人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第97回 沢庵禅師の遺偈「夢」(沢庵禅師)

2023年07月31日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第97回 

「沢庵(たくあん)禅師の遺偈(ゆいげ)「夢」 」(沢庵禅師)


沢庵禅師(1573年~1646年)といえば、江戸時代に活躍した曹洞宗の僧侶で、

漬け物のたくあんの考案者という説もある方で、とても有名な僧侶です。

元々は、武家の家柄で、後に徳川家光(三代将軍)が彼に帰依しました。

沢庵禅師は、臨終の間際に弟子たちに求められて、

やむなく筆を取り「夢」という遺偈(ゆいげ)を記しました。




百年三万六千日

弥勒観音幾是非(みろくかんのんいくぜひ)

是亦夢非亦夢(ぜもまたゆめ、ひもまたゆめ)


弥勒夢観音亦夢(みろくもゆめ、かんのんもまたゆめ)


仏伝応作如是観(ほとけいわくおうさにょぜかんか)



荘子の「胡蝶の夢」を彷彿させる言葉でもありますが、
第26回 「胡蝶の夢」(荘子) 参照

まさに沢庵禅師は、弟子たちに本当は何を伝えたかったのか、

その本質は定かではありませんが、私なりに感じることとしては、

「人生はすべて夢、幻のようなもので、だからこそ一瞬一瞬大切に生きなさい。

この世におけるすべては、是も非もないのだから、とらわれてはいけない。」

という感じをしています。


少しでもそのように感じられるよう,  一瞬一瞬大切に生きていきたいと思います。


参考文献
『NHKテレビテキスト 100分de名著 「荘子」』玄侑宗久著  NHK出版

 

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第96回「無為を為し、無事を事とし、無味を味はふ」(老子)

2023年07月24日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第96回 

   むいをなし、     ぶじをこととし、     むみをあじわう

「無為を為し、無事を事とし、無味を味はふ」(老子)
 


老子は、宇宙の根源である「道」とともに生きている人、

つまり「道」のあり様を自己の
あり様として生きている人を一番重んじています。

だからこそ、つい見栄を張ったり、よ
り自分を大きく見せようとしたり、

自分の手柄にしようとする人の態度に対して、かなり
厳しく諭しています。

目立つことなく「無為」に行い、特別に良い事も悪い事もない

「無
事」をよしとして、格別の味がない「無味」だからこそ、

すべての味が味わえる。このよ
うな事に対して、注意深く伝えています。


その後に続く文章として、

「小を大とし 少を多とし、怨(うら)みに報(むく)ゆるに徳を以てす。」

(小さなものを大きく捉え、少ないものを多く捉え、
 そのように捉えるから、もっともっとと欲することがない、
 うらみに対しても むしろ徳で接するから 争いにならない)

まさに、このような態度で接することで、

対立や争いをさけるような在り方になるのだと
伝えています。

本当に、深いですね。。。。

このような言葉に触れ、意味を味わい、このような在り方を意識することで、

少し
でも「道」に近づいていけるよう精進していきたいと思います。



参考文献
『老子道徳経講義』田口佳史著  致知出版社



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第95回「自彊不息(じきょうやまず)」(易経)

2023年07月17日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第95回 

「自彊不息(じきょうやまず)」(易経)


「天行は健なり。君子もって自彊して息まず。(乾為天)」
(てんこうはけんなり。くんしもってじきょうしてやまず。)

という易経の有名な一節からになります。


天の働きは、健やかで一日も止むことはありません。

常に宇宙は動き続けています。


それにならって、「自彊(じきょう)して息(や)まず。」、

いわゆる自らが強く励み、努めて止まないことが大事だと言っています。


先人は、宇宙の働きや動きに対して、自分自身を戒め、

自分自身がその働きに対してどのような在り方をしていけばいいかを

真剣に考えていたと感じられます。

その宇宙のリズムに対して、共鳴しながらいきていくことがとても大切だと感じます。

この言葉を真摯に受け留めて、この言葉を噛みしめて生きていきたいと思います。


参考文献
『易経一日一言』竹村亞希子著  致知出版社

 

 

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第94回「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂」(吉田松陰)

2023年07月10日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第94回 

「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂」(吉田松陰)

(私の身がたとえ武蔵の地で朽ちてしまったとしても、大和魂だけはこの世に留めておきたい。)



吉田松陰先生は、天保元年(1830年)8月4日に生まれ、

安政6年(1859年)10月27日、江戸伝馬町の獄で処刑され、29年2ヵ月の生涯を閉じました。

今回ご紹介させていただくのは、松陰先生の遺書となった

『留魂録(りゅうこんろく)』の書き出しの歌であります。


松陰先生が 生きた時代背景は、激動の時代を生きていました。

欧米列強が日本の植民地化を企図し、武力をもって迫っていました。

このような状況下で、徳川幕府は なす術もなく権威を失墜し、

国内は対立抗争が激化し、日本全体が混乱の中で揺れていました。

そのような中で、松陰先生は当時の全国の若い志士の心と魂に火をつけ、

新しい時代を切り拓く流れを生み出していきました。


今の時代は、敗戦後の教育によって、本来持っている日本人としての大和魂は、

かなり失われていきました。様々な状況においても絶望的な状況だからこそ、

新たな可能性も沢山立ち上がっているようにも感じます。

本来の日本人が持っている大和魂としての底力、そしてその在り方を思い出して

発揮していく時が来たようにも感じます。

皆さんで、ともに力を発揮し、ともに支え合いながらこの困難な状況を乗り越えていきましょう。

 

参考文献
『吉田松陰一日一言』川口雅昭編  致知出版社

 

 


広隆寺 弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしいぞう)

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第93回 往く者は追わず、来たる者は拒まず(孟子)

2023年07月03日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第93回

「往く者は追わず、来たる者は拒まず」(孟子)


通常は、「去る者は追わず、来るもは拒まず」という表現でよく使われている言葉である。

「去っていく者は特別後を追わない、来るものはどんな相手でも拒まずに受け入れていく」

という人間関係における言葉で、馴染みがある言葉でもあります。



孟子がある国を訪れた際に、その迎賓館で宿泊し、

館の役人がつくりかけのわらじを窓際においていたところ、

何者かに盗まれてしまった。役人が孟子に向って、

「あなたのお伴もやりますな」

と皮肉を言ったところ、孟子がこう答えたという。

「連中がわらじを盗むために、わたしについてきたとでも言うのですか。

あるいは、そうかもしれません。私は弟子を取る時に、

『往く者は追わず、来たる者は拒まず』で

学ぶ意志さえあれば
誰でも弟子にしているものですから。」


もちろん、弟子がそのようなことをするわけはなく、

孟子の懐の深さを端的に表現したものであるが、

このような在り方を目指したいものである。


参考文献
『中国古典一日一言』守屋洋著 PHP研究所

 

 

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