「利休 わび茶の世界」 久田宗也・著
先日城崎にでかけた折り
宿のロビーにあった本棚の中に
偶然この本を見つけました
私は今までこの本の存在を知りませんでした
出版されたのは今からちょうど30年前の
1990年でした
早速お借りして部屋に持ち込んでページを開くと
美しい写真とその深い内容にぐんぐん引き込まれ
一晩で一気に最後まで読んでしまいました
この本の中で
これまで何となく疑問に思っていたことの答えが
一つ見つかりました
それは濃茶の飲み回しのことです
私は台天目のお稽古をする度に
あの天目茶碗で濃茶を飲み回しすることが
なんだか不自然だなあといつも思っていました
利休や天下人の秀吉やその他のもののふ達が
あの小さく華奢な茶碗で濃茶を飲み回したとは
とても思えなかったのです
そのことについて記されていた箇所を
抜粋して書かせていただきます
「古くは唐物天目茶碗を使い、また高麗茶碗を使ったにしても
客の一人ずつに茶をたてていたらしい。
濃茶も薄茶もそうであった。
天正十年を過ぎる頃、利休の茶室は二畳敷の小さい座敷となった。
ここで少数の客に一碗から茶をすすらせることで客の親しみを増し、
心を一つにする効をねらったのが「すい茶」であり、
濃茶の飲み回しであった。
濃茶の飲み回しには茶の冷めない茶碗があるとよい。
ここに温かさを保つにふさわしい楽焼の茶碗が
利休によって考えられ、長次郎にてつくられた。
天正七、八年、利休六十歳の少し前に赤楽が、
天正十四年ごろには黒楽ができたといわれる。
すい茶が生まれてくるのもこのころとされる。」
ここを読んで
今までからまっていた糸が
するするっとほどけ
濃茶の飲み回しや樂茶碗の誕生についても
合点がいきました
この本は
検索したら既に絶版でしたが
アマゾンで中古を見つけて
早速注文しました
到着したらもう一度
じっくりと読みたいと思っています
私にとって
座右の書がまた一冊増えました