ウォーキングを兼ねてスーパーに行きあまりの暑さに休憩席に座ってペットボトルのお茶を飲んでいると隣に上品なご婦人がいて、話しかけられた。
「暑いですね」
「ホンマに」
「私なんか年だからこたえますわ」
「お年じゃないですよ、お元気、お若そう」
お若そうとリリオーは言ったが40才や50才と言う年令じゃなく70才は越えているだろうが肌は若々しく背筋は伸びて年齢不詳に見えた。
「私、88才なんですよ」
「ええ・ええ?ええ・ええ?ウソ~」
まさか88才にはとてもとても。
「あなたは?」
「リリオーは・・・才で」
「まあ、まだまだ若い、私はあなたの年令の時は働いていましたよ」
「いや~もうだめです。働くところもありません」
若々しい奥さんの話を聞いて羨ましくショボンとして帰ったリリオーです。
いや、帰る前に・・・・。
白地に赤く「クリーニング」と書かれたノボリが目に留まった。
「どうしたの?又始めたの?」
もう何年も前に奥さんが病気で倒れ一人では無理と閉店したクリーニング屋さん。
「じっとしててもあかんし、みんなどこへ持っていったらええのんと言われるし、又、ボチボチやろうとね」
「そうやわ、だってシミも取ってくれて丁寧・綺麗に仕上げてくれるお店やし閉めはってからリリオーも困ったわ」
「又、頼むわ」
「こちらこそ、お願い」
若さを保つことは体を動かすこと働くことだ。上品な奥さんも70才とっくに過ぎてまで働いていたと聞いたし、クリーニング屋さんの店主も元気が出たみたい。
仕事のある人は良いなあ・・・リリオーなんてどこも働くところもなし。ボランティアもできなかったし。
特技のある人も良いなあ・・・やめても又経験を活かせて再開できる。リリオーは何の特技もないからダメ。
どうすりゃいいのさ思案橋の心境で。暑い夜が余計暑くなりました。