おいしいお寿司を頂いて次に行ったラウンジ。
「良いですね。店をやめたんですか。羨ましい!
リリオー陰の声(そんなこと無いの、羨ましくないのよ)
「優雅ね、随分貯めてたんですね、私なんかやめたくてもやめられないわ、お金無いもの」
リリオー陰の声(私も無いの、いえ、私は無いのよ、あなたの方がお金持ちよ、そういいたいんじゃないの)
「私、やめたいけれどやめても何もすることないものね」
リリオー陰の声(まだまだ若いって言いたいんでしょう)
「早く、やめて良かったですね、今、凄い不景気ですよ、ねえ、今日もこんなんでしょう、うちなんか、ダメだわ、暇よ」
リリオー陰の声(もっと早くやめないといけなかったのよ、今が暇なんじゃないの、ずっと暇だったのよ、だからやめたの)
リリオー声を発す。
「いや、そんなことないじゃないですか、忙しそうだわ、ママも若いし、これからですよね、羨ましい、うわっ!良い着物来てはるわね、夏大島ですか、やっぱし、新地のママですね」
陰の声を押しこらえてリリオーはママを褒めたのであります。
普通のおばさんで飲みたいのに、元ママは、きりっとそつなくママを褒め受け答えをしたのであります。
お寿司屋さんでしこたま冷酒を飲んだのに何か酔いが覚めて、水割り頂戴!飲まんとおられんわ。
新地は本音を言わず腹のさぐり合い。何時の時代も変わらず狐と狸の化かし合いがございます。