表千家一期一会

『禅茶録』


『現代語訳 禅茶録』 (知泉書館)

寂庵宗澤 著
吉野白雲 監修



「茶禅一味」とはよく申しますが
そのことを これほどまでに
端的 且つ 簡潔に述べてある書物は
他に無いのではないでしょうか


初めてこの本に出会った時

私は
その厳しい言葉の一つ一つに
身の引き締まる思いがすると同時に

我が意を得たりという喜びにも満たされ

私がなぜお茶に惹かれるのか
その理由がはっきりとわかったような気がしました


『禅茶録』は
江戸時代の寂庵宗澤という茶人が
千宗旦の遺書『茶禅同一味』に補足を加えて
出版したものと言われています


そして その『禅茶録』を
読みやすく現代語訳したものが
この『現代語訳 禅茶録』です


巻末には
原文と英訳文も載せられています


「禅味を知らざれば 茶味も知られず」
という観点より

「茶禅一味」の心を
次の10項目をあげて解いています


1茶事は禅道を宗とする事
(茶道とは本来の自己を発見すること)

ただひたすらに茶の道を修行することこそ
本来の姿です

2茶事修行の事
(どのようにして茶で自己を悟るのか)

茶道は日常そのもの

常に茶室に入って点前をする時の心構えを持って
日常の一挙手一投足を油断せず勤めるということです

3茶の意の事
(茶道に対する誤解)

茶の心は すなわち禅の心であり
流儀が茶道なのではありません

禅の心を差し置いて外に茶の心はなく
禅味を知らなければ茶味も知ることができません

4禅茶の器の事
(本当の茶道具とは何のことか)

禅茶の茶器は
美術的価値があるとか
珍しい物だとか
家宝だ 骨董品だというものではありません

邪念や私欲ない清浄心を器とするのです

5侘びの事
(侘びとはどういう意味か)

侘びとは
不自由を不自由と思うことなく
足らなくても足らないという思いを起こさず
調わなくても調わないという気持ちを持たないこと

6茶事変化の事
(型を重視する茶道に変化はあるのか)

茶道に本来 型など無い

あるのは天の教えのみ

その場その時々に応じて変化していくことこそが重要

7数寄の事
(数寄の本当の意味を知る)

道具を好む「スキ」は
茶道の本意ではありません

万事が思いのままにならないというのが
本来の「数寄」の意識であり

貪欲の心を無くすというということです

8露地の事
(露地とは自分を露にする道場)

露地とは
煩悩を断ち切り
永久不変の真理
真実の本性を露にする道場であり
茶室の別名でもあります

9体用の事
(茶禅同一味の実践「体用」)

本来「禅」と「茶」の二つが一つで
「体」と「用」

心一つにして
無心で静かな様を主眼とするところは
「体」であり

身体を動かし点前・所作をすれば
「用」となる

10無賓主の茶の事
(客と亭主の分け隔てない和の世界)

無賓主の茶とは
日常の所作振る舞いにおいて努力し
ひたすら修行し
真理を求めて
智見にたどり着く
真の茶であります


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