【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第12回
「五労」(「安岡正篤一日一言」より)
安岡先生は、日本の東洋思想の研究と 後進の育成に努められ、
政財界のリーダーの啓蒙や、教化に努め、その精神的支柱となっていた方で、
国民的教育者として活躍されていた方であります。
安岡先生の一日一言の中で、紹介されている一節ですが、
我々現代人は耳が痛い話かもしれないので、自らの戒めも含めて ご紹介致します。
1,多想心労(たそうしんろう)・・・取越苦労が多すぎること。これは心臓を痛める。
2,多怒肝労(たどかんろう)・・・怒りが度重なると肝を痛める。
3,多思脾労(たしひろう)・・・考えごとが多いと、脾(ひ)が疲れる。脾臓は、血液の浄化や
調節を司る大切な器官であるが、割合に人々はこれを知らない。
4,多悲肺労(たひはいろう)・・・悲しみが多いと、肺を痛める。
5,多憂腎労(たゆうじんろう)・・・憂(うれい)が多いと、腎が疲れる。
悲と憂と どう違うかと思う人々もあるかもしれませんが、これはつきもので、
どちらかというと、悲の方は過去につながり、憂の方は未来にわたるということができる。
そこで、特に春には脾を養い、夏には肺を養い、秋には肝を養い、冬には心臓を養い、
四季を通じて、最も腎を養うと昔から言われている。
つまり、腎すなわち身体の浄化装置を過労させないこと、
腎労しないことが大事と 昔の人は、生活の知恵として伝えている。
これは、心身一如(しんしんいちにょ)ということで、こころも身体も同じように大切なので、
その浄化をしっかりしていくことなどの、心得があると無いとでは、人生が変わってくるように感じる。
私の祖父は、晩年身体が弱かったようで、その影響から 独学で東洋医学を修め、
自ら針やツボなどを研究し、胃腸を整え、長生きをしていた人でした。
その影響からか、私も幼少期より 東洋医学や思想には関心がありました。
今になって、もう一度 東洋思想に原点を求めて活かそうとしているのも、
何か不思議なご縁を感じます。
参考文献 『安岡正篤一日一言』(致知出版社)