人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第149回『君子之交淡若水 小人之交甘若醴』(荘子)

2024年07月29日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第149回

『君子之交淡若水 小人之交甘若醴』(荘子)


これは、老荘思想における荘子(そうじ)の名言のひとつになります。

「君子の交わりは淡きこと水のごとく、小人の交わりは甘きこと醴(れい)のごとし」

君子のつきあいは、水のように淡く、淡々としているが、

小人のつきあいは、『醴』、
すなわち甘酒のようにべたべたしているというもの

というような、意味合いの言葉になります。


まさに、人間関係の達人である方々をみていると、

一見淡々としているように
みえますが、そこに執着もせず、

その関係性を楽しむがゆえに、ほどよい距離感や
間合いをとられていて、

長くいい関係をもたれていらっしゃるように感じます。


そのような方々から、いろいろと学ばせて頂きながら、自分自身も精進しているところです。

この言葉の本質を大切にし、ちょうど良い距離感で、心地よい関係性を築いて

人間関係を楽しんでいけたらと思っています。


参考図書 『荘子の人間学』守屋洋著 日経BP社




武蔵國 国分寺

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第148 回『随所作主 立処皆真』(禅)

2024年07月22日 | 日記

第148 回

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

  ずいしょにしゅとなれば りっしょみなしんなり
『随所作主 立処皆真』(禅)



この禅語は有名な言葉でもあり、

多くの方が座右の銘とされていらっしゃる方も多いと聞きます。

意味合いとしては、

「どんなときも、本来の自分を見失わずに、主体的に行動することで、

常にぶれずに正しく行動ができる」

という臨済禅師のお言葉になります。


よく組織のリーダー研修などを受け持つと、

人事の担当者から「当事者意識」を促して欲しいというご依頼を頂くことがあります。

まさに、それがこの禅語の本質である、「主体的に」という

自分自身の人や物ごとに関する関わり方や距離感の事を言っているのでしょう。

仕事も、やらされ感でやるよりは、

「自らの意思で、自分が自発的にやっていく」方が、

何倍もやりがいや達成感なども変わってきます。

そのヒントは、すべてに「真心をこめて、丁寧に」やることかもしれません。

そうするだけで、ぐっと意識が高まります。

少しでも、この言葉を通じて、

本来の自分自身にある主体性のスイッチが入るとうれしく思います。


参考文献
『引きずらない力』枡野俊明著 三笠書房

 

 


阿弥陀如来坐像 (熱海 MOA美術館 )

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第147回『慎(つつし)むということ』

2024年07月15日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第147回

『慎(つつし)むということ』


今日は、自分の名前にある「慎」という字に関して、書いてみようと思います。

「名は体を表す」という言葉がありますが、自分自身の名前にある漢字は、

毎日目にすることもあり、じわじわと自覚となり、染みてきますね。

私の名前は「慎一(しんいち)」という名前ですが、

この「慎」という字は、東洋思想において何度も出てくる漢字でもあります。

「シン」という読み方と、「つつしむ」という意味があります。

漢字の語源辞典をみますと、

「欠け目なく充実したこと、心が欠け目なくすみずみまでゆきとどくこと。念を入れる。」

などの意味があります。

私自身は結構いい加減で、お調子者な性質を持っているので(苦笑)

小さいときは先生からも親からも注意されてばかりでしたが、

だからこそ戒めとして名前に「慎」という名前を頂き、

少しでも精進しなさいということで、

このような名前を頂いたんだなと最近改めて感じています。


物事は常に陰と陽があるように、「慎」という字はどちらかというと、

「つつしみ深さ」など陰の意味合いが強そうですが、

だからこそ「慎」の陽の側面である「大胆さ、大らかさ、課題を解決する」

などの側面も含めて、両面をバランスよく意識していけたらとも思います。


参考:第13回「慎独」(大学)



それぞれ、皆さんの名前にある漢字の意味を考えるきっかけにして頂けたら幸いです。

 


大船観音

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第146回『素直』(松下幸之助)

2024年07月08日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第146回

『素直』(松下幸之助)


