のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

オランダ正月

2006-01-04 | 展覧会
3日も自転車に乗らずにいると、自分が自分でないような気がいたします。
というわけで、愛車(中古)を駆って大山崎山荘美術館へ行って参りました。片道1時間半、まずまずの運動となりました。
かの美術館では、「長崎オランダ正月展」を開催中。(2/12まで)展示品は多くはないものの、内容は結構なものでございました。

オランダ正月。
江戸時代、出島に住むオランダ人たちは、彼らの暦である太陽暦の一月一日に新年のお祝いをしました。このお祝い行事が「オランダ正月」。キリシタン禁令下の日本でクリスマスを祝うためのカムフラージュでもあったとか。出島に出入りする役人も招いた、豪華な宴だったようです。当時から有名な行事で、宴席の様子を描いた図版や献立も残っています。
献立の詳細はこちらへ。→第2回 オランダ料理編

さて展示品ですが
まず羊皮紙に書かれたグレゴリオ聖歌の楽譜。
のろはこんなに大きい羊皮紙を初めて見ました。目測、60×80センチくらいかと。
17世紀スペインの修道院で使われていたもので、音符と詩が、鵞ペン(おそらく)で丁寧に書かれております。のろは文字の歴史については知識がございませんが、ひるがえるリボンのように軽やかな雰囲気の書体。文字それ自体が美しうございました。飾り文字の丹念な文様や、シュルシュルと渦巻く細い装飾線も美しい。
そしてその隣には「ドイツ 髭徳利」とのみキャプションのつけられた、面白い物体が。

ううむ のろ好みです。

スペインやイタリアの絵付き大鉢も展示されておりまして。楽しい柄と迷いの無い線に、職人の技と遊び心を見る思い。ハンガリーの王・王妃文様鉢など、王様をこんなに可愛らしくデフォルメしていいんかい と びっくりいたしました。しかし年代の表示が無いのは残念。

宴席の図やカピタンの肖像は、単に異国のもの、好奇の対象という描き方ではなく、人としてうつくしく描かれているという印象を受けました。

1728年刊 ケンペルの『日本誌』英語版
不思議だったのは、小文字の s に、f のような形の活字が使われていたことです。
「fociety 」「thefe」「fmall」などなど。
かと思えば時折 s が使われていたり。無学なのろはハテと首をかしげるばかりでした。

新館ではユトリロ、シャガール、ヴラマンクによる冬景色が展示されています。三者三様なり。
おなじみのモネの前には木目の美しい、ユニークな形の椅子が2脚、座ってもらいたそうな顔をして待っています。座ってあげましょう。
そして、ここを訪れたことのある方ならお分かりでしょう、新館の真ん中に、白い壁に囲まれた素晴らしい空間がございますね。
ここではルオーの『キリストの顔』が 静かに 輝きを 発しています。

帰りは
道に迷いました。案の定。
この美術館へ来るのはこれで4度目ですが、まともに帰れたためしがありません。
いや、そもそも
きっと迷うだろうなあ と思いながらも脇道に入らずにはいられない という自らの性質を改めるべきではないのかね、のろよ。