のろの家のTVは通常プラグが抜かれた状態になっております。
おおむね一週間に一度、一時間ほどの間しかスイッチを入れないからです。
それで何を見るかのと申しますと
『日曜美術館』です。今は頭に「新」が付きますね。
と いうわけで京都府京都文化博物館 『日曜美術館30年展』 へ行ってまいりました。
こんな褒め方もナンでございますが、期待以上によろしうございました。
「30年で紹介した番組の中から、特に印象深い作家・作品を取り上げて・・・」
と言ったって、まさか『最後の晩餐』や『アルノルフィーニ夫妻の肖像』をポンと借りて来るわけにはまいりませんから
いきおい、展示されている作品は日本国内に所蔵されているものが主でございます。
主、というか、全てそうだったかもしれません。
そしてほとんどが近現代の日本人アーティストの作品でございます。
こんな具合にちと片寄りはあるものの、
「選りすぐり」といううたい文句に恥じない、名品ぞろいでございました。
素晴らしい作品に出会うと、心臓がぐっ とそちらに引き寄せられるような心地がするものですが
本展では何度もこの感覚に見舞われましたよ。
そしてここが「日曜美術館」ならでは なんでございますが
会場の所々に、ちょっとした椅子&TVスペースが設けられておりまして
展示作品が番組で紹介された際の映像を見ることができるのです。
それぞれ、要所を押さえて10分ぐらいにまとめられておりますが
さっさか先へ進みたいというイラチなお方は、作品横の解説パネルをお読みんなるだけでも、まあよろしうございましょう。
こちらにも、番組でのゲストや作家自身の言葉や、彼らにまつわるエピソードなどが紹介されており
読み飛ばすには勿体ない、なかなかに興味深いものでございます。
即ち本展では、アーティスト自身や著名な文化人たちの肉声解説つきで、
一堂に会することはめったに無いであろう名品たちを、鑑賞できるのでございます。
♪ ひとっ 粒っ でっ 二度おいし~ ♪ とはこのことでございましょう。
もちろん、作品をじっくり鑑賞し、パネルをとっくり読み、かつ映像を見るというのがベストでございますが
どうしても時間がないという方は、せめて第二章「作家が作家を語る」セクションの映像だけでも
しかとご覧になることをお薦めいたします。
アーティストが、他のアーティストの作品や人となりについて語るその言葉は
尊敬と、憧れと、若干の嫉妬の伺える彼らの語り口も含めて、たいへん印象深いものでございました。
のろはTVの前に長らく足を止め、繰り返し流れる映像に何度も見入ってしまいました。
例えば加山又造は、友でありライバルであり、53歳で急逝した横山操についてこう語っています。
「絵が、じかに突き刺さって来る。人の心に、ぐーっと来る。すごい人だと思いますよ。・・・(横山の作品を見つつ)・・・なぁんでコレが俺に描けないんだろう。・・やっぱ描けないんだよなぁ・・」
熊谷守一について、熱く、楽しそうに、かつ目一杯のリスペクトを込めて語る猪熊弦一郎の姿からは
気さくな自由人 いのくまさん の人柄までも伝わってまいります。
「(熊谷は)虫みたいな人なんですね」 (司会アナ、思わず「えっ?」と聞き返す) 「自然そのままで、虚飾が無くって」
虫って 。(笑
来年の元旦、18きっぷで会いに行きますよ、いのくまさん!(予定)丸亀市猪熊弦一郎美術館
また、36歳で夭折した明治の日本画家、菱田春草について
「こんなものは絵ではない、という激しい非難を受けつつも自分の絵を描き続けた春草の方が、何を描いても自由な現代の私達よりも緊張感があったでしょうね」
と語る東山魁夷の表情には、憧れと苦い自戒の入り交じった、複雑微妙な感情がにじんでおりました。
ちと長くなりそうですので、一旦切ります。続きは次回。
おおむね一週間に一度、一時間ほどの間しかスイッチを入れないからです。
それで何を見るかのと申しますと
『日曜美術館』です。今は頭に「新」が付きますね。
と いうわけで京都府京都文化博物館 『日曜美術館30年展』 へ行ってまいりました。
こんな褒め方もナンでございますが、期待以上によろしうございました。
「30年で紹介した番組の中から、特に印象深い作家・作品を取り上げて・・・」
と言ったって、まさか『最後の晩餐』や『アルノルフィーニ夫妻の肖像』をポンと借りて来るわけにはまいりませんから
いきおい、展示されている作品は日本国内に所蔵されているものが主でございます。
主、というか、全てそうだったかもしれません。
そしてほとんどが近現代の日本人アーティストの作品でございます。
こんな具合にちと片寄りはあるものの、
「選りすぐり」といううたい文句に恥じない、名品ぞろいでございました。
素晴らしい作品に出会うと、心臓がぐっ とそちらに引き寄せられるような心地がするものですが
本展では何度もこの感覚に見舞われましたよ。
そしてここが「日曜美術館」ならでは なんでございますが
会場の所々に、ちょっとした椅子&TVスペースが設けられておりまして
展示作品が番組で紹介された際の映像を見ることができるのです。
それぞれ、要所を押さえて10分ぐらいにまとめられておりますが
さっさか先へ進みたいというイラチなお方は、作品横の解説パネルをお読みんなるだけでも、まあよろしうございましょう。
こちらにも、番組でのゲストや作家自身の言葉や、彼らにまつわるエピソードなどが紹介されており
読み飛ばすには勿体ない、なかなかに興味深いものでございます。
即ち本展では、アーティスト自身や著名な文化人たちの肉声解説つきで、
一堂に会することはめったに無いであろう名品たちを、鑑賞できるのでございます。
♪ ひとっ 粒っ でっ 二度おいし~ ♪ とはこのことでございましょう。
もちろん、作品をじっくり鑑賞し、パネルをとっくり読み、かつ映像を見るというのがベストでございますが
どうしても時間がないという方は、せめて第二章「作家が作家を語る」セクションの映像だけでも
しかとご覧になることをお薦めいたします。
アーティストが、他のアーティストの作品や人となりについて語るその言葉は
尊敬と、憧れと、若干の嫉妬の伺える彼らの語り口も含めて、たいへん印象深いものでございました。
のろはTVの前に長らく足を止め、繰り返し流れる映像に何度も見入ってしまいました。
例えば加山又造は、友でありライバルであり、53歳で急逝した横山操についてこう語っています。
「絵が、じかに突き刺さって来る。人の心に、ぐーっと来る。すごい人だと思いますよ。・・・(横山の作品を見つつ)・・・なぁんでコレが俺に描けないんだろう。・・やっぱ描けないんだよなぁ・・」
熊谷守一について、熱く、楽しそうに、かつ目一杯のリスペクトを込めて語る猪熊弦一郎の姿からは
気さくな自由人 いのくまさん の人柄までも伝わってまいります。
「(熊谷は)虫みたいな人なんですね」 (司会アナ、思わず「えっ?」と聞き返す) 「自然そのままで、虚飾が無くって」
虫って 。(笑
来年の元旦、18きっぷで会いに行きますよ、いのくまさん!(予定)丸亀市猪熊弦一郎美術館
また、36歳で夭折した明治の日本画家、菱田春草について
「こんなものは絵ではない、という激しい非難を受けつつも自分の絵を描き続けた春草の方が、何を描いても自由な現代の私達よりも緊張感があったでしょうね」
と語る東山魁夷の表情には、憧れと苦い自戒の入り交じった、複雑微妙な感情がにじんでおりました。
ちと長くなりそうですので、一旦切ります。続きは次回。