日本における代表的経営者として、経営の神様とも言われてきた松下幸之助さんが

一番大切にされてきた言葉が今回ご紹介させて頂く、『素直』という言葉になります。


「素直な心とは、私心なく、くもりのない心、とらわれない心」

参考:第25回「根源様」(松下幸之助)ブロ



先日、ご縁がありまして茅ヶ崎市にあります、松下政経塾にはじめてお邪魔させて頂きました。

松下政経塾とは、松下幸之助さんが、1979年、84歳にして、私財80億を投入し

日本におけるリーダーの輩出を目指して、設立されました。

理想の社会を実現するには、国家経営に人を得なければならない、という答えにたどりつき、

当時は、自ら塾長として舵をとり、志をもつ若者たちとともに10年間過ごし、1989年に永眠されました。

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【塾訓】

素直な心で衆知を集め
自修自得で事の本質を究め
日に新たな生成発展の
道を求めよう


【塾是】

真に国家と国民を愛し
新しい人間観に基づく
政治・経営の理念を探究し
人類の繁栄幸福と
世界の平和に貢献しよう


【五誓】

1、「素志貫徹の事」

常に志を抱きつつ懸命に為すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも
道は必ず開けてくる。成功の要諦は、成功するまで続けるところにある。


2、「自主自立の事」

他を頼り人をあてにしていては事は進まない。自らの力で、自らの足で
歩いてこそ他の共鳴も得られ、知恵も力も集まって良き成果がもたらされる。


3、「万事研修の事」

見るもの聞くことすべてに学び、一切の体験を研修と受けとめて勤めしむところに
真の向上のがある。心してみれば、万物ことごとく我が師となる。


4、「先駆開拓の事」

既成にとらわれず、たえず創造し開拓していく姿に、日本と世界の未来がある。
時代に先がけて進む者こそ、新たな歴史の扉を開くものである。


5、「感謝協力の事」

いかなる人材が集うとも、和がなければ成果は得られない。常に感謝の心を
抱いて互いに協力しあってこそ、信頼が培われ、真の発展も生まれてくる。

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本気でリーダーの輩出を願い、

日本の未来におけるリーダーに託する松下幸之助さんの想いを感じると

心から敬意を表するとともに、本当に頭が下がります。

私自身は、卒塾生ではないですが、松下幸之助さんの想いに共感する一人として、

少しでも自らができることで、実践して社会のお役に立てるように精進していきたいと思います。


参考文献
『道をひらく』松下幸之助著 PHP研究所
公益財団法人松下幸之助記念志財団 松下政経塾資料より

 

 

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第145回『曲なれば則ち全く、枉なれば則ち直し』(老子)

2024年07月01日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第145回

『曲なれば則ち全く、枉なれば則ち直し』(老子)
(きょくなればすなわちまったく、おうなればすなわちなおし)


老子の「不争謙下(ふそうけんか)」の考え方を現している有名な言葉になります。

まさに、争わないで謙虚に生きることが、長生きの秘訣だとも言っています。

幹が曲がりくねっているような木は、材木としてはなかなか使い道が少ないが、

だからこそ、伐採されずに年輪を重ねていくことができる。

人間も一緒ではないかということを老子は説いています。

人間においても、優秀だとそれはそれで素晴らしい事でありますが

一見役に立たないとか、個性的で組織にとっては扱いにくい方は、

長期的な視点で見ると、余計な争いもないので、

愉快に生きていけるのではないかという考えになります。

後半の、「枉(おう)」とは、つまり尺取虫を例にあげています。

くねくねと身を曲げたり伸ばしたりしながら進んでいるようにみえても、

結果的にはまっすぐに進んでいる。

人間に例えると、だからこそ、どんな不器用でも、遠回りしていても、

長い目で観ればちゃんと生きているよと、老子は言っています。

この言葉に、自分もかなり救われました。

10代、20代はなかなかうまく生きれずに悩みながら葛藤の連続だったからです。

どこか周りの人と比べて、なんで自分はこんな感じなんだと、

自己嫌悪に苛まれていたことが多かったように今を思うと感じます。

そんな時に、老子を読んでから

少しづつ自分の人生を受け入れていけるようになっていった感じがします。


参考文献
『老子の無言』田口佳史著 光文社

 

 寒川神社

 

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