靴を捨てた。

　靴を捨てた。
もしからしたらまだ履くかもしれない古い靴と、もう履かないかもしれない好きでない靴。
いちいちシューキーパーを入れて型くずれを補正していた靴。
同じものを２足買って、７年間も交互に履いていた、役員時代のストレートチップ。
正月に某大会社の応接室に挨拶に行って、ふと足下を見たとき、大切に履いていた靴があまりに粗末になっていたことに気づいてしまった。
そこで靴箱を総点検して、用意した紙袋にぱっぱっと詰め込んだ。
大切にしていた靴を、販売店に修理に持っていったら、靴底はきれいになるけれどのびてしまった革は戻らないと言う。
そこで、それらの靴を修理するのをあきらめて販売店に捨ててもらうように頼んだ。

新しい靴を買った。
いろいろ試して選んだのは、なんと大切にしていた靴と同じ型のものだった。
来月には春の衣替えまでに捨てる、スーツとシャツを選ぶ。

今年のスローガンは「用意周到」である。