それからしばらくして、女医さんは外来患者を診察してました。と、突然診療所が大きく揺れました。
「なんだなんだ? 地震か?」
女医さんが外に出ると、怪獣が上空を旋回してました。あの女が怪獣に変身したのです。怪獣は女医さんを見てつぶやきました。
「ありがとう」
女医さんもつぶやきました。
「せっかく助けたんだ。死ぬなよ」
一方こちらは大病院の病室の女神隊員。女神隊員は今テレストリアルガードの隊員服を着てます。頭にはフルフェイスのヘルメットがあります。実はたった今医師から退院許可が出たのです。だからとってもうきうきわくわくしてるのです。と、突然備え付けの固定電話が鳴りました。女神隊員は慌ててその電話に出ました。
「はい、もしもし・・・ ええ?」
ここはテレストリアルガードサブオペレーションルームです。橋本隊員が固定電話に出ています。
「悪いが迎えに行けなくなった。例の怪獣がまた出たんだ」
「どこに出たんですか?」
「言えないな。あんた、テレポーテーションで来るだろ」
女神隊員は心の中で「ちぇっ」と言いました。
橋本隊員が電話を切りました。そして後ろに並んでいる倉見隊員・寒川隊員・上溝隊員に命令です。
「よし、お前ら、行くぞ!」
「はい!」
テレストリアルガードの格納庫の前の滑走路。今ストーク号とヘロン号が垂直に浮上しました。ストーク号のコックピットには寒川隊員と上溝隊員、ヘロン号には橋本隊員と倉見隊員が座ってます。今日は隊長がまだ入院中なので、倉見隊員が隊長のシートに座ってます。ストーク号はジェイダム爆弾とバンカーバスターを満載してます。ヘロン号は機動性を優先していつもは4割くらいしかミサイルを積んでないのですが、こちらもミサイルを満載してます。
ヘロン号のコックピットに座ってる、シールドとマスクをしている橋本隊員が命令です。
「よーし、ジャンプ!」
「了解!」
ストーク号とヘロン号がふっと消えました。
一方女神隊員ですが、病室でヘルメットをかぶったまま、ノートパソコンであの掲示板を見ています。
「今怪獣が通り過ぎて言った」
「すごい風圧だったよ@佐川市」
女神隊員はそれを読んで、
「佐川市?」
女神隊員は今度はノートパソコンで地図を広げました。
「佐川市はここかあ・・・」
実は女神隊員は以前脳震とうを起こしたとき、それからしばらくはテレポーテーションができなくなったことがありました。正確にはテレポーテーション自体はできたのですが、テレポーテーションの先でひどい頭痛に襲われたのです。今佐川市にテレポーテーションしたら、またあの頭痛に襲われるかも・・・ 女神隊員は熟考し、とりあえず1回だけ試してみることにしました。
女神隊員は覚悟を決めると、部屋の隅にかけてある千羽鶴を見ました。実はあの日以降も千羽鶴は届けられてました。しかも日を追うごとに千羽鶴は増えて行き、いまや3千羽となってました。全部小学生が折った鶴です。女神隊員はその千羽鶴に話しかけました。
「行ってくるね」
女神隊員の姿は、ふっと消えました。
ここは街道です。歩道に黒い渦巻きが発生し、女神隊員が現れました。が、そのとたん、女神隊員は頭を、いや、ヘルメットを抱え、うずくまってしまいました。思った以上の頭痛が襲ってきたのです。
「いたたた~ やるんじゃなかった・・・」
しかも、狙ったところとはちょっと違うところにテレポーテーションしてしまったようです。
そこに1台のバイクが停まりました。750ccのバイクです。女神隊員のフルフェイスのヘルメットとテレストリアルガードの隊員服は、ある意味ライダーの姿です。傍らに停まったライダーは、別のライダーが事故を起こしたと勘違いしたようです。ライダーはバイクを降り、女神隊員に駆け寄りました。
「お、おい、大丈夫か?」
「あはは、ごめん」
女神隊員は自分のヘルメットの首筋に手をかけました。そしてヘルメットを脱ぎました。すると女神隊員の単眼があらわになりました。それを見てライダーは腰を抜かしてしまいました。
「う、うわ~っ! 一つ眼小僧!」
女神隊員は急いでヘルメットをかぶり直すと、バイクにまたがりました。
「ごめんね」
「ちょ、ちょっと待って!」
バイクは走り出しました。ライダーは腰を抜かしたままです。バイクに乗った女神隊員は、走りながら鼻唄を唄ってます。
「ぬ~すんだバイクで走りだす~」
