ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

ポンコツ

2023年05月31日 | 俳句

ポンコツ

 

少しづつポンコツになる古希の春 

春の雪匙に崩るる角砂糖

永き日や革のソファのひび割れて

藪椿落つる準備をしてゐたる

寄せ合うて山茱萸の花戦ぎ出し

身をこそぐうちに冷めたる蜆汁

春の夢エンドマークが出て終はる

 

冴返るとりわけ東京タワーなら

おはようと春帽浮かせ古希の人

先生の声あたたかし夢に居て

薄氷が閉じ込めてゐる光かな

花器もなく庭の椿を手折りては

飯碗の濯ぎに残す花菜漬

春の夜の仏間に一人寝てゐたる

(「篠」204号より/2023年)

 

 

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日向ぼこ

2023年05月31日 | 俳句

日向ぼこ

 

冬眠の寝息をまたぐ軍靴かな

地球儀へ水ッ洟落つリトアニア

思ひ出すやうにたばしる霰かな

地獄絵の鬼の貌してゐる魴鮄

冬天や脚の短き馬引かる

福耳のピアスの穴や霜焼けて

盛り塩を変へて笹鳴く裏鬼門

 

村の名にゼウス秘す里冬日燦

手に馴染む菜切包丁かぶら汁

こんな顔のまんま死にたき日向ぼこ

しみじみと燗酒通る胃の腑かな

ジャン・ギャバン真似てコートの襟たてり

裸木となりて素性は分かりかね

指先を舐る冬薔薇刺したれば

(「篠」203号/2022年)

 

 

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紙の月

2023年05月31日 | 俳句

紙の月

 

玻璃の戸に影を踊らせ秋の水

朝刊のことんと届き新豆腐

鳩吹くや水音低き峡に風

行き合ひの空や風鐸動かざる

琅玕の闇のはずれを秋灯

昆虫の貌してむくろ法師蟬 

鷹揚に行きも帰りも茄子の馬

 

片影を教会の影突き出して

あをあをと海もえ残る凌霄花

アスファルトの雨粒黒き敗戦日

ひぐらしや露人ミハエル眠る墓地

村芝居神楽殿には紙の月

母の歌ふ黒人霊歌ダリア咲く

秋扇いちいち指図したる手に

 

(「篠」202号より/2022年)

 

 

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ジョニー・マーサーの曲がたっぷり聞けるイーストウッドの快作「真夜中のサバナ」

2023年05月31日 | 映画

今日はクリント・イーストウッドの93歳の誕生日。そんなわけで、イーストウッド監督作品で最も人気のなかったとも、失敗作とも言われるのですが、僕の大好きな映画の一つである「真夜中のサバナ」を。

イーストウッド監督作品としては20作目、あの「マディソン郡の橋」の後の作品で、本人が出演していないのは「バード」以来。そんなことより、舞台になっているジョージア州サバナは、作詞・作曲家として知られるジョニー・マーサーの生誕地。実際この映画でもマーサー邸が舞台になっているのですが、とにかくマーサーの曲がたっぷり聴けるというのが魅力。イーストウッドはマーサーのドキュメンタリーも作っているくらいで、この映画もマーサー愛に溢れたフィルムです。

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砂漠の民

2023年05月12日 | 俳句

砂漠の民     

 

咲き急ぐ桜を笑ふ鳩時計

 

春帽子投ぐ名画座の空席へ

 

島影の百重なしたる卯波かな

 

「民族の祭典」冷房効きすぎる

 

桑の実やくに境まで橋二本

 

手に馴染む石を拾うて夏の川

 

まぐはひも人の手を借る蚕蛾かな

 

橋裏を仰ぐ白雨の過ぐるま

 

にんげんの声に驚く山の秋

 

仏具屋の夜寒を金のほとけさま

 

月天心裸身を反らすボレロかな

 

すめろぎはそこに御座すや浮寝鳥

 

月蝕はラルゴのやうに神の留守

 

憂国忌さくら餡ぱんはんぶんこ

 

青纏ふ砂漠の民や寒昴

(「俳句大学」7号 2022年掲載)

 

 

 

青き踏む

 

 

春帽子祈りの時は胸にあて

 

青き踏む風にいちまい鳩の羽

 

おろしやの火酒割りたる雪解水

 

あしあとは裏の森より木の根明く

 

蹼に淡き血の脈水温む      ※蹼:みづかき

 

コンセントに生かされてゐる熱帯魚

 

片影を教会の影突き出して

 

ひぐらしや露人ミハエル眠る墓地

 

琅玕の闇のはずれを秋灯

 

昆虫の貌してむくろ法師蟬 

 

御射鹿池の深き縹(はなだ)や緋衣草    ※縹:はなだ

 

いとど鳴く切腹最中腹いつぱい

 

二度聞いてまた聞き返す夜長かな

 

不器用な男とあたる焚火かな

(俳句大学8号掲載 2023年3月)

 

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