本日は クラウス・スパーバーの誕生日です。
1944年 ドイツアルプス地方の小さな町に生まれた彼は
父親を第二次大戦で亡くし 母親の手で育てられました。
母親は音楽好きで 家にはレコードプレイヤーがあり
幼いスパーバーは クラシックのレコードをかけては 曲に合わせて歌いました。
地元でオペラが上演される時には 子役エキストラとして舞台に上がり
クラシック音楽と舞台芸術に親しみながら 成長しました。
12歳の時 エルヴィス・プレスリーに夢中になり
ロック嫌いの母親からお金をくすねて レコードを購入。
しかし 地下室に隠しておいたレコードは あっさり母親に見つかり
そんなものよりこれを聴きなさい と 代わりにマリア・カラスのレコードを渡されます。
この日から エルヴィスと同じくらい マリア・カラスにも惚れ込んでしまった スパーバー少年
ある時 念願かなって 彼女の舞台を間近に見る機会を得ます。
(後年、この時のことを振り返って「一瞬、彼女と目が合ったんだよ!」と主張しています。はいはい。)
その翌日から 声楽のレッスンを受け始め
長じては ベルリンの音楽大学に通うようになります。
音大に通いながら 歌劇場の案内係として働く 田舎出の学生スパーバー。
掃除をしながらも 歌いまくり ソプラノの裏声を使って
マリア・カラスの歌真似をして 同僚を楽しませたりしつつ
オペラ歌手になることを夢見ますが 歌手としての働き口は 見つからず
バーで歌って何年か過ごしたのち N.Y. へ 渡ります。
1970年代のイースト・ヴィレッジに 貧乏アーティストの一人として居を構え
アルバイトや 菓子職人として 生計を立てつつ
パフォーマーとしての道を模索します。
(本人は体質的に砂糖を受け付けなかったらしいのですが、お菓子を作って人に振る舞うのは大好きだったようです。
彼の作るパイはとてもおいしくて、腹をすかせたアーティスト仲間のあいだで通貨のようにやりとりされました。)
ある夜
ニューウェーヴのパフォーマーたちが集う ショーでのこと
髪を三方に逆立て
白塗りの顔に 黒いルージュをひき
歌舞伎役者のくまどりのような メイクをほどこし
B級映画の宇宙人のような チープな衣装をまとった
奇妙な人物が 舞台に立ちました。
彼が歌い始めると
観客も パフォーマーたちも
息を呑み 唖然として その場に固まりました。
クラウス・ノミ と名乗る その奇妙な人物が 黒い唇から発したのは
ちぐはぐな容貌からは想像もつかぬ 澄んだソプラノの歌声と
美しい オペラのアリアの一節だったからです。
この夜から
1983年 当時は謎の奇病とされていたエイズで 生涯を閉じるまで
彼は クラウス・ノミ として生き続け
二度と クラウス・スパーバー に 戻ることはありませんでした。
誕生日おめでとう、クラウス・ノミ。
Picture Copyright:2004CV Films|CAMEO Film|ZDF/Arte
1944年 ドイツアルプス地方の小さな町に生まれた彼は
父親を第二次大戦で亡くし 母親の手で育てられました。
母親は音楽好きで 家にはレコードプレイヤーがあり
幼いスパーバーは クラシックのレコードをかけては 曲に合わせて歌いました。
地元でオペラが上演される時には 子役エキストラとして舞台に上がり
クラシック音楽と舞台芸術に親しみながら 成長しました。
12歳の時 エルヴィス・プレスリーに夢中になり
ロック嫌いの母親からお金をくすねて レコードを購入。
しかし 地下室に隠しておいたレコードは あっさり母親に見つかり
そんなものよりこれを聴きなさい と 代わりにマリア・カラスのレコードを渡されます。
この日から エルヴィスと同じくらい マリア・カラスにも惚れ込んでしまった スパーバー少年
ある時 念願かなって 彼女の舞台を間近に見る機会を得ます。
(後年、この時のことを振り返って「一瞬、彼女と目が合ったんだよ!」と主張しています。はいはい。)
その翌日から 声楽のレッスンを受け始め
長じては ベルリンの音楽大学に通うようになります。
音大に通いながら 歌劇場の案内係として働く 田舎出の学生スパーバー。
掃除をしながらも 歌いまくり ソプラノの裏声を使って
マリア・カラスの歌真似をして 同僚を楽しませたりしつつ
オペラ歌手になることを夢見ますが 歌手としての働き口は 見つからず
バーで歌って何年か過ごしたのち N.Y. へ 渡ります。
1970年代のイースト・ヴィレッジに 貧乏アーティストの一人として居を構え
アルバイトや 菓子職人として 生計を立てつつ
パフォーマーとしての道を模索します。
(本人は体質的に砂糖を受け付けなかったらしいのですが、お菓子を作って人に振る舞うのは大好きだったようです。
彼の作るパイはとてもおいしくて、腹をすかせたアーティスト仲間のあいだで通貨のようにやりとりされました。)
ある夜
ニューウェーヴのパフォーマーたちが集う ショーでのこと
髪を三方に逆立て
白塗りの顔に 黒いルージュをひき
歌舞伎役者のくまどりのような メイクをほどこし
B級映画の宇宙人のような チープな衣装をまとった
奇妙な人物が 舞台に立ちました。
彼が歌い始めると
観客も パフォーマーたちも
息を呑み 唖然として その場に固まりました。
クラウス・ノミ と名乗る その奇妙な人物が 黒い唇から発したのは
ちぐはぐな容貌からは想像もつかぬ 澄んだソプラノの歌声と
美しい オペラのアリアの一節だったからです。
この夜から
1983年 当時は謎の奇病とされていたエイズで 生涯を閉じるまで
彼は クラウス・ノミ として生き続け
二度と クラウス・スパーバー に 戻ることはありませんでした。
誕生日おめでとう、クラウス・ノミ。
Picture Copyright:2004CV Films|CAMEO Film|ZDF/Arte