脱サラして探偵を始めた主人公。
主人公は本に出てくるようなハードボイルドな生き方を志しているが、
現実はそう上手いこといかない。
というより、ハードボイルドからどんどん遠ざかっていく。
不純さを逆手に取られたり、
比内地鶏照り焼き弁当の誘惑にあっさり負けたりで。
随所で笑わせてもらった。
「お話の中のことは、お話の中のことだよ、お前さん。
本の中に出てくる人は、続きがないから楽だけれどさ。
人の一生ちゅうのは、よけいな続きが長いんだよ」
確かに。
人生は小説のようにはいかなそうだ。
おじいちゃんやおばあちゃんになったときに
今よりもっとそれを強く感じるのだろうな。
うちのおばあちゃんも「早くお迎えが来ないかね」って言ってる。
おじいちゃんに先立たれ、友達もどんどんいなくなっていく。
昔は友達とよく旅行に行ってたのに、
いまは膝の痛みも辛そうだし、それより肝心な友達がもういない。
寂しいだろうな。
笑わせるだけでなく、
ちょっぴり切ない気持ちにもさせてくれたり
『神様からひと言』のときもそうだったけれど、
キャラクターが生き生きしていて本当に面白い小説だった。
本作の続編がハードカバーで出版されているのだが、
文庫化されたら絶対に読もうと思う(せこい)