結論から言えば、シネコンとTV局なしに、今日の日本映画は成り立たないが、その状況に皆が危機感を抱きながらも、集客や興収のことを考えるとやむなしというジレンマに陥っているのが現状、これといってよい解決策はなし、というところだろうか。見たくもない映画ばかりが映画館を席巻しているのだから、とりあえずDVDで我慢するしかないか。

 そのTV局が制作した「HERO」をWOWWOWでやっていた。巨悪と闘うはみ出し検事もので、キムタク主演のTVドラマの拡大劇場版。登場人物が、石橋蓮司、岸部一徳(どちらも法曹にはみえないけど)ほか数名を除いて全て映画的ではない、の一言につきる。これはスクリーンで観るTVドラマの拡大版だ。一般的にTVドラマは、人気タレントの顔をしっかり見せるバストショットやクローズアップでつながっていることが多いが、ワイドスクリーンで見せる劇場版だけに、クレーン、パン、ドリーとそれなりに映画の教科書的なカメラワークを使ったりもしているので、人の顔だらけのTVドラマより耐えられるが、やはり映画ではない(ビールではない発泡酒みたいなもんだな。またこの話題!?)。観客に考える余地をあたえない速いテンポの展開、カット数の多さも、昨今のハリウッド映画にならったのだろうが、そんなところだけマネするなといいたい。雨の休日でもなければ、見なかったと思うが、日本映画の現状の一端を見ました。

 そんな日に、アニエス・ヴァルダ監督「幸福」をBSで放映していたので見た。この映画は、中学2年のとき、田舎の映画館で「サウンド・オブ・ミュージック」の併映で見たのだが、この2作を2本立てにする映画館のセンスのすごさは、置いておくとして、田舎の中2の少年には美しいピクニックシーン以上に、夫婦愛や不倫愛のシーン(ときどきバストが見えるくらいで抱きあう、ソフトなものだが)は強烈だった。マリー・フランス・ボワイエの乳首がしばらく目に焼きついていたっけ。さらに不倫の告白の果てに妻が自殺し、その後何もなかったように不倫相手と一緒になった男女が先妻の子どもと一緒に幸せそうに秋の森の中に消えていくラストシーンも印象的だった。

 この映画の監督が女性だとか、ルノワールの「ピクニック」へのオマージュ(?)だとか、は大分後に知ることになるが、大人向けのフランス映画を劇場で観たのは、たぶん「シェルブールの雨傘」か、これが初めてだったはず。それ以前に見た「赤い風船」は子供向けとして見たし、「ブーベの恋人」はフランス映画だと思っていたけれどイタリア映画だし。中学以来のご対面のマリー・フランス・ボワイエは、やっぱり素敵だった。
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