はてしなく続く森林の上を怪獣が飛行してます。その後ろを航空自衛隊のF2戦闘機が7機追ってます。さらにその後ろにはテレストリアルガードのストーク号とヘロン号が並んで飛んでます。ヘロン号のコックピット。シールドとマスクをしている橋本隊員。
「ふっ、宇宙人が相手だとうちらが優先だが、怪獣が相手だと真っ先に現場についた方が優先か」
それに倉見隊員が応えました。
「ここは自衛隊の腕前を拝見しますか」
怪獣の眼から見た光景。森林がはてしなく続いてます。遠くにダム湖が見えてきました。その湖を越えて行きます。怪獣はここでつぶやきました。
「ここまでくれば、もう人間はいないな」
山肌が剥き出しになってる山が見えてきました。怪獣はこの山に着地する気のようです。ブレーキをかけるように翼を大きく広げ、怪獣は山に着陸しました。怪獣が見上げると、7機のF2戦闘機が迫ってきます。怪獣はつぶやきました。
「久しぶりにこの魔法使うけど、ちゃんと使えるかな?」
F2戦闘機が一斉にミサイルを発射。それが怪獣に向かって飛んできます。
「はーっ!」
怪獣が気合を入れると、怪獣が半透明なドームのようなものに包まれました。ミサイルが次々とその半透明なものに着弾していきます。ものすごい爆炎が上がりました。が、爆煙が収まると、半透明なドームは何も変化してません。F2戦闘機のパイロットはびっくりしてます。
「き、効いてない?・・・ もう1回攻撃するぞ!」
再びF2戦闘機が一斉にミサイルを放ちました。それがすべて半透明なものに当たりますが、やはり何も変化しません。ドームの中では怪獣が眼を不気味に光らせ、悠然と構えています。怪獣は遠くに浮いているストーク号とヘロン号を見ていました。
「あいつらは女神の仲間。あいつらを攻撃すれば、きっと女神は現れるはず!」
ヘロン号のコックピット、橋本隊員がつぶやきました。
「怪獣のやつ、ぜんぜん反撃しないな。やられっぱなしじゃないか」
それに倉見隊員が応えました。
「でも、ぜんぜん効いてませんねぇ」
F2戦闘機の一方的な攻撃がまだ続いてます。と、そのパイロットの1人が無線で発言しました。
「残弾少なくなってきました」
それに別のF2戦闘機のパイロットが応えました。
「仕方がないな。一度離脱しよう」
そのパイロットは横目でストーク号とヘロン号を見て、
「ちょっとの間、やつらに任せてみるか」
F2戦闘機7機が一斉に帰路につきました。ヘロン号の倉見隊員はそれを見て、
「自衛隊はお帰りか」
それに橋本隊員が応えました。
「じゃ、始めるか!」
ストーク号とヘロン号のジェットエンジンに火がつき、怪獣に向かって飛び始めました。怪獣はそれを見てつぶやきました。
「ふふ、きたか!」
怪獣はドーム型バリアを解除し、羽ばたきました。そしてそのまま浮上し、ストーク号とヘロン号に突っ込んで行きます。
「いくよーっ!」
橋本隊員が命令です。
「ミサイル発射!」
それに倉見隊員と上溝隊員が応えました。
「了解!」
ストーク号とヘロン号が同時にミサイル発射。怪獣はそれを見て、
「甘い!」
怪獣が火焔を吐き、それらのミサイルをすべて破壊。さらにその火焔はストーク号とヘロン号を襲います。ストーク号とヘロン号は左右に分かれてこの火焔を回避。橋本隊員は横目で怪獣を見ました。
「まともにミサイルを撃つと、撃ち落とされるか・・・ 考えないといけないな・・・」
一方怪獣は目でヘロン号を追います。
「ふふ、ここにはあの密林のような高い建物はないぞ!」
怪獣はヘロン号に火焔を吐きました。ヘロン号はきりもみ回転でこの火焔を避けます。橋本隊員が発言しました。
「くそーっ! 遮蔽物がないところで火焔を吐かれると、逃げるのが大変だ・・・」
ストーク号がミサイルを4発発射。怪獣は振り向きざま火焔を吐き、そのミサイルを破壊。さらに火焔が伸びてきてストーク号を襲います。寒川隊員が焦ります。
「うわっ!」
ストーク号はぎりぎり火焔を避けました。それを見て倉見隊員は一安心。
「ふーっ!」
橋本隊員が無線で命令です。
「ストーク号じゃ大き過ぎて勝負にならないな。お前ら、下がってろ!」
それにストーク号の寒川隊員が応えました。
「了解」
寒川隊員はつぶやきました。
「あ~ 悔しいなあ・・・」
上溝隊員はそれに応えました。
「仕方がないわね」
ストーク号は旋回して転進しました。
この現場からちょっと離れた湖畔のアスファルト舗装路を1台のバイクが走ってます。ライダーは女神隊員です。女神隊員はテレストリアルガードと怪獣の交戦を見てつぶやきました。
