11/9の続きでございます。
前回の記事では農民画のことばかり申しましたが、本展の目玉は何といっても寓意画の中に登場する魑魅魍魎たちでございましょう。
とりわけ圧巻だったのが7つの大罪をモチーフとしたシリーズでございまして、罪深い人々や怪物たちが画面の中に所狭しと跋扈しております。パネルによる解説が割と充実しておりますので、描かれた動物や怪物が象徴しているものの読み解きはそれなりにできます。しかし中には「そのテーマとこの怪物の間にいったい何の関係が?」と思わず首を傾げてしまう意味不明のクリーチャーも。しかもこれがやたらと可愛いときております。よちよち歩いている鳥(みたいのもの)やら、ヨイヨイ躍っている蛙(みたいなもの)やら。
テーマ自体には教訓や戒めという真面目な意図が込められているとしても、地上と言わず空中と言わず至る所に跳梁する怪物たちの生き生きとした姿は、まるっきり楽しんで描かれているとしか思われません。
特に公式HPのキャラクターギャラリーにおいて「琴ペン」の名で紹介されているやつの愛らしさといったらございません。思わずグッズを買ってしまいました。
それにしても怪物たちの元気なこと。ルネサンスの間に教会の装飾や写本の余白から追い出されたグロテスクな者たちが、やっとここに所を得たかのような騒ぎようではございませんか。
ここにもやけに可愛いのがおりますね。
思えば奇妙な、この世ならぬ、とはいえちょっと心惹かれるような存在というものは、妖精や妖怪や、動物プラスαといったかたちで、洋の東西を問わず描かれたり語られたりしてきたものでございます。あるいは今巷で流行っている「ゆるキャラ」の面々も、この奇妙なクリーチャーの系譜に連なるものなのかもしれませんて。
会場内では、展示されている「誰でも」と「大きな魚は小さな魚を食う」をもとに作られた短いアニメーションも見ることができます。そして入ってすぐの壁面では、さまざまなクリーチャーたちが本展のタイトルの周りで戯れる作品が映し出されております。現実にはありえない姿かたちをした奴らがいやに現実的な動きをする、その気持ち悪さと愛嬌のバランスが何とも申せません。DVDがあったら購入しようかと思っておりましたのに、残念ながらショップにはございませんでした。調べてみますと、新潟会場では販売していた模様。 『PARABLE 寓話』の商品名で検索してみた所bunkamuraのネットショップに行き着いたものの、現在は残念ながら在庫切れでございました。
まあそんなわけで
16世紀の風俗の一端をかいま見、構成や描写や想像力におけるブリューゲルの力量に舌を巻き、クリーチャーたちの放縦ぶりになぜか心なごまされと、色々と見どころが多うございます。もとよりけっこう期待を高くして行ったのでございますが、それ以上に楽しめた展覧会でございました。
前回の記事では農民画のことばかり申しましたが、本展の目玉は何といっても寓意画の中に登場する魑魅魍魎たちでございましょう。
とりわけ圧巻だったのが7つの大罪をモチーフとしたシリーズでございまして、罪深い人々や怪物たちが画面の中に所狭しと跋扈しております。パネルによる解説が割と充実しておりますので、描かれた動物や怪物が象徴しているものの読み解きはそれなりにできます。しかし中には「そのテーマとこの怪物の間にいったい何の関係が?」と思わず首を傾げてしまう意味不明のクリーチャーも。しかもこれがやたらと可愛いときております。よちよち歩いている鳥(みたいのもの)やら、ヨイヨイ躍っている蛙(みたいなもの)やら。
テーマ自体には教訓や戒めという真面目な意図が込められているとしても、地上と言わず空中と言わず至る所に跳梁する怪物たちの生き生きとした姿は、まるっきり楽しんで描かれているとしか思われません。
特に公式HPのキャラクターギャラリーにおいて「琴ペン」の名で紹介されているやつの愛らしさといったらございません。思わずグッズを買ってしまいました。
それにしても怪物たちの元気なこと。ルネサンスの間に教会の装飾や写本の余白から追い出されたグロテスクな者たちが、やっとここに所を得たかのような騒ぎようではございませんか。
ここにもやけに可愛いのがおりますね。
思えば奇妙な、この世ならぬ、とはいえちょっと心惹かれるような存在というものは、妖精や妖怪や、動物プラスαといったかたちで、洋の東西を問わず描かれたり語られたりしてきたものでございます。あるいは今巷で流行っている「ゆるキャラ」の面々も、この奇妙なクリーチャーの系譜に連なるものなのかもしれませんて。
会場内では、展示されている「誰でも」と「大きな魚は小さな魚を食う」をもとに作られた短いアニメーションも見ることができます。そして入ってすぐの壁面では、さまざまなクリーチャーたちが本展のタイトルの周りで戯れる作品が映し出されております。現実にはありえない姿かたちをした奴らがいやに現実的な動きをする、その気持ち悪さと愛嬌のバランスが何とも申せません。DVDがあったら購入しようかと思っておりましたのに、残念ながらショップにはございませんでした。調べてみますと、新潟会場では販売していた模様。 『PARABLE 寓話』の商品名で検索してみた所bunkamuraのネットショップに行き着いたものの、現在は残念ながら在庫切れでございました。
まあそんなわけで
16世紀の風俗の一端をかいま見、構成や描写や想像力におけるブリューゲルの力量に舌を巻き、クリーチャーたちの放縦ぶりになぜか心なごまされと、色々と見どころが多うございます。もとよりけっこう期待を高くして行ったのでございますが、それ以上に楽しめた展覧会でございました。