何十年前の歌が出てくるんだから・・・と、おとつい書いたが、不思議でもないかな?
昔、聞いたことがあったんだ!それも中学生の頃。
あれは全校生一同に集まる朝礼だった。
校長先生か誰かの延々とした話を聞いて退屈していたとき、前にいた子が振り返ってリリオーにささやいた。「私、物真似歌合戦に出るねん」「へえ?びっくり、何?歌うのん?」「美空ひばりの花笠道中や」「どんなん?」と聞くと、彼女は回りの生徒達に気遣いながら小さな声で歌い出した。
「これこれ石の地蔵さん、西へ行くのはどっちかえ・・・」ちょっとドスのきいた渋い声でコブシを利かして。
「へえ、上手いなあ、絶対優勝するわ」「いや、まだ、予選会に出てからやから」「頑張って」あんまり親しくなかった彼女だったが、予選会に出るのがよほど嬉しかったんだね。お定まりの朝礼に退屈していたし、知らん顔していた回りの生徒達もおもしろがって聞きだして。先生達にも怒られなかった。そのときの歌が今でも頭に残っていたんだ。
それから、彼女はどうなった?
「予選会は?」「あかんかった」「そう」で終わったが、歌うことが好きな女の子だった。歌手になりたかったんだろうなあ。中学生の時から夢をもっていたんだ。
当時のリリオーは???夢とか希望とか何も無かった。
でも、毎日、毎日、お客様の歌を聞き、「お上手!」「心こもっている!」「お腹から声が出て凄い!」と言い続けながら30年間、店を続けられたのは、彼女のお陰かも知れない。
「リリオーちゃんが勇気づけてくれたから自信を持って出られる」と言っていたから。よいしょして持ち上げたつもりは無いが、人を喜ばせることを中学生の時から知っていたのか?
お客様にも、よいしょしてきた?いや、していない、皆様本当にお上手だった。正直者のリリオーだから新地で長く生きられたんだ。ホントー?
そう、今度、カラオケに行ったら歌おう。「花笠道中」を
やっぱし、やめよう、リリオーは、よいしょも出来ない本物の音痴だからね。