「ふふ、始まってる、始まってる・・・」
「なんだなんだ? 地震か?」
女医さんが外に出ると、怪獣が上空を旋回してました。あの女が怪獣に変身したのです。怪獣は女医さんを見てつぶやきました。
「ありがとう」
女医さんもつぶやきました。
「せっかく助けたんだ。死ぬなよ」
一方こちらは大病院の病室の女神隊員。女神隊員は今テレストリアルガードの隊員服を着てます。頭にはフルフェイスのヘルメットがあります。実はたった今医師から退院許可が出たのです。だからとってもうきうきわくわくしてるのです。と、突然備え付けの固定電話が鳴りました。女神隊員は慌ててその電話に出ました。
「はい、もしもし・・・ ええ?」
ここはテレストリアルガードサブオペレーションルームです。橋本隊員が固定電話に出ています。
「悪いが迎えに行けなくなった。例の怪獣がまた出たんだ」
「どこに出たんですか?」
「言えないな。あんた、テレポーテーションで来るだろ」
女神隊員は心の中で「ちぇっ」と言いました。
橋本隊員が電話を切りました。そして後ろに並んでいる倉見隊員・寒川隊員・上溝隊員に命令です。
「よし、お前ら、行くぞ!」
「はい!」
テレストリアルガードの格納庫の前の滑走路。今ストーク号とヘロン号が垂直に浮上しました。ストーク号のコックピットには寒川隊員と上溝隊員、ヘロン号には橋本隊員と倉見隊員が座ってます。今日は隊長がまだ入院中なので、倉見隊員が隊長のシートに座ってます。ストーク号はジェイダム爆弾とバンカーバスターを満載してます。ヘロン号は機動性を優先していつもは4割くらいしかミサイルを積んでないのですが、こちらもミサイルを満載してます。
ヘロン号のコックピットに座ってる、シールドとマスクをしている橋本隊員が命令です。
「よーし、ジャンプ!」
「了解!」
ストーク号とヘロン号がふっと消えました。
一方女神隊員ですが、病室でヘルメットをかぶったまま、ノートパソコンであの掲示板を見ています。
「今怪獣が通り過ぎて言った」
「すごい風圧だったよ@佐川市」
女神隊員はそれを読んで、
「佐川市?」
女神隊員は今度はノートパソコンで地図を広げました。
「佐川市はここかあ・・・」
実は女神隊員は以前脳震とうを起こしたとき、それからしばらくはテレポーテーションができなくなったことがありました。正確にはテレポーテーション自体はできたのですが、テレポーテーションの先でひどい頭痛に襲われたのです。今佐川市にテレポーテーションしたら、またあの頭痛に襲われるかも・・・ 女神隊員は熟考し、とりあえず1回だけ試してみることにしました。
女神隊員は覚悟を決めると、部屋の隅にかけてある千羽鶴を見ました。実はあの日以降も千羽鶴は届けられてました。しかも日を追うごとに千羽鶴は増えて行き、いまや3千羽となってました。全部小学生が折った鶴です。女神隊員はその千羽鶴に話しかけました。
「行ってくるね」
女神隊員の姿は、ふっと消えました。
ここは街道です。歩道に黒い渦巻きが発生し、女神隊員が現れました。が、そのとたん、女神隊員は頭を、いや、ヘルメットを抱え、うずくまってしまいました。思った以上の頭痛が襲ってきたのです。
「いたたた~ やるんじゃなかった・・・」
しかも、狙ったところとはちょっと違うところにテレポーテーションしてしまったようです。
そこに1台のバイクが停まりました。750ccのバイクです。女神隊員のフルフェイスのヘルメットとテレストリアルガードの隊員服は、ある意味ライダーの姿です。傍らに停まったライダーは、別のライダーが事故を起こしたと勘違いしたようです。ライダーはバイクを降り、女神隊員に駆け寄りました。
「お、おい、大丈夫か?」
「あはは、ごめん」
女神隊員は自分のヘルメットの首筋に手をかけました。そしてヘルメットを脱ぎました。すると女神隊員の単眼があらわになりました。それを見てライダーは腰を抜かしてしまいました。
「う、うわ~っ! 一つ眼小僧!」
女神隊員は急いでヘルメットをかぶり直すと、バイクにまたがりました。
「ごめんね」
「ちょ、ちょっと待って!」
バイクは走り出しました。ライダーは腰を抜かしたままです。バイクに乗った女神隊員は、走りながら鼻唄を唄ってます。
「ぬ~すんだバイクで走りだす~」
はてしなく続く森林の上を怪獣が飛行してます。その後ろを航空自衛隊のF2戦闘機が7機追ってます。さらにその後ろにはテレストリアルガードのストーク号とヘロン号が並んで飛んでます。ヘロン号のコックピット。シールドとマスクをしている橋本隊員。
「ふっ、宇宙人が相手だとうちらが優先だが、怪獣が相手だと真っ先に現場についた方が優先か」
それに倉見隊員が応えました。
「ここは自衛隊の腕前を拝見しますか」
怪獣の眼から見た光景。森林がはてしなく続いてます。遠くにダム湖が見えてきました。その湖を越えて行きます。怪獣はここでつぶやきました。
「ここまでくれば、もう人間はいないな」
山肌が剥き出しになってる山が見えてきました。怪獣はこの山に着地する気のようです。ブレーキをかけるように翼を大きく広げ、怪獣は山に着陸しました。怪獣が見上げると、7機のF2戦闘機が迫ってきます。怪獣はつぶやきました。
「久しぶりにこの魔法使うけど、ちゃんと使えるかな?」
F2戦闘機が一斉にミサイルを発射。それが怪獣に向かって飛んできます。
「はーっ!」
怪獣が気合を入れると、怪獣が半透明なドームのようなものに包まれました。ミサイルが次々とその半透明なものに着弾していきます。ものすごい爆炎が上がりました。が、爆煙が収まると、半透明なドームは何も変化してません。F2戦闘機のパイロットはびっくりしてます。
「き、効いてない?・・・ もう1回攻撃するぞ!」
再びF2戦闘機が一斉にミサイルを放ちました。それがすべて半透明なものに当たりますが、やはり何も変化しません。ドームの中では怪獣が眼を不気味に光らせ、悠然と構えています。怪獣は遠くに浮いているストーク号とヘロン号を見ていました。
「あいつらは女神の仲間。あいつらを攻撃すれば、きっと女神は現れるはず!」
ヘロン号のコックピット、橋本隊員がつぶやきました。
「怪獣のやつ、ぜんぜん反撃しないな。やられっぱなしじゃないか」
それに倉見隊員が応えました。
「でも、ぜんぜん効いてませんねぇ」
F2戦闘機の一方的な攻撃がまだ続いてます。と、そのパイロットの1人が無線で発言しました。
「残弾少なくなってきました」
それに別のF2戦闘機のパイロットが応えました。
「仕方がないな。一度離脱しよう」
そのパイロットは横目でストーク号とヘロン号を見て、
「ちょっとの間、やつらに任せてみるか」
F2戦闘機7機が一斉に帰路につきました。ヘロン号の倉見隊員はそれを見て、
「自衛隊はお帰りか」
それに橋本隊員が応えました。
「じゃ、始めるか!」
ストーク号とヘロン号のジェットエンジンに火がつき、怪獣に向かって飛び始めました。怪獣はそれを見てつぶやきました。
「ふふ、きたか!」
怪獣はドーム型バリアを解除し、羽ばたきました。そしてそのまま浮上し、ストーク号とヘロン号に突っ込んで行きます。
「いくよーっ!」
橋本隊員が命令です。
「ミサイル発射!」
それに倉見隊員と上溝隊員が応えました。
「了解!」
ストーク号とヘロン号が同時にミサイル発射。怪獣はそれを見て、
「甘い!」
怪獣が火焔を吐き、それらのミサイルをすべて破壊。さらにその火焔はストーク号とヘロン号を襲います。ストーク号とヘロン号は左右に分かれてこの火焔を回避。橋本隊員は横目で怪獣を見ました。
「まともにミサイルを撃つと、撃ち落とされるか・・・ 考えないといけないな・・・」
一方怪獣は目でヘロン号を追います。
「ふふ、ここにはあの密林のような高い建物はないぞ!」
怪獣はヘロン号に火焔を吐きました。ヘロン号はきりもみ回転でこの火焔を避けます。橋本隊員が発言しました。
「くそーっ! 遮蔽物がないところで火焔を吐かれると、逃げるのが大変だ・・・」
ストーク号がミサイルを4発発射。怪獣は振り向きざま火焔を吐き、そのミサイルを破壊。さらに火焔が伸びてきてストーク号を襲います。寒川隊員が焦ります。
「うわっ!」
ストーク号はぎりぎり火焔を避けました。それを見て倉見隊員は一安心。
「ふーっ!」
橋本隊員が無線で命令です。
「ストーク号じゃ大き過ぎて勝負にならないな。お前ら、下がってろ!」
それにストーク号の寒川隊員が応えました。
「了解」
寒川隊員はつぶやきました。
「あ~ 悔しいなあ・・・」
上溝隊員はそれに応えました。
「仕方がないわね」
ストーク号は旋回して転進しました。
この現場からちょっと離れた湖畔のアスファルト舗装路を1台のバイクが走ってます。ライダーは女神隊員です。女神隊員はテレストリアルガードと怪獣の交戦を見てつぶやきました。
「ふふ、始まってる、始まってる・